草彅剛が“女好きのダメ父”を好演する初恋ファンタジー『まく子』

3月15日(金)10時31分 まいじつ


映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『まく子』


配給/日活 テアトル新宿ほかで全国公開

監督/鶴岡慧子

出演/山崎光、新音、須藤理彩、草彅剛、つみきみほ、根岸季衣ほか


昔から、子供が滑った転んだ、散歩した、病気になった、みたいな押し付けがましい感動作が苦手なだけに、小学生が主人公のこの新作はどうか、との懸念が、いざ観たら一気に吹き飛んだ好編だ。ジャンルで言えば、少年少女の初恋をテーマにしたファンタジーなのだろうが、大人が観ても面白い、というか、大人たちの描写にも妙味があるのが何より。


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ひなびた温泉街の旅館の息子・サトシ(山崎光)は小学5年生。自分の体の変化に悩み、女好きの父親・光一(草彅剛)に嫌悪感を抱いている。そんなある日、美しい転校生・コズエ(新音)がやって来る。言動がどこか不思議な彼女は、サトシに「私、ある星から来たの」と、信じ難い告白をするのだが…。


自称・宇宙人の美少女を演じる新音の不思議なヒロインぶりが周囲をけむに巻く。ちなみに、題名は人名に非ず、何かを〝撒く子〟のことです。このユニークで小さなヒロインが、最後に何を撒くかは、見てのお楽しみ。この新音ちゃん、ノッポな感じが〝地球人離れ?〟していて刮目した。彼女、まだ14歳ぽっちなので少女忌避症のボクには手の施しようがないが、いずれは中条あやみのような逸材に成長するかも。あと10年近く寝かせて待とう(笑)。



息子と股間を見せ合う元SMAP


直木賞作家・西加奈子の一筋縄ではいかない原作にオリジナリティーを加えて映像化し(砂絵の使い方が見事)、〝子供主人公映画は苦手〟の頑迷なボクを唸らせた鶴岡慧子監督の才能を買いたい。今、30代邦画若手作家の作品が面白い。特に女性監督のソレが!


こういう子供主人公映画の大人の描写は紋切り型が多いが、ここでは違う。小さな温泉町にもさまざまな大人がいる。特にサトシの父親で、旅館の料理長を演じる草彅が、妻がいても女好きは直らないチャラいキャラクターを演じてサイコー。どこか男の色気を発散し、これが似合うの何の! SMAP時代には出せなかった味ではないか。これで女優との本格的な〝カラミ〟があればもっと良かった。彼が息子に握ってあげる大きなおにぎりの湯気もウマソウだし、体の変化に悩むサトシと股間を見せ合って「お前も俺も(男の体なんて)みんな変だよ」と諭すあたりも名シーンだ。


原作では特定されていない町だが、温泉町(群馬県・四万温泉ロケ)にしたのも効いている。雑多な、それでいてどこか艶っぽい響きのする町が舞台だからこそ、こんなファンタジーが生まれる、と言われれば「その通り」と思うから不思議である。



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