森高千里は「人柱」にされる? タレント頼みのテレビ編成に辟易

3月19日(木)17時0分 messy

『ザ・シングルス』ワーナーミュージック・ジャパン

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 4月は各テレビ局が大幅に番組編成を組み替える春の改編期。かつて絶好調で民放トップを走っていたフジテレビはこの数年、視聴率低迷にあえぎ、様々なテコ入れをしたきた。今回の改編では、21年ぶりに生放送のレギュラー音楽番組をスタートすることに決めたという。その柱となるのが、歌手の森高千里(45)だそうである。

 時間帯は水曜夜8時で、番組名は『水曜歌謡祭』。森高がアンジャッシュ・渡部建(42)と2人でMCを務めるそうだが、森高のギャラは1本100万円と高額を予定されているという。メディア露出が少なく売れる音楽をリリースし続けるタレントでもない森高に対して、これは破格の金額だそうだが、起用したメディア露出が少ないからこそ希少価値が高いと考えているのかもしれない。

 この人事は2013年にフジテレビ社長に就任した亀山千広氏(58)が直々に采配したもので、亀山社長から森高へは相当な期待が寄せられているという。森高は1986年に「ポカリスエット」のイメージキャラクターとして芸能界デビューし、87年から本格的に歌手活動をスタート。作詞作曲を手掛け、楽器も演奏するうえ、アイドル声に美形の顔立ち、美脚もミニスカート衣装で惜しみなく強調して人気歌手となった。活躍したのは主に90年代で、99年に俳優の江口洋介(47)との子供を妊娠したことで結婚を発表してからは、一線を退いていた。デキ婚ではあるのだが、今も家庭円満と評判で、夫婦そろって好感度はすこぶる高い。

 しかし歌手デビュー25周年となった2012年に、本格的な歌手活動再開を宣言。Youtube公式チャンネルや各種公式SNSアカウントを立ち上げ、メディア露出も増やしはじめた。1男1女が健やかに成長し、共に10代に入ったことで子育てが一段落したとして、活動再開に至ったわけである。久々に公の場に姿を現した森高は、20代当時と変わらないどころか、ますます洗練された美貌の女性になっていて、「奇跡の40代」「劣化しなさすぎ」とネット上で話題になった。フォトショップに代表される写真レタッチ技術が発達し一般化したことにより、写真と実物では肌のキメやツヤがかなり異なる歌手やモデルも少なくないが、森高は生放送番組に出演して歌って踊っても、粗が目立たなかった。

 森高の起用は、「高い好感度」「全盛期から衰えぬ容姿」「音楽の素養があるため音楽番組MCができそう」「中高年の視聴者を呼び寄せるPR」「スケジュール確保が容易」など様々な要因がからみあって決定したものと言えるだろう。



 だが、こうしたタレント頼みの番組編成にはいい加減にうんざりする。たとえこの新番組の視聴率が10%台で安定してもそれは森高のおかげではないだろうし、視聴率が同時間帯最下位でも森高の責任ではないだろう。それでも、仮に1桁台連発で早々に打ち切りとなったとしたら、森高が叩かれる構図が目に見える。タレントの肩に期待をかけすぎることは、人柱にするに等しいのではないだろうか。そうして視聴率低迷のレッテルを貼られてタレントとしての価値がダウンすると、なかなか取り返せない。ただ、それくらい森高側もわかっているはずなので、新番組MCオファーを受けたのは彼女にとっても「復活」のための賭けなのかもしれない。

 そもそも、「誰それが出演するから見たい」という動機でのリアルタイムのテレビ視聴が2015年現在、一般的と言えるだろうか。もちろん、滅多にテレビ出演をしないアーティストが出演するならば「せっかくだから見たい」と思うかもしれないし、熱意あるファンは録画するだろう。だが、「この人がMCだから毎週見たい」と視聴者は思っているだろうか?

 ここ数年では、有吉弘行とマツコ・デラックスがMCとして各局引っ張りだこで、マツコにおいてはどの番組も高視聴率で推移しているという。しかしそれを単純に「マツコが出ているから視聴者が食いつくのだ」と結論づけることはできない。タレントありきの番組づくりにしてしまうと、キャスティング以外のスタッフは存在意義がなくなる。演出・構成・リサーチ・編集、さらに照明・音声・衣装・カメラなど多くの立場のスタッフがそれぞれの業務を遂行して番組がつくられるわけだが、タレントのネームバリューや好感度次第で視聴率が高低するならば、制作スタッフは何の仕事をするのか。これは当然、音楽番組やバラエティに限らずテレビドラマでも同様で、低視聴率に終わった作品の主演俳優が「数字を持ってない」と叩かれるのはおかしな話である。キャスティングがすべてではない。見たいものが放送されていないからチャンネルが合わないだけだろう。
(糊子海苔雄)

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