東大人気に陰りか 関東進学校で京大合格者増の現象も

3月19日(火)7時0分 NEWSポストセブン

最難関の東大受験に異変

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 平成最後の入試も国公立大の前期合格発表が終わり、大詰めを迎えている。最難関の東京大学、京都大学の大学合格者出身校別人数(3月15日現在のデータ)では、これまでとは異なる傾向が明らかになってきた。大学通信・常務取締役の安田賢治氏が、今年の東大・京大入試を総括する。


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 今年の東大合格者の出身高トップは開成(東京)の188人で、38年連続トップを堅持。これで開成は平成時代すべてトップとなった。内訳を見ても、理IIIを除き、すべての学類でトップに立った。


 東大ランキングでは、今年は大きく躍進した学校が目立った。渋谷教育学園幕張(千葉)は昨年に比べて24人増の72人。昨年は一昨年の78人から48人に激減していたので、それが戻ったと見られる。


 聖光学院(神奈川)は21人増の92人で過去最高の合格者数だ。大手塾によると、海外留学体験や音楽体験、OBや専門家の話を聞く機会を設け、生徒のモチベーションを上げる教育が実績に結びついたのではないかと言う。それでいて受験の面倒をしっかり見ていることも大きい。


 今は詰め込み教育で、難関大合格者を増やすのには限界があることが明らかになってきている。やはり、さまざまな体験を通し、好奇心を持たせることが、一見、遠回りなようだが、大学合格実績の伸びにつながるようだ。


 体験学習、フィールドワークなどに取り組み、学校行事、部活動に力を入れる。アクティブラーニング、パソコンを使ったICT教育などを行い、それでいて学習にも力を入れるバランスの良い教育を行っている学校が伸びているようだ。


 今年、初めて東大トップ10に入ったのが久留米大付設(福岡)だ。昨年より27人合格者が増え50人が合格した。福岡の学校がトップ10に入ったのは初めてのことになる。久留米大付設は医学部に強い学校として知られるが、1990年の51人合格以来29年ぶりの50人合格となった。共学化後はじめて6年一貫の女子が卒業し、この飛躍につながったと見られる。


 ちなみにホリエモン(堀江貴文氏)の母校としても有名だが、ホリエモンは1991年に東大に合格(文学部中退)。今年もテレビの企画で東大受験にチャレンジしたが、残念な結果となったようだ。


 今年の東大の入試問題は大手予備校によると、文系では英語、古文、世界史が易しくなり、数学、理科が難化したという。女子が得意な科目が易しくなって差をつけられず、女子が苦手とされる科目が難化したため、女子受験生には逆風となった。


 今年の東大の女子合格者は、昨年に比べ41人減って510人だった。逆に男子が得意な分野が難化することで差をつけることができ、開成、聖光学院、駒場東邦(東京)、浦和・県立(埼玉)など男子校が大きく合格者を増やした。


 その男子校の中で18人合格者を減らして73人となったのが灘(兵庫)だ。今年は卒業生219人中、文系の生徒が極端に少なく、理系が180人以上だったという。今年の文科類の合格者が、昨年の26人から13人に半減している。理IIIは昨年より5人増えて20人合格でトップだった。


 中高一貫校の強さが際立つ中で、公立トップは東京の日比谷だ。次いで浦和・県立41人、岡崎27人、旭丘26人(ともに愛知)、横浜翠嵐(神奈川)21人の順だ。


 公立一貫校(中等教育学校含む)も躍進している。全国の51校から169人が合格。トップは千葉・県立(千葉)の19人だ。中等教育学校では小石川(東京)が16人でトップだった。公立一貫校は規模が小さいところが多く、小石川の卒業生数も156人ということもあり、1校当たりの合格者は少ない。


 一方の京大合格高はどうだったのか。後期・法学部の20人募集の入試を除いての集計だが、トップは2年連続で大阪の公立の北野だった。昨年より合格者は12人減って72人。2位が東大寺学園(奈良)の67人で、昨年より10人増えた。3位は洛南(京都)で12人減の64人、4位は堀川(京都)で5人増の51人だった。


 東大よりトップ校の合格者数が少ない特徴がみられた。東大トップの開成は188人で、北野は72人だから、京大トップは東大トップの半数以下ということになる。合格者総数は京大が2838人に対して東大は3084人なので、これほどの差になるとは思えない。京大トップが3桁を超えたのは2009年の洛南の105人が最後だ。


 これはひとつには、西日本で医学部人気が高いことが理由と見られる。京大の理系学部より、他の国公立大の医学部を狙う受験生が多いからだ。特に中高一貫校にこの傾向がはっきりとうかがえる。医師不足の地域、診療科解消のため、2008年から医学部は定員増に踏み切る。それにつれ、京大トップ校の合格者数が減り始めている。


 東大人気に陰りが出ていることもあるのかもしれない。今年は主に法学部に進学する文科一類の合格最高点、最低点、平均点が、主に経済学部に進学する文科二類を下回った。今までになかったことだ。文一より文二のほうが入りにくかった。東大法学部といえばキャリア官僚になる卒業生が多いが、その官僚の魅力が下がっていることも影響しているのだろう。


 さらに、京大人気が全国化していることもある。今年、地元近畿地方の2府4県からの合格者の割合は47.7%で5割を切った。東大の地元関東地方からの合格者割合59.1%と比べてかなり低い。合格者を送り出した高校数も東大の400校に対して456校と多く、すそ野が広がっていることがわかる。


 山中伸弥教授のノーベル賞受賞以降、“研究の京大”のイメージがさらにアップしたことが大きい。関東地方からの京大合格者も増えている。例えば、都立の国立(東京)は東大合格者の16人を上回る19人合格。浦和・県立18人、海城(東京)15人、前橋・県立(群馬)は東大の7人を上回る13人、麻布(東京)も13人が京大に合格した。


 以前は「東大がダメなら京大」との考えもあったが、近年は初めから京大狙いの受験生も多い。むしろ、東大がダメなら東京工業大や一橋大を狙うという。昔は首都圏の受験生は“都落ち”を嫌って、地元の大学進学を目指すと言われたが、今の状況は変わってきているようだ。

NEWSポストセブン

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