【特集】『007』ダニエル・クレイグ後任の7代目ジェームズ・ボンド役は誰の手に ─ 筆頭10名を徹底分析

3月19日(金)8時0分 THE RIVER

2006年公開の『007カジノ・ロワイヤル』より、前任のピアース・ブロスナンから6代目としてジェームズ・ボンド役を襲名した俳優ダニエル・クレイグが、シリーズ25作目『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』をもって遂に同役から卒業する。あいにく、クレイグ版ボンドの有終の美は、コロナ禍の影響による度重なる公開延期で、2021年10月までお預けとなっているのが現状だ。

クレイグの卒業が判明している今、ハリウッド界、そして『007』シリーズのファンの間で大きく注目されているのが、7代目ジェームズ・ボンドが誰になるのかということ。2020年10月、プロデューサーのバーバラ・ブロッコリは次なるボンド役について「まだ考えられていない」と明かしていたが、確たる候補が決まっていないからこそ、“予想合戦”はヒートアップするものだろう。

本記事執筆時点までに、ハリウッド界では次期ボンド役を巡って「我こそは!」と手を挙げる者や「彼こそがボンド俳優だ」と推薦する者、ベテランから若手まで、様々な役者が7代目ボンドに関する意見を述べてきた。

本記事では、過去の証言に基づきながら、7代目ボンド俳優候補をピックアップして紹介していきたいと思う。と、その前に。読者の皆様にも、文章を読み進めていきながらどの人物がボンド役にふさわしいかを考えてもらうべく、1つの基準としてイアン・フレミングによる原作小説に登場するジェームズ・ボンドの人物像をざっくり紹介させていただこう。

なお、THE RIVERでは「次期ボンド俳優予想合戦」なるものを開催する。自身が思い描く理想のボンド俳優にベットして頂き、その結果を後日記事で紹介。読者の皆様による最有力候補を決める。あわせてチェックだ。

7代目ボンド予想合戦の参加はこちらから

原作小説のジェームズ・ボンド

英国秘密情報部(MI6)のスパイであるジェームズ・ボンドは、その所属からも明白だが、イギリス出身。正確には、スコットランド人の父親とスイス人の母親より生を受けた。

詳しい年齢は不明だが、小説第3作『ムーンレイカー』の時点で30代半ば。背丈は6フィート(約183センチ)ほどで、体重は75キロ前後。黒髪で青みがかったグレーの瞳。ジャマイカやバハマなど、任務先に中南米が多いからだろうか、肌は浅黒い。

小説に出てくるボンドガールの何人かは、ボンドの容姿を実在した人物に例えてもいる。アメリカ出身の作曲家・歌手・ピアニスト、ホーギー・カーマイケル(1899-1981)だ。

Hoagy Carmichael ホーギー・カーマイケルホーギー・カーマイケル:Public Domain https://en.wikipedia.org/wiki/File:Hoagy_Carmichael_-_1947.jpg

例えば、第1作『カジノ・ロワイヤル』に登場するヴェスパー・リンドは、同僚のボンドをひと目見て「ホーギー・カーマイケルを思い出させる」と心の中で語っている。カーマイケルは、真っ直ぐ伸びた高い鼻とシュッとした顎のラインが特徴的な顔立ちだ。小説第3作『ムーンレイカー』に登場する警視庁特別部の婦人警官ガーラ・ブランドも、ボンドにカーマイケルの姿を重ねている。

それまで黒髪だったボンド俳優たちのイメージを打ち破る金髪ボンドとして注目された6代目のクレイグは例外としても、初代のショーン・コネリーから5代目ピアース・ブロスナンまで、基本的には小説に描かれるボンド像がベースとなってきた。ただし、6代目のクレイグでそれまでのボンド像が一新されたこともあり、きたる7代目を予想していくにあたっては、もはや小説と映画でのボンド像は切り離して考えるべき、というのも一理ある。上述の通り、あくまで1つの基準として小説のボンドと照らし合わせていただけると幸いだ。

それでは、7代目ジェームズ・ボンド候補の紹介に入っていく。なお、書き進めていくにあたっては筆者の希望的観測が含まれてしまっているかもしれないが、そこはどうかご容赦いただきたい。

ヘンリー・カヴィル

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』ジャパンプレミア トム・クルーズ、サイモン・ペッグ、ヘンリー・カヴィル、クリストファー・マッカリー監督©THE RIVER

