毒蝮三太夫 80歳超えても妻に出し続ける手書きラブレター

3月21日(木)16時0分 女性自身

毎週金曜は、TBSラジオ『毒蝮三太夫のミュージックプレゼント(MP)』の公開放送の日。商店や銭湯、町工場など訪れた場所は1万3,000カ所、今年10月には放送50周年を迎えるという長寿番組で、毒蝮三太夫さん(82)は第1回からパーソナリティを務めてきた。



現場で高齢者に呼びかける「ババア」「ジジイ」といった愛ある毒舌も、唯一無二の話芸として今ではすっかり市民権を得ている。MPの放送時間は約30分だが、本番を終えてからのフリートークのほうが長い。政治から介護問題まで鋭く洒脱な説法が1時間以上も続くことも。



20年来の現場の仲間であるTBSラジオの女性チーフディレクターの谷口さん(55)は、こう話す。



「まむしさんは年齢を重ねて、戦争体験などますます伝えたいことが増えているのかなと思います。常にお元気な活動を支えているのは、ご本人の前向きさと、間違いなく奥さまの存在でしょうね」



まむしさん自身からも、また周辺の取材でも、いつも必ず出てくるのが「カミさん」の話題。家庭でも、例の毒舌で、さぞ亭主関白なのだろうと思いきや、実は……。



「うちのカミさんには頭が上がらないよ。それで月に2回ほど、はがきを出しているんだ。郵便屋さんは、オレのこと、バカだと思ってるだろうな。同じ家に住んでる人に、わざわざ切手代使って町内のポストから出してるんだからさ。内容? どうってことない季節の話題とかなんだけどね」



となると、聞いてみたくなるのは奥さま・みさをさん(83)の話だが、「取材は苦手」ということで、そのはがきを拝借。たとえば、2年前の4月の便りにはこうあった。



《やっとサクラも咲き、日本でいちばんの季節がやってきました。お互い元気で、これからも、どうぞよろしくお願いします》



見事な筆ペンの達筆。この手書きで出し続けている妻へのラブレターに、夫婦円満のヒントが隠されていた——。



「ババア、来月まで生きてろよ」



まむしさんの毒舌も痛快なMPが始まったのは、ちょうど50年前の33歳のとき。当初は、もちろん毒舌はなかった。きっかけは、放送4年目に母親のひささんが75歳で亡くなったことだった。



自分が愛した母はいないのに、現場に行けば、いつもながら元気印のおばあさんがいる。そんな思いでいたとき、つい口からこぼれたのが、このひと言だった。



「オレのお袋は死んだのに、このババアは元気だな」



当然、TBSラジオには抗議が押し寄せた。しかし……。



「局もスポンサーも、『下町育ちのまむしさんならではの愛ある挨拶です』と味方してくれた。ありがたいと思ってるよ」



’86年からは帯番組が『大沢悠里のゆうゆうワイド』となり、月〜金までの10時30分から毎日放送され、MPは名物コーナーとして定着していく。



やがて、「老いのプロ」としてのまむしさんに各方面から声がかかるようになる。’93年、日本老年行動科学会特別顧問就任、そして’99年に始まった聖徳大学(松戸市)短期大学部社会福祉学科の客員教授の講義は現在も続いている。



《今年は暑い日が続いておりますが、貴女様も寄る年波なのですから、身体をいとうてお過ごしください。“世田谷の皇太子”より》



まむしさんが、ふと思い立ち、みさをさんに暑中見舞いを出したのは還暦を過ぎたころだった。



「たまたま暑中見舞いのはがきが1枚余ったんだ。で、本名をそのまま書くのはヤボだから、“世田谷の皇太子”と書いたら、雨で字がにじんでしまったんだな。カミさんが、『あら、世田谷の明太子って誰かしら』なんて言ってる(笑)。『バカヤロー、メンタイコが手紙出すか』『あら、あなただったのね』。そう言いながら、よっぽどうれしかったのか、そのはがきを冷蔵庫のトビラに貼り付けてたよ」



そして70代になったころから、月に1〜2回のペースで、はがきを出すようになっていく。



「正直、この年になると考えるよ。一切、家のことをできないオレだから、カミさんがいなくなったらどうしよう、って。でも、不安や寂しさは積もるものだから、そこはあえて笑顔で、オレはありがとうの気持ちも込めて手紙を書き続ける。メールは一瞬だけど、手紙は残るしな。あるとき、たまたまカミさんが自分のジュエリーボックスを開けるところに出くわしたんだ。そしたら、オレが60年前に渡した手紙が入ってるのが見えたんだ。やっぱり、うれしかったよ。えっ、カミさんからの返事? これが、いまだに一通もないんだけどさ。だって、くれって言うのもヤボだろう」



あと10日ほどで83歳の誕生日を迎えると、その先には、新しい時代の幕開けも待つ。今年の年明けの妻へのはがきには、そんな思いを込めた。



《平成時代はサイガイ、新時代はサイワイでありますよう。今年ももっともっと世話になります!!》

女性自身

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