ブラタモリ“最後の県”徳島へ 地元民がニヤリとした見どころとは?——青木るえか「テレビ健康診断」

3月23日(土)17時0分 文春オンライン

 ついに『ブラタモリ』が全都道府県を制覇!「最後の県」である徳島に来た! 来たというのは、私が現在徳島市民だからだ!



タモリ ©文藝春秋


 半月ぐらい前から「新町川にタモリがいたぞ!」「まさか徳島に!」「忘れられてなかった(涙)」とか近所で騒然となっていた待望の『ブラタモリ』徳島回、「阿波踊りはなぜ生まれた?」。やっぱり。それぐらいしかとっかかりはない徳島。住むとわかるが、高速バスで神戸まで二時間弱、東京へ飛行機で一時間(LCC未就航で運賃高い)というはんぱにどこからも遠い、特産品にワカメとすだちぐらいしか思い浮かばぬ地味な土地柄、全国区物件は阿波踊りしかない。


 私は、タモリは『ブラタモリ』にも飽きている、とみている。それぞれの土地に「聞いてみればなるほどと感心するネタ」はあるがそれが百回以上も続くとネタとして凡庸なのも出てくるし物珍しさにも慣れて感動も薄まるというもの。タモリはそこでよくあるバラエティ的リアクションなどせず、興味をそそらないものは正直に半笑いや、これいつまでやるんですかね、などと「ぼそっ」とつっこんだりしてつまらなそうなのがわかっちゃう。こんな調子でいいのか、とちょっと不安になったりする。


 阿波踊りの秘密を探るにしても、なんで普通の盆踊りみたいに輪になって踊らないのか、なんでここまで発展したのか、というような話を実演つきで徳島の物知りな人や舞踊の研究家が教えてくれて、なるほどーと思いはするものの次の瞬間には明日の晩ごはんどうしよう、とか考えてしまう程度の話で、タモリもその程度の反応。


 しかし、徳島市民には別の見どころが一つあった。



“総踊り問題”に対してどの立場をとったか?


 去年、徳島市長が「総踊り(演舞のラストに有名連が一つになって踊る。大盛り上がりのフィナーレ)は本来の阿波踊りじゃない」と言いだして有料演舞場での総踊りをいきなりやめさせたので、「総踊りやりたい派」の「阿波おどり振興協会」と対立して分裂状態となり、来場者激減、振興協会は独自に路上で総踊りやって喝采浴びたり批判されたりとかモメたんですよ。それが番組のエンドロールに「阿波おどり振興協会」が協力で出てる! NHKは振興協会寄りか、と阿波踊りウォッチャーはニヤリと笑って楽しめる。そのへんは何か茶の湯とかに通じる「わかる人にはわかる」的楽しみだ。そういうものを楽しむツールとして、タモリの、飄々としながらも「これが面白いんすか」とぶった切る如き受け答えの空気はとても合ってるかも。



 ま、タモリはそんなことあずかり知らず半笑いしてるんだろう。でも自分としては「あれは飽きてるんじゃなくて茶の湯の宗匠のたたずまい」と解釈して今後は安心することにする。



INFORMATION


『ブラタモリ』

NHK総合 土 19:30〜20:15

https://www.nhk.or.jp/buratamori/




(青木 るえか/週刊文春 2019年3月28日号)

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