まずは、次期ジェームズ・ボンド筆頭とも言えるヘンリー・カヴィルから。カヴィルには、2005年当時に検討されていた6代目ジェームズ・ボンドの候補のひとりとして名を連ねていたという過去がある。当時22歳であったカヴィルは、“ボンドを演じるには若すぎる”という理由から選出されなかった。

それから約15年。カヴィルはこの間に、DC映画『マン・オブ・スティール』(2013)や『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)などに出演し、スーパーマン俳優としての地位を築いた。また、『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015)や『ミッション:インポッシブル』シリーズ第6作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)で諜報員を演じるなど、6代目ボンド落選後もスパイ役への積極的な意欲を示してもいる。

まさにボンド街道まっしぐらとも言えるようなキャリアを歩んできたカヴィルは、2020年9月時点で「興味を持たれれば、その機会には必ず応じる」と、ボンド役への変わらぬ願望を見せていた。7代目ボンド役に選ばれるのは、フランチャイズを手がけるバーバラ・ブロッコリやマイケル・G・ウィルソン次第というような勢いさえあるカヴィルだが、実際の可能性としてはどれほどのものなのだろう。

ここで興味深い学術研究を紹介しよう。ジェームズ・ボンド学なる学問の国際学術誌「International Journal of James Bond Studies」の編集員として所属するイギリスのイアン・キネーン教授によるものだ。キネーン氏は、上述のキャリアを歩んだカヴィルが次期ボンド役に適任かどうかについて、「カヴィルはボンドを演じるのに有名すぎる」と持論を展開。ジェームズ・ボンドと並んで象徴的なキャラクターであるスーパーマン役のイメージが定着したカヴィルを“製作側は次期ボンド役に起用しないのでは”と推測しているようだ。言われてみれば納得させられる部分は多少なりともある。

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名実ともに理想のボンド像を持つカヴィルだが、彼の“有名すぎる”キャリアが選考にあたってどう左右してくるのか、注視しておくべきだろう。

サム・ヒューアン

Sam Heughan サム・ヒューアンPhoto by Gage Skidmore https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sam_Heughan_by_Gage_Skidmore.jpg

続いては、ボンドと同じスコットランドの血を引く俳優サム・ヒューアン。2014年から続く人気ドラマ「アウトランダー」(2014-)の主演などで知られている。1980年生まれの40歳で、身長は191センチ。カヴィルと同様に抜群のスタイルを持つ。

ヒューアンが次期ボンドについて言及したのは、2020年10月。豪The Daily Telegraphのインタビューに応じたヒューアンは、「次期ジェームズ・ボンド役にあなたの名前が挙げられていますが、もしそうなったら応じますか?」と直球の質問を投げかけられた。これにヒューアンは、「間違いなく、イエスです」と返答。快諾の姿勢であるようで、「どの俳優も演じたい役です」とボンドへの憧れを明かしている。

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その一方で、ヒューアンは持論を展開。「ほどほどに有名なイギリス人俳優でスーツを着てしまえば、すぐにその人のファンが(次期ボンド役に)投票してしまいます」と、きわめて合理的で冷静な意見を述べている。仮にヒューアンが抜擢された場合、身長が190センチを超えるボンドは初(これまでは、初代ショーン・コネリーが188センチで最高身長)。また、「アウトランダー」で一気に知名度を獲得したヒューアンがボンド役を演じるとなれば、キャリアの更なる飛躍も間違いないだろう。

イドリス・エルバ

Idris Elba イドリス・エルバPhoto by DFID - UK Department for International Development https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Actor_Idris_Elba_at_the_%27Defeating_Ebola_in_Sierrra_Leone%27_conference_(15418119105).jpg

これまで、ジェームズ・ボンドは白人俳優によって演じられてきた。その一方で、7代目ボンド役について、プロデューサーのバーバラ・ブロッコリ&マイケル・G・ウィルソンは「どんな肌の色もありうる」との意向を示している

こうした製作側の発言もあり、次期ボンド役の候補として呼び声が高いのが、「刑事ジョン・ルーサー」(2010-)や『マイティ・ソー』シリーズのヘイムダル役などで知られるイドリス・エルバだ。2021年2月現在48歳のエルバは、候補者の中では年上組に属するが、そのキャリアや身に纏う風格などからボンド役候補に名を連ねているのも全く不思議ではない。

