稲田防衛相 弁護士のくせに自己弁護がヘタすぎる理由

3月18日(土)16時0分 NEWSポストセブン

森友学園問題で稲田防衛大臣も窮地に…

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 経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、国会で厳しい追及を受ける稲田防衛大臣の心理状態を分析。


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 稲田朋美防衛相が「記憶に基づいた答弁」で謝罪した。これまでにも度々、大臣としての資質に欠けるのではと言われてきた稲田氏。今度は、学校法人「森友学園」問題に絡み、野党から「虚偽答弁だ」と追及を受けている。


 13日の参院予算委員会では、「森友学園」の法律相談や訴訟への関与を問われながらも、「裁判に行ったこともない」と語気を荒らげて断言。ところが2004年の民事訴訟の口頭弁論に代理人弁護士として出廷した記録が出てきた途端、翌日には事実確認できたとして「訂正し、お詫びする」と答弁を撤回、謝罪したのだ。


「断定する前になぜ、確認しなかったのか」


 謝罪する稲田氏に野党が何度もぶつけた質問だが、13日の衆院予算委員会での民進党、小川敏夫議員とのやり取りを見てみると、こう問いたくなる野党の気持ちもわかる。


 追い詰める小川氏に反論する稲田氏。この質疑応答は、そこらへんの法廷ドラマより断然面白い。何が面白いのかというと、2人は共に弁護士同士。証拠や発言の重要性を誰よりも熟知している、答弁や論争のプロのはずだからだ。


 弁護士である稲田氏の夫との共同法律事務所と森友学園との関係について、小川氏は何度も、同じような質問を繰り返した。その度に稲田氏は全面否定。答弁に立つごとに、手振りも大きく口調も荒くなっていく。答弁が終わってもすぐに席に戻らず、数秒間、演台の前に立っていたのは、憤りや腹立たしさが強くて気持ちがおさまらず、反論し足りないという意識があったためだろう。


 それでも小川氏は、冷静に言葉を換え証拠を小出しにしながら質問を続ける。だが、イライラしている稲田氏は、民事訴訟の具体的な年が提示されても、侮辱するなと言わんばかりに反論するだけで、包囲網が狭まったことに気がつかない。


 そのうち繰り返される質問に嫌気が差してきたのか、答弁が終わるとふてくされたように演台からブラン、ブランと手を放す。もう、こんなのやってらんない、そんな感じだ。


 ここまでの質問で、「確認する」と言えるチャンスは何度もあった。だが自分の記憶が正しいと思い込んでいる稲田氏は、そのまま暴走する。


 しかしついに、稲田氏が訴訟代理人になっている裁判資料が提出される。万事休す。


 普通ならここで白旗を上げ、確認するから時間をくれと口にするところなのだが…。それを見た稲田氏は、突撃よろしく突っ込んだのだ。さらに感情をあらわにし語気を強め、籠池氏の「顧問をやってもらった」という発言を「全くの虚偽だ」と言い切った。



 相手の感情を煽って冷静さを失わせ、感情が爆発するよう仕向けていく裁判シーンはよくあるが、稲田氏は自分からはまっていった感が強い。感情にのみ込まれ、質問者の意図にまるで気がつかない。自分で何度も「先生も御存じのように…」と口にしながら、弁護士相手に答弁しているという認識がどこかに吹っ飛んでしまったようだ。


 ここまで責められているのだから、確実な証拠があるに決まっている、なんでわからないんだろうなぁ? ドラマならみんなそう思うところだ。


 さすがに「まずかったのでは…?」と不安を感じたのだろう。断言した後は、胸の前で両手を組むように二の腕をつかみ、席に戻った。この仕草は、見たくないこと聞きたくないことをブロックし、心理的に自分を守ろうとするものだ。また、二の腕をつかむことで、不安な気持ちを落ち着かせようとしたのだ。なんとも自己弁護がヘタな弁護士ではないか。


 さて、稲田氏が答弁で断言した理由は「自分の記憶に自信があったから」だ。


 稲田氏は、自分が一番正しいという思い込みがとても強いのだろう。そして、人の間違いは正さなければならないという意識が人一倍あるのだと思う。その結果、自分の意見や考えを優先させて判断し、相手の話に耳を貸そうとせず、周りも見えなくなる。いや、周りを見ようとしなくなる。


「確証バイアス」が強いのだろう。確証バイアスとは、人は自分に都合のよい情報や証拠だけを集めて受け入れて保持し、それに反する情報や証拠は受け入れにくく、探そうとしなくなる心理的偏りのことだ。


 稲田氏の場合、ここに弁護士という職業的正義感と子供の頃から育まれた保守派思想が重なり、確証バイアスがより強固になっていると考えられる。そのため、反論されたり批判されたりすればするほど、反発が大きくなり攻撃性が強くなる。


 また自分の正当性への思い込みが強いと、自身に関することで確認する、裏付けを取るということが難しくなると推測できる。確認や裏付けは、記憶への不安や自分への信頼を否定することにつながりかねないからだ。


 国会では謝罪するも、顔を上げると口をすぼめて唇を突き出した。このアヒル口は、稲田氏が時折見せる表情の一つ。相手の言っていることやしていることと意見が違う、異を唱えたいという時に出やすい仕草だ。稲田氏にとっては、謝罪しなければならないことがきっと不本意だったのだろう。


 確証バイアスも度が過ぎると、見えているはずのものが見えなくなり、思わぬ失敗に足元をすくわれてしまう。国の防衛にまで、稲田氏の確証バイアスが影響しないことを願うばかりだ。



NEWSポストセブン

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