リトル・フィートすらも平伏させたという傑作~矢野顕子『JAPANESE GIRL』~平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載

3月18日(水)12時0分 耳マン

音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。


第84回:リトル・フィートすらも平伏させたという傑作


今回ご紹介するのはこちら。

矢野顕子『JAPANESE GIRL』(1976年)

日本音楽界にその名を残す「天才」と呼ばれる矢野顕子に、全然世代は違えど音楽好きとして興味が湧かないはずはない。ちゅうことでジャケットの素敵さにもつられて彼女のデビュー作でもある『JAPANESE GIRL』を購入。

当時まだ弱冠21歳のうら若き乙女によるデビューアルバムだが、一聴してただ者でないことは理解できる。スーパーシンプルな言葉で説明してしまうととっても「珍妙」なことをやっているアルバムである。形式的にはロックのカテゴリーのなかにありながら、青森の民謡をアレンジした曲や各所に和楽器を導入するなど純邦楽の要素も混ぜ込み、バックバンドにはアメリカのサザンロックの雄、リトル・フィートを起用。そこに彼女の日本的なクセの強い節回しの歌唱が乗るものだから、おおよそデビューアルバムとは思えない老獪(ろうかい)さすらも感じさせるのだ。大喜利で言うなら10番目くらいに出すような内容をいきなり一発目で出してきたようなものなので、初めて聴く人にはすぐには受け入れづらいところもあるかもしれない。

しかしその「珍妙」がただ「珍妙」なだけで終わることなく、しっかりとした音楽としてのレベルの高さを兼ね備えているからこそ、彼女が「天才」として世に認められたのは言うまでもないことである。何しろバックバンドを務めたリトル・フィート(あの桑田佳祐さんの憧れのバンドでもある)のローウェル・ジョージが彼女の才能に度肝を抜かし、自分たちの演奏が彼女のレベルに追いついていなかったことを詫びてギャラはいらないとまで言ったというのだからすごい。個人的にはローウェル自身が吹く尺八も含め上手く日本的な感覚を表現したギタープレイなどは素晴らしいと思ったが。それにしてもとんでもないエピソードである。(次ページへ)

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耳マン

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