撮影地は昭和感満載の本物スナック! 介護×ファンタジー…相反する世界観が融合する『介護スナックベルサイユ』の舞台裏

2025年3月23日(日)7時0分 マイナビニュース


●点滴を“ボトルキープ”!?
東海テレビ・フジテレビ系「土ドラ特別企画」として、2週連続で放送されるスペシャルドラマ『介護スナックベルサイユ』(22日・29日23:40〜)。物語の舞台は、タイトルの通り「介護スナック」。一見、雰囲気のあるスナックだが、昼間はケアマネージャーや看護師として働くスタッフがそろい、点滴が“ボトルキープ”され、客の体調に合わせた料理を出すという立派な介護施設だ。
要介護の高齢客たちがこの店に足を踏み入れた途端、見違えるように元気になり、生涯に一度、一杯だけ味わえるという特製のワインを飲めば、若かりし日にやり残したことや置き忘れたものを取り戻す幻想の世界へ。そして締めには、人生を振り返って一番の思い出の料理が提供される——“介護”という現実的なワードとは相反するようなファンタジーなイベントが次々に起きるが、こうして彼らの人生の一端を垣間見ることによってどの世代にも生きる活力を与えてくれる作品になっている。
劇中でそれを体現するのは、他人を信じない新入り従業員・小日向柊(尾碕真花)。ママ・上杉まりえ(宮崎美子)らとの交流を通して、成長する姿が描かれていく。マイナビニュースでは、実際に営業しているスナックで行われた撮影現場に潜入し、舞台裏をレポートする。
○ワインのシーンはハイスピードカメラで撮影
撮影が行われたのは、東京・青梅市の住宅街のど真ん中にある小さなスナック「径花」。外観から雰囲気を感じさせる築40年超という平屋の建物だ。扉を開けると棚に狭しと並ぶボトルキープ、カウンターに置かれた手作りの梅干しなどが目に飛び込み、昭和にタイムスリップしたかのような古き良き“ザ・スナック”の空間が広がる。
この日行われていたのは、客としてやってきた割烹料理店の元店主・三俣史郎(石倉三郎)のシーン。ラベルに「SEE YOU IN MY IN MY DREAMS (夢の中で会いましょう)」と書かれたワインを飲み干し、人生の終わりにどうしても会いたかった人に会う——というファンタジックな場面だ。
ママ(宮崎)が注いだグラスのワインを見つめて「見事なワインレッドや」とつぶやく三俣(石倉)。そして、グラスを口に運び、目をつぶって味わうように飲み干すと、「うまいなあ…」と至福の表情を浮かべる。そんな石倉の姿を、横に座って優しいまなざしで見つめる宮崎も印象的だ。
こうして、“会いたかった人”に会えたものの、悔いの残る別れになってしまった三俣。その姿に思わず「気まずっ…」と漏らすのは、カウンターに立つ柊(尾碕)だ。幼少期のトラウマにより高齢者が苦手なキャラクターを、この一言と絶妙な表情で体現していた。
三俣がワインを飲むシーンは、ハイスピードカメラでも撮影。様々な角度から丁寧に映し出していき、今作において重要な場面であることが伝わってくる。台本のト書きには「次第にボックスの空気が変わり、夢の世界へ」とあるが、これがどのように映像化されたのかにも注目だ。
ただ、スタジオではない本物のスナックでの撮影では、狭いスペースでカメラに映り込まない場所に逃げていく十数人のスタッフたち。特にワイングラスにフォーカスするカットは、グラスに反射して思わぬ場所が映ってしまうため、筆者を含め各々が自分のスペースを確保するのに苦労していた。
●本物のママと常連客がエキストラで参加
24歳の尾碕はスナックで飲むことはほとんどないそうだが、このロケ地に「すごく年季の入った雰囲気で、趣のあるいいスナックだなと思います」と印象をコメント。「撮影じゃなかったらここで飲んでみたいです(笑)」と興味を持った様子だ。
今回の撮影には、「径花」の実際のママや常連客たちが、常連客役のエキストラとして参加。宮崎は「何かあると“イエイ!”って盛り上がって、すごく明るくて元気な人たちなんです(笑)。それに、“自分たちの場所”というのもあって、ちょうどいい感じに前に出すぎず、でも一緒にノッてきてくれたり、自然にお芝居をしてくださって、ものすごく助かりました」と感謝を述べる。
都心から離れたロケーションだが、建物の雰囲気や地元の人たちの協力に、「こんな理想的で恵まれた場所はないなと思いましたね」(宮崎)と納得していた。
○介護関係者に取材を重ねて脚本執筆
今作の脚本を手がけるのは、同じ東海テレビ制作で、行き場のない子どもたちに無償で親子丼をふるまう女性が主人公のドラマ『さくらの親子丼』シリーズの清水有生氏。
同シリーズの執筆にあたり子どもシェルターなどの取材を重ねた清水氏は、今作でも介護関係者に何度も取材。番組スタッフも実在する2軒の「介護スナック」を取材しているそうで、高齢社会や介護問題、他者とのつながりが苦手な若者というテーマが、ファンタジー要素を交えながら説得力ある脚本で描かれているのもポイントになっている。
■『土ドラ特別企画「介護スナックベルサイユ」』(東海テレビ・フジテレビ系 3月22日・29日23:40〜)
出演:尾碕真花 宮崎美子
   笛木優子 木村了 杏花 高山広 片岡信和 清田みくり 吉原怜那(ダウ90000)
   / 田島令子 夏樹陽子 草村礼子 小野武彦
   萬田久子 石倉三郎
■第1話あらすじ
小日向柊(尾碕真花)はママ・上杉まりえ(宮崎美子)と面接し、その日から「ベルサイユ」で働くことに。要介護認定を受けているお年寄りが楽しく過ごせる不思議なこの店は、まりえが処方した謎の点滴を受けると元気になり楽しい一夜を過ごすことができる介護スナックだった。その日、元教師で末期の膵臓がんを患っている柳田浩一(小野武彦)が特別なワインを希望して来店してくる。このワイン一杯を飲み干したとき、人生の終わりにどうしても会いたかった人に会うことができるという幻想の世界に導かれ...。
■第2話あらすじ
一日で店を辞めるつもりだった柊だったが、金もなく腹を空かせ、気づけばベルサイユに戻っていた。そんな折、店でリハビリをしていた客を、柊なりの激励で奮い立たせ、心を明るくしていく。そして今宵も特別のワインを希望する客が。元社交ダンスの先生で、余命2か月の宣告を受けていた金沢麗子(夏樹陽子)が来店する。そしてその後、もう1人のベルサイユの常連客との奇跡の出会いによって、柊の生い立ちが明かされる。

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