エルバといえば2018年当時、初の黒人ボンド役として抜擢される可能性が伝えられ、一気に候補者として躍り出たものの、これは後に否定されている。エルバ本人もインターネット上で交わされる次期ボンド役に関する議論を把握していたようで、黒人版ボンド論に否定的な意見には傷心していたことも明かしていた。

こうした政治的意図が含まれうる推測とは別に、エルバがボンド役を演じるにあたって直面することになるのは、やはり年齢の難壁だろう。『ノー・タイム・トゥ・ダイ』が公開されていない現状、次回作が作られるのは当面先のことだろうから、エルバがボンドを演じる頃には恐らく五十路を迎えている可能性が高い。仮に抜擢された場合、これは史上最年長の46歳でボンド役に就任した3代目ロジャー・ムーアをも超えることになる。

2016年の時点で「少し年を取りすぎている」とも語っていたエルバ。裏を返せば、黒人初と史上最年長、二重の意味で新たなボンド俳優が誕生することは間違いないのだが…。

トム・ヒドルストン

トム・ヒドルストンPhoto by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/48469126682/

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のロキ役でおなじみ、トム・ヒドルストン。仮にも“英国紳士感”という評価基準があるのであれば、筆者のナンバー1はヒドルストンだ。オックスフォード大学を構える英オックスフォード近郊で幼少期を過ごしたヒドルストン。学び舎をケンブリッジ大学に定め、演劇に傾注、名門ロンドン王立演劇学校でその表現力に磨きをかけた。

そんなヒドルストン、次期ボンド役としてファンからご指名がかからないはずもなく、2016年6月には本人も言及している。米フィラデルフィアで行われたウィザード・ワールド・コミコンに登壇したヒドルストンは、司会者より「次期ボンド役をあなたが演じる発表が来るのでは?」と訊かれると、「ガッカリさせてすみませんが、発表されないと思いますよ」と噂を否定。一方で、「そうした(ファンの)熱意を聞けて感謝しています」とも語った。続けてヒドルストンが話した「正直、私も全然わからない」という言葉から察するに、2016年当時はヒドルストンの元にオファーは届いていなかった模様だ。

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当時、次期ボンド役にヒドルストンの名が挙げられていたのには、その数ヶ月前まで放送されていたドラマ「ナイト・マネジャー」(2016)で、ヒドルストンが英情報機関MI6のスパイ役を演じたことが影響していたのかもしれない。ともあれ、仮にもヒドルストンが次期ボンドとなった暁には、歴代ボンド俳優でもとりわけ、均整の取れたワイルドさと温厚さを併せ持つショーン・コネリーのようなボンドを期待したい。

ハリー・スタイルズ

ハリー・スタイルズ Harry StylesPhoto by Irener 12356 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Harry-gtres-t.jpg

クリストファー・ノーラン監督『ダンケルク』(2018)にて俳優デビューを飾ったハリー・スタイルズ。以降、ミュージシャンとしての活動と並行して俳優業にも精を出している。

1994年生まれのハリーは、本記事で挙げられている候補者の中で年少組に属する26歳。先に触れたヘンリー・カヴィルの例もあるため、ボンド役には若すぎるのかもしれないが、それでもハリーを次期ボンド俳優に推すファンも少なくないようだ。

そもそも、ハリーがボンド候補として注目されたのにはきっかけがある。2020年、英タブロイド紙The Sunが、ハリーが次期ボンド役に関する打ち合わせのために『007』シリーズの関係者と面会したと伝えたのだ。ところが同年10月、ハリーの広報担当がこの報道を「事実とはかけ離れたもの」としてきっぱりと否定した。

とはいえ噂が否定される少し前には、ハリー本人が『007』、ひいてはボンドを演じることについて言及。歴代の映画シリーズを「観て育ってきた」というハリーは、「子どもの頃からボンドが大好きでした」と語っている。これを踏まえた上で、「誰にとっても夢のような事なんじゃないでしょうか」と前向きに捉えられる発言を繰り出した。

面会の事実が否定された現状、並み居る候補の中で20代のハリーがボンド役に抜擢される見込みは薄いのかもしれない。ただ、その若さを活かしたボンド役としての登場も可能だと筆者は考える。

