『ミッキー17』にロバート・パティンソンを選んだポン・ジュノ監督、決め手になった3作品とは
2025年3月16日(日)13時0分 シネマカフェ
『ミッキー17』 © 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
半地下を超えた《どん底》の使い捨てワーカー“ミッキー”の、権力者たちへの逆襲エンターテインメントといえる本作。
全世界に先駆けて公開された韓国では公開4日間で観客動員数が100万人を突破、3月7日からは全米でも公開され、オープニング1位を記録。全米及び世界各国でのオープニングを合わせて、早くも世界興行収入が4,500万ドルを突破する快進撃を続けている(Box Office Mojo調べ)。
■「彼はまったく別次元の俳優の俳優になった」
今回、ポン・ジュノ監督が主人公ミッキーにロバート・パティンソンを起用した理由を明かす貴重なコメントが到着。マイルドな17号と辛辣な18号、2人のミッキーを演じられるのは彼しかいなかったことを語っている。
ポン・ジュノ監督はロバート・パティンソンという俳優に注目し続けてきたと語り始める。「彼は『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(2004)で知られるようになりましたが、私が彼を俳優として別の視点で見始めたのは、サフディ兄弟の『グッド・タイム』(2017)、そしてウィレム・デフォーと共演した『ライトハウス』(2019)の演技を観たときでした。この2作品で彼はまったく別次元の俳優になったと感じました」と、その演技に目を見張ったと明かす。
共にアメリカではA24が配給した刺激に満ちた作品で、『グッド・タイム』では、知的障がいのある弟のために銀行強盗を目論むが失敗、逃亡者となる主人公ニックを鮮烈に演じた。ニューヨークを舞台に弟を救うために奮闘するその姿は、場面ごとに変わり、壮絶なまでの役作りで観客を魅了した。
そして1890年代、ニューイングランドの孤島で2人の灯台守が激しく衝突し、狂気に苛まれていく様を全編モノクロで描いたロバート・エガース監督の『ライトハウス』では、ウィレム・デフォー演じるベテランにひたすら酷使される経験不足の若き灯台守になりきる怪演、その演技が世界の批評家から高く評価された作品だ。
そして、ポン・ジュノ監督がロバート・パティンソンの演技に心底惹きつけられた映画がある。「(2作品)と同じことが『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)でもいえます。象徴的なキャラクターを彼独自の新しい解釈で演じ切っていたんです」と監督。
「ミッキー17とミッキー18の両役を演じることで、彼の俳優としての野心を掻き立て、お互いに刺激を与え合えるだろうと感じました」と、何度も映画化されてきた「バットマン」ブルース・ウェインのキャラクターを全く異なるアプローチで作り上げたロバート・パティンソンこそミッキーを演じられる俳優だと確信したという。
監督の彼への期待は、予想を超えるミッキーとなって目の前に現れた。「私は脚本を書くときには、キャラクターについてかなり詳細な描写を加えます。でも、どれだけ細かく描いても、それはあくまで紙の上の言葉にすぎません。俳優が実際にキャラクターに命を吹き込むことが重要なんです。ロバートは、自分の創造力を存分に発揮し、キャラクターに多くのニュアンスを加えてくれました。彼が持ち込んだアイデアの数々には、本当に驚かされました」と、アグレッシヴなロバート・パティンソンの俳優魂に敬意を表した。
人生失敗だらけのミッキーが手に入れたのは、何度でも生まれ変われる夢の仕事、のはずが…それは身勝手な権力者たちの過酷すぎる業務命令で次々と死んでは生き返る任務、まさに究極の“死にゲー”だった! ブラック企業の“使い捨て”ワーカーとして搾取され続けて17号となったミッキーの前に、ある日、手違いで自分のコピーである18号が現れ、事態は一変する。
つまり、ミッキーは2人になるのだ。まったくタイプの異なる2人のミッキーを見事に演じ分けたロバート・パティンソンの演技について。「特にミッキー18に関しては、私が想定していた枠をはるかに超え、新たな次元にまで引き上げてくれました。撮影中も、ロブは即興で面白いセリフやシーンを生み出し、作品に新しいエネルギーを吹き込んでくれました。本当に感謝しています」と語っている。
最強タッグで贈る『ミッキー17』。マイルドな17号と辛辣な18号、2人になったミッキーの権力者たちへの逆襲は、見逃せない。
『ミッキー17』は3月28日(金)より全国にて公開。4D/Dolby Cinema(R)/ScreenX/IMAX(R)同時公開