BIGLOBEトップBIGLOBEニュース

政府が上から目線で罰則付き残業規制をするのは的外れ

NEWSポストセブン3月22日(水)7時0分
画像:大前研一氏が政府案に物申す
写真を拡大
大前研一氏が政府案に物申す

 政府は「働き方改革」の目玉として、長時間労働を是正するために残業時間を制限する罰則付きの労働基準法改正案を検討している。経営コンサルタントの大前研一氏に言わせれば、仕事には「定型業務」と「非定型業務」があり、時間ではなく成果で図る仕事である「非定型業務」は残業規制の対象として適していないという。この政府の「働き方改革」が、いったいどのような意味を持つのか、大前氏が解説する。


 * * *

 かつて、ナイキの創業者フィル・ナイト氏は、こう述べていた。


「よく『レストランを開きたい』と言う人がいる。しかし、厨房で1日23時間働く覚悟がなければ、やめたほうがいい」


 私自身も、マッキンゼーに入社してからの数年間は自宅で夕食をとったのが週末も含めて年に数回だけという状態だった。しかし、若い時はその仕事を覚えたい、インパクトの出せる人間になりたい、とアンビション(野望)を持って夜も寝ずに働くことも貴重な経験になる。そういう人間がいなければ、日本はただの“受命拝命”専門の労働者の集団になってしまう。


 たとえば、マッキンゼー時代の部下でDeNA(ディー・エヌ・エー)創業者の南場智子さんは、毎日午前3〜4時まで残業し、寝る間も惜しんで働いていた、と語っている。経営コンサルタントの仕事は典型的な非定型業務だから評価は時間の関数ではないし、ましてや残業代は出ない。そういうきつい仕事を経験しながら成果を出してきたから、南場さんは起業しても成功したのである。


 私が起業家養成学校「アタッカーズ・ビジネススクール」を20年間にわたって運営してきた経験から言えば、起業してしばらくは睡眠時間2〜3時間が当たり前だ。事務所や店で寝袋で寝て、昼も夜も土日もなく働く。事業計画の策定も銀行に提出する資料の作成も営業も雑巾がけも、すべて自分でやる。そうした状況が最初の何年かは続くのだ。


 それに文句を言ったり、へこたれたりする人間には、そもそも起業はできない。なぜなら、仕事のプロである起業家および社内起業家というのは、他人から命じられた仕事ではなく、自分が自分に命じた仕事をするからだ。つまり、会社の使用人ではなく、自分自身の成功──言い換えれば「プロフィット・シェアリング」(会社の業績に応じた利益配分)を夢見て働くのがプロフェッショナルという職種なのだ。


 ホワイトカラー・エグゼンプションの議論で(使用人の象徴である)年収を指標に使ったのは、この点からも全く間違っている。


 ビジネスは、商品やサービスを創造して新しい価値を生み出した人間(およびその集団)が勝つ。その新しい価値を生む人間にはいくら給料を払ってもかまわないし、何時間働いたかは全く関係ない。そういう貴重な人材を1人でも多く採用するのが、経営者の最も重要な役目である。


 それを政府が“上から目線”で「残業の上限は最大で月60時間・年720時間」「違反したらペナルティ」「年収1075万円以上は例外」などと規制するのは、的外れもいいところだ。この規制を悪用して虚偽の長時間残業をさせられたと訴訟を起こす輩が出てくるかもしれないし、逆にサービス残業が増えるおそれもあるからだ。また、残業が少なくなったら、給料が減って困る人もいるだろう。


 要するに、これは企業ごとの労使協議に預けたほうがよい問題であり、政府が杓子定規に全国一律に規制すべき話ではない。ビジネスの現場を知らない政治家と役人に「働き方改革」ができるはずはないのである。


※週刊ポスト2017年3月24・31日号

NEWSポストセブン

はてなブックマークに保存

NEWSポストセブン

最新トピックス

芸能トピックス

芸能写真ニュース

旬なニュースを配信中 フォローしてね!

注目ワード

話題の投稿画像

ページ設定

「残業」をもっと詳しく

注目ニュース
香取慎吾、SMAP時代のトラウマ告白 共演者号泣のワケは? モデルプレス5月24日(水)21時6分
【香取慎吾・川村エミコ/モデルプレス=5月24日】香取慎吾が24日、お笑いコンビ・アンタッチャブルの山崎弘也とレギュラーを務めるフジテレビ…[ 記事全文 ]
ジャニーズで新たなグループ分裂?V6に見え隠れする「したたかさ」とは アサ芸プラス5月24日(水)5時58分
昨年末にSMAPが解散したばかりのジャニーズ事務所が、新たな“火種”を抱えているという。[ 記事全文 ]
松岡修造「最悪」宝塚入学の長女恵さん注目に激怒 日刊スポーツ5月24日(水)20時51分
スポーツキャスター、松岡修造(49)が24日、都内で、脳科学者、茂木健一郎氏(54)とのコラボ著書「ポジティブ会議」(アスコム刊)の出版記…[ 記事全文 ]
稲垣吾郎を待ち受ける驚愕スクープとは?週刊誌が徹底調査中か アサ芸プラス5月24日(水)5時58分
このところ木村拓哉を除く元SMAPのメンバーが週刊誌の餌食となっている。中居正広はダンサー女性との交際が発覚。[ 記事全文 ]
小林麻央、ブログ更新できなかった理由を明かす モデルプレス5月24日(水)14時45分
【小林麻央/モデルプレス=5月24日】歌舞伎俳優・市川海老蔵の妻で、乳がんを公表し闘病中のフリーアナウンサー・小林麻央が24日、2日ぶりに…[ 記事全文 ]
アクセスランキング

本サイトのニュースの見出しおよび記事内容、およびリンク先の記事内容は、各記事提供社からの情報に基づくものでビッグローブの見解を表すものではありません。

ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容についてその正確性を含め一切保証するものではありません。本サイトのデータおよび記載内容のご利用は、全てお客様の責任において行ってください。

ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容によってお客様やその他の第三者に生じた損害その他不利益については一切責任を負いません。

データ提供元:アニメキャラクター事典「キャラペディア