これはあくまで仮の話だが、7代目ボンドによる映画の劇中で前日譚を組み込む、つまり若き日のボンドを登場させるというアイデアだ。原作小説でもボンドの出自に関する言及がいくつも見られており、演出レベルでは不可能でないはず。この案であれば、若き日のボンド役をハリーが演じるのも合理的かと思うのだが…。

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ジョン・ボイエガ

ジョン・ボイエガ John Boyega

『スター・ウォーズ』シリーズ続三部作のフィン役で一躍有名となったジョン・ボイエガも次期ボンド役に名乗りを上げている。ただし、仮にオファーを受けるとして、ある1つの条件があるという。

その条件とは、『それでも夜は明ける』(2013)などで知られるスティーヴ・マックイーン監督がメガホンを取るというものだ。ボイエガとマックイーン監督は、アンソロジーシリーズ「Small Axe(原題)」(2020)でタッグを組んでいる。米MTVのインタビューに応じた「Small Axe」共演者のレティーシャ・ライトが次期ボンド役にボイエガを推したことを受けて、このことを訊かれたボイエガは、「聞いて下さい」と注意を引いてから、こう続けた。「スティーヴ・マックイーンが監督するなら、是非やりましょう!」。

仮にボイエガが次期ボンド役に抜擢されれば、イドリス・エルバと同じく黒人初のジェームズ・ボンドの誕生ということで、『007』シリーズにおける歴史的快挙となる。このことをボイエガは念頭に置いているのか、「何か別のことを見せられると思うんです」と意気込む。「それでも洗練されたものをお届けするんです。ジェームズ・ボンドはジェームズ・ボンドでなければいけない。これを踏まえた上で、何か(違うことを)やりたいですね」。

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ボイエガがボンドを演じる上でファンの間で懸念されうることとしては、身長だろうか。175センチのボイエガは、185〜189センチの身長である5代目までの歴代ボンド俳優と比べて10センチ以上低い。唯一、6代目のダニエル・クレイグが身長178センチで歴代初の180センチを下回った。これをカバーするための方策として、作品では背を高く見せるためにクレイグにヒールを履かせて撮影が行われたとも言われている

クレイグ版『007』は、作品を重ねる度に大ヒットを記録。歴代シリーズのなかでも成功を収めている。時代が求めるボンド像さえ演じきり、一度受け入れられてしまえば、それはもう“世界が愛したスパイ”だ。

ちなみに、ボイエガはマックイーン監督の「Small Axe」で自身初のゴールデングローブ賞を受賞した。この直近での功績もボイエガをボンド役に導く大きな後押しとなるかもしれない。

トム・ホランド

トム・ホランドPhoto by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28652895005/

『スパイダーマン』シリーズでおなじみ、トム・ホランド。1996年、イギリス・ロンドン生まれの24歳だ。紳士の国イギリスで生まれ育ったトムも、自国の英雄ジェームズ・ボンドをいつか演じたいと夢見ているようだ。

2021年2月頭、米Varietyのインタビューにて、演じたいキャラクターを訊かれたトム。「映画好きな英国男児としては…」と切り出し、「いつかジェームズ・ボンドになりたいですね」と意欲を示した。トムは、ボンド俳優になるための最低限の必要条件とも言えるスーツの着こなしについても自信をのぞかせている。「一応言っときますが、僕のスーツ姿はかなり良いですよ」。

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現時点で24歳のトムは、ハリー・スタイルズやジョン・ボイエガと同様、次期ボンドを演じるにあたってその若さが1つハードルとなってきそうだ。しかし、アクション俳優として名高いトムには大きな切り札がある。ずば抜けた運動神経だ。私生活からスポーツに打ち込むトムは、『女王陛下の007』『007 私を愛したスパイ』でのスキーや『007 ゴールドフィンガー』でのゴルフなど、ボンドが得意とする種目をラクラクとこなす。これはボンドを演じる上での大きなアドバンテージになってくるだろう。

また、トムと言えば『スパイダーマン』で見せるようなアクロバットも特技の1つとして知られている。バク宙、バク転などを華麗にやってのけるトムであれば、超人的なアクションスキルを持つ新たなボンドが見られるはずだ。

