小沢一郎氏の典範改正発言 習近平天皇会見の罪滅ぼしか

3月17日(金)7時0分 NEWSポストセブン

自民党・衆院議員の石破茂氏

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 天皇の生前退位について、世論は「恒久制度化」を強く望んでいるが、政府、自民党は相変わらず「一代限りの特例法」で臨もうとしている。この乖離はなぜ起きているのか。『天皇論 平成29年』を上梓したばかりの漫画家・小林よしのり氏と自民党内で「皇室典範の改正」を主張する石破茂氏が議論した。


石破:私の学生時代は“天皇はロボットのようにいるだけでよい。意思は不要”という憲法学者、宮澤俊義氏の学説が憲法学の主流でした。それと同じことを、「天皇は日本国憲法を超越した存在だ」と主張する方が口にするのは、私には理解できません。陛下は権力を持たない権威だからこそ、国民の結節点になれる。その象徴性を「戦後憲法の産物」とするのは間違っています。


小林:そんなに戦後憲法がダメだというなら、皇室典範も明治憲法時代と同じように皇室にお返しすればいい。あれはもともと皇室の家法なんだから。戦後憲法を超越しているといいながら、その天皇の地位を「おれたち権力者が決める」というのは矛盾です。そんなもの、一時的に権力を握っているだけの人間たちが決めていいはずがない。


石破:それがまさに「天皇ロボット説」に基づく考え方でしょうね。鳩山由紀夫政権時代、来日した中国の習近平・国家副主席(当時)が陛下との会見を申し入れたものの、いわゆる「30日ルール」に抵触したことがありました(※注)。天皇にとってはどんな大国も小国も平等なので、中国だけ特別扱いはできない。だから宮内庁が「ルールどおりやってください」と伝えたところ、政権与党の小沢一郎幹事長(当時)は「何事だ!」と激怒されたとか。まあ、今回は陛下のご意思を尊重されるようなので(小沢一郎・自由党代表は皇室典範の改正で対処すべきと発言している)、きっとお考えが変わったのでしょうが。


【※注/2009年11月、習近平・国家副主席(当時)は12月の訪日に際し、天皇との会見を申し入れた。しかし天皇との会見については1か月前までに申請する慣例(30日ルール)があり、すでに1か月を切っていたため、宮内庁は応じられないと返答した。ところが、小沢一郎・民主党幹事長(当時)の強い意向が働き、慣例を破って会見は実現した。会見の4日前、羽毛田宮内庁長官(当時)は記者会見で、「政治的利用じゃないかといわれれば、そうかなという気もする」「心苦しい思いで陛下にお願いした。こういったことは二度とあってはほしくないというのが私の切なる願いだ」と異例の“抗議”を表明した】


小林:あのときの罪滅ぼしなんじゃないかな(笑)。


石破:いずれにしろ、陛下が時の権力者の道具になってしまえば、もう権威ではあり得ません。


小林:そうなんですよ。「ただ存在すればよい」なら、病気や認知症などで公務が果たせなくなってもかまわないという話になるでしょ。それでは天皇の権威が失われてしまう。


石破:それに対してはこんな反論がありました。「昭和天皇は最後の1年ぐらい病に伏せっておられたが、それでも国民は陛下を慕って、みんなでご回復を祈っていたではないか」というんです。存在自体が権威だからだ、といいたいのでしょう。


 でも、それは違う。敗戦後、先帝陛下は広島や長崎をはじめ焦土と化した国土を巡幸され、懸命に象徴としての役割を果たされた。それがあるから、病に伏されてもみんなが慕ったんです。

 

小林:そうですね。しかし1年程度ならともかく、10年も認知症で表に出られなくなったら、どうなるのか。ずっと摂政が代役を務めるわけにはいきません。


●構成/岡田仁志(フリーライター)


※SAPIO2017年4月号

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