ソフトバンク・松田宣浩に聞いた「声を出せない若手へのアドバイス」

3月18日(日)11時0分 文春オンライン

 ホークスの元気印と言えば、松田宣浩選手! ベンチでもグラウンドでも常に大きな声でチームを鼓舞する姿が逞しい熱男です。3月10日、ホークスのファーム本拠地・タマスタ筑後で初めて行われた1軍オープン戦、私はスタンドから観戦しました。


 普段のヤフオクドームの1軍の試合と違って、この日は鳴り物応援がありませんでした。改めて松田選手の声の凄さを目の当たりにしました。叫びにも近いようなズッシリ重い声は、スタンドまでしっかり響いてくるのです。さらに、4回途中でベンチに退いてからも、誰よりも声を出し、チェンジになったら一番にベンチを飛び出し、守備を終えて戻ってくるナインをハイタッチと声掛けでねぎらっていました。松田選手を見ていると、グラウンドでの“声”の大切さを改めて感じました。



ホークスの元気印、松田宣浩 ©文藝春秋


なぜ大きな声でアピールしないのか


 一方で、「せっかくチャンスをもらっているのに、なぜ、大きな声を出してアピールできないのか」。今春、しばしば耳にした若鷹への叱咤です。ずっと目指してきた1軍の舞台に立つ貴重なチャンスを得たのに、松田選手はじめ、ベテラン勢の活気に埋もれがちだったように感じました。“声を出す”、そんな難しいことじゃないはずなのに、何で出来ないんだろう……とつい思ってしまいました。


 そこで、オープン戦で“1軍”を経験した若鷹たちに聞いてみました。


 タマスタ筑後で行われたオープン戦で、“1軍ベンチ入り”のチャンスをもらった育成2年目の松本龍憲内野手は、試合前、「1番若いんで元気出して、声出していってきます」と意気込んでいました。しかし、スタンドから見ていて聞こえてきたのはほとんど松田選手の声。試合後、「声出したかったんですけど、いざ出すとなると、何て言っていいかわからなくて……」と思うように声を出せなかったことを悔やしがっていました。


 ケガ人続出のチーム事情から1軍でのチャンスをつかもうと頑張る3年目の谷川原健太捕手も、「声を出さなきゃいけないのはわかっているけど、何を言っていいかわからないです。周り、先輩ばかりなので……」と悩ましい表情。たしかに、2、3軍では周りはほとんど同世代で、何も気にせず声を出せても、1軍ではわけが違います。歳も下だし、実績もない中、日本一チームの1軍の先輩たちに元気よく声を掛ける……簡単なことではないです。「ナイスバッティング」さえ、「ナイスバッティング……です」といろいろ気を遣ってしまうようです。



若き松田おとなしかった!?


 活気不足!? の若鷹に対し、松田選手はどう思っているのか尋ねてみると、「(声の)出し方がわからないでしょ!?」と即答。第一線でプレーしながらも、若手の悩みに気付いていました。今の松田選手からは想像できませんが、「僕もそうだったから」と振り返ります。今となっては、松田選手はチームの中心メンバーで、実績もあり、立場的にも声を出しやすいです。しかし、ルーキーイヤーの2006年には、開幕スタメンをつかむも、そうそうたるメンバーの中で、当時の松田選手も今の若鷹と同じような悩みを抱えた時期があったといいます。


 松田選手の入団当初、同じグラウンドでプレーしていた先輩の柴原洋さんは、「マッチも入ってきた時は今みたいなキャラではなかったよ」と振り返ります。「(若手は)声出さないといけないけど、結果が伴わないとなかなか言えないよね。でも、アピールとして声出して、首脳陣に使ってみようと思わせないといけないし……矛盾してるけどね」。柴原さんのお話からも、若鷹のもどかしい気持ちを察します。「マッチも結果が出るようになってから、あんなふうにチームの盛り上げ役になっていったと思うよ」と柴原さん。


迷える若鷹にさりげなく助けの手を


 松田選手も通ってきた道だからこそ、愛情を持って若鷹を鼓舞してくれます。「2軍、3軍と1軍は雰囲気も違うし、萎縮してしまうのも当然! 1軍との違いを肌で感じてくれたら、それだけでもいい経験だしね。でも、それを乗り越えてきて欲しいよね」。思うように声を出せなかったという若鷹たちに対し、「でも、(堀内)汰門や谷川原、この間ベンチ入った松本(龍憲)なんかも頑張って声出してたよ」と評価してくれていました。



 きっと、頑張って声を出せたのも、松田選手のお陰。「“元気出せ〜”ってベンチでマッチさんが声掛けてくれます。あんなに声出せる人、他にいないです」。谷川原捕手も松本龍選手も感激の様子でした。オープン戦で1軍初出場した3年目の黒瀬健太内野手も、「松田さんが“クロいくぞ〜”といつもベンチで声掛けてくれるので、一緒になって声を出しやすかったです」と話していました。悩める若鷹にさりげなく助けの手を差し伸べてくれる優しい先輩です。


「僕も当時、小久保(裕紀)さんや(川崎)ムネさんについていくだけだったんでね。だから、先輩についていって(一緒に声)出せたらいいんじゃないですかね。……ってみんなに言っといてください」と熱男先輩がニコリ。


 声を出すのは、簡単なことのようで難しい。でも、それを乗り越えてこそつかめるチャンスがある。ホークスには、それをアシストしてくれる偉大な先輩がいる。“声”から様々なものが垣間見えました。若鷹たちが、この経験から“もう1頂!”乗り越えていく姿を楽しみにしていたいと思います。ということで、若鷹の皆さん、松田選手からの伝言でした!



(上杉 あずさ)

文春オンライン

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