とはいえ筆者を懸念させるのは、スーパーマン俳優のヘンリー・カヴィルがそうであるように、スパイダーマン俳優としてのイメージが固定化されている点。製作側にとっても、現在進行形でスパイダーマンを演じているトムに、ボンド俳優としての肩書きを背負わせるのは得策でない気もする。ボンド役の適齢期かつ、スパイダーマン役も次世代に渡しているであろう10年後くらいが、トムにとってボンド役を演じるふさわしいタイミングなのかもしれない。

トム・ハーディ

Tom Hardy トム・ハーディPhoto by GabboT https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_Drop_32_(15067102739).jpg

『ダークナイト ライジング』(2012)『マッドマックス 怒りのデスロード』(2015)『レヴェナント: 蘇えりし者』(2015)『ヴェノム』(2019)など、硬派な役どころを演じてきたトム・ハーディ。それぞれ全く違う設定の役でこそあれ、共通して見られる芯のある演技は、ハーディにしか表現できない重厚感をまとっている。

そんなハーディは、ファンだけでなく『ゴッドファーザー』シリーズや『地獄の黙示録』(1979)などで知られるロバート・デュバルのようなハリウッドの重鎮にもボンド役として推薦されている。

『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の企画に前進が見られ始めた2018年頃、これと同時に次期ボンド俳優への注目が大きく集められていた。この時期に、ハーディは筆頭候補として名を挙げられている。同年のエイプリルフール(4月1日)には、クレイグの後任ボンド役にハーディが決まったというフェイクニュースが、海外メディアによって拡散されるハプニングが発生。この翌日、ハーディも自身のInstagramで反応を見せており、同報道を否定していた。現在までにハーディが次期ボンド役を継ぐ有力情報は浮上していない。

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仮にハーディがボンド役を演じるとして、是非期待したいのは、『ダークナイト ライジング』でのベイン、『マッドマックス 怒りのデスロード』でのマックスというように、ハーディが具現化してきたキャラクターでの知見や経験を活かした、アンチヒーロー要素をまとわせた新たなボンド像の確立だ。

これまで正義の象徴として存在し続けてきたボンドだが、決して綺麗事では片付けられない混沌とした現代においては、アンチヒーローの持つリアリティが受け入れられつつある。小説家の服部真澄氏は、原作シリーズ第6弾『サンダーボール作戦』のエピローグにて、正義の仮面を被せられてきたボンドのイメージを覆しうる見解として、以下のように綴っている。

「彼(ボンド)がそれまでに手にかけてきた敵陣の人間たちは、00課から見れば悪であるけれど、自陣のなかでは英雄だ。とすれば、敵陣からみたジェームズ・ボンドは悪なのか。コインに裏と表の両面があるように、視点を変えれば正義のありようも変わるのか。」
イアン・フレミング(1998)『007 サンダーボール作戦』(井上一夫訳)早川書房,改訳版

服部氏による同見解は、視点の転換にしかすぎないと言えばそれまでだ。しかし、これまで“悪”を懲罰する存在の象徴としてレッテルを貼られてきたボンドは、善と悪の区別が判然としない現代にとってはおあつらえ向きの理想でしかないのかもしれない。そんな仮説を前提とした時に、アンチヒーロー感をまとったボンドには、ハーディほど適任な役者はいないと思うのだ。

ジェームズ・ノートン

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海外ファンや主要メディアの間では、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』(2019)などで知られるジェームズ・ノートンを次期ボンド役に推す声も少なくない。イギリス出身の35歳。身長185センチ。個人的な見解だが、ノートンにはショーン・コネリーやピアース・ブロスナンを踏襲するような風格が感じられる。

ノートンに関しては、2020年1月に次期ボンド役の筆頭候補と思われるような報道が出されている。それが、ノートンが『007』シリーズのプロデューサー、バーバラ・ブロッコリと複数回の面会を重ねたというものだ。しかし、英タブロイド紙The Sunが伝えたこの報道を、ノートンは後に否定。「幸か不幸か何であれ、これはでっち上げられたものです」と断言している。

この時、ノートンは自身の考えも明かしており、いわく「ダニエル・クレイグがもう1〜2作やればよいのでは」と話している。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』にてクレイグのボンド役卒業は確定しているため、ノートンの願いは叶わなさそうではあるが…。

俳優デビューは2009年。キャリー・マリガン主演の映画『17歳の肖像』で主人公のボーイフレンド役を演じた。それから約11年の間に『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』のほか、『ロンドン、人生はじめます』(2017)「マクマフィア」(2018)など、数多くの作品で目覚ましい活躍を見せている。

とはいえ、本記事に挙げられる候補者リストの中では、名実ともにボンド役には“もう少し先”感も否めない。「クレイグに演じてほしい」と謙虚な姿勢も、それこそ自ら条件を突きつけるボイエガに比べるといささか勢いに欠けるか…?

リチャード・マッデン

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「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-2019)への出演を機に知名度を獲得し、『シンデレラ』(2015)『ロケットマン』(2019)と、大手スタジオ製作の作品で近年大役を担ってきたリチャード・マッデン。次回作として、マーベル・スタジオ製作の新作映画『エターナルズ』(2021年公開予定)を控えるなど、活躍の勢いは止まる気配を見せない。

そんなハリウッドで引っ張りだこのマッデンも、次期ボンド役候補のひとり。2019年には、ファンの間で繰り広げられる予想合戦について言及していた。『ロケットマン』のプロモーションイベントに出席したマッデンは、「すでに契約は済んでいるんですか?」という質問を投げかけられると、「(ファンの)会話に出してもらえていることは嬉しいですね」と回答。続けて「しかし…」と切り出したマッデンは、「ただのお話に過ぎません。次の週には別の誰かになっていますよ」と冷静な意見を述べた。他の候補者と同様、マッデンの次期ボンド就任を裏付ける確たる証拠は無いのが現状だ。

https://twitter.com/Variety/status/1129375101647036416

マッデンは、スコットランド出身の34歳。初代ショーン・コネリーと同郷だ。スパイとはまた違うが、悪に鉄槌を下すという役どころでは、ドラマ「ボディガード -守るべきもの-」(2018)でロンドン警視庁の警官役を演じ、第76回ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞している。こうしたジェームズ・ボンドというキャラクターとの縁や、これまでの功績もあり、マッデンを推すファンも多いのだろう。

身長177センチと、クレイグとほぼ同じ背丈のマッデン。ジョン・ボイエガのセクションで述べたヒールの件もあるから、選定の上で体格が大きく懸念されることはなさそうだ。濃くキリッとした眉と真っ直ぐな瞳にも、ボンドが兼ね備える冷酷さや柔和さ、ユーモアなどを演じ分けられそうな説得力がある。仮に抜擢された場合、コネリー以来2人目のスコットランド出身のボンド俳優となる上、スコットランド訛りを話すボンドが久々に見られるかもしれない。

あなたは7代目ボンドに誰を推す?

これまで、主だった7代目ジェームズ・ボンド役の候補俳優を紹介してきたが、この他にもファンに期待されている俳優は大勢いる。ビリー・アイリッシュも推薦するマイケル・B・ジョーダン、イドリス・エルバ同様自ら年を取りすぎていると語る現在59歳のジョージ・クルーニー、Netflixの新作ドラマ「ブリジャートン家」(2021)で話題を集め自身のTwitterでの意味深投稿も注目された若手俳優レジ=ジーン・ペイジ等々…。いかなるジェームズ・ボンドが生まれても不思議ではない現状、候補俳優たちもバラエティに富んでいる。

ダニエル・クレイグから渡されることになる7代目ジェームズ・ボンド役のバトン、ではなくワルサーPPKを受け取るのはいったい誰になるのだろうか。

THE RIVERでは、読者の皆様に推しの7代目ジェームズ・ボンド俳優を共有していただき、次期ボンド俳優の最有力候補を決める予想合戦を開催。推薦俳優とその理由、次期ボンドに期待することをご回答頂き、そのなかから鋭い分析や熱い思いをピックアップして、読者の皆様による「7代目ジェームズ・ボンド俳優最有力候補リスト決定版」なるものを1つの記事に仕上げたいと思う。ぜひ思いの丈をぶつけてほしい。回答はGoogleフォームにて、2021年3月31日(水)23時59分まで受付。

7代目ボンド予想合戦の参加はこちらから

Source: Express,The Daily Telegraph,GMA Twitter, Comicbook,Hits Radio,Daily Mail UK(1,2),Variety's Awards Circuit podcast,Metro,Irish Examiner,Rege-Jean Page Twitter


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