ネット依存が進化、スマホしすぎると頭悪くなるはホント?

3月23日(木)16時0分 NEWSポストセブン

スマホのしすぎは脳機能にも影響が…?

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 自分は四六時中スマホを使っていても、「子供の長時間使用は気になる」という親は少なくないだろう。2月27日に発表された内閣府の調査では、10〜17才の青少年の約8割が何らかの機器でインターネットを利用し、高校生の約7割はスマホで1日2時間以上インターネットを利用していることがわかった。


 一時期、若者のオンラインゲーム依存が“ネトゲ廃人”などと呼ばれて問題になったが、最近では“スマホ依存”が急増している。ネット依存外来のある成城墨岡クリニック院長の墨岡孝さんが言う。


「年齢的には18〜20才がピークで、下は小学生から上は30代半ばくらいまで。依存症は自分自身では気づかないので、悩んだ末にお母さんら家族が相談に来ます。スマホばかりやっていて成績が落ちたとか、生活が不規則になって学校に行けないなど、進級・進学にかかわることが多いですね。社会人では、就業時間中までスマホに没頭してしまうために仕事効率が落ちるといった問題があり、同僚や上司のかたがまず相談に来ます」


 まだiPhoneが日本で発売される前の2007年に成城墨岡クリニックを訪れたネット依存患者は81人。それが昨年は200人ほどにまで増えた。相談内容も変化しているという。


「以前はゲーム依存に関する相談が多かったのですが、2011年以降はスマホやタブレットが普及した影響で、写真などの個人情報の拡散や、自分の言葉が誤解されて広まるなど、悩みが複雑化しています。女性の場合、20才をすぎてからツイッターやLINEを続けることで依存症になるケースが多い」(墨岡さん)


 スマホと“成績低下”の関係を顕著に示す調査データもある。宮城県仙台市が毎年4月に行う学力調査に合わせて、約7万人の小中学生を対象に生活習慣や学習習慣、家族とのコミュニケーションなどを聞くアンケートを実施。その結果を分析したところ、スマホの使用時間が長くなるにつれて正答率が下がるという結果が出た。



「スマホばっかりやっていて、勉強しないからだろう」と思うかもしれないが、そうではない。この調査を行った『やってはいけない脳の習慣』の共著者で東北大学加齢医学研究所助教の横田晋務さんはこう説明する。


「例えば算数・数学の1日の勉強時間が2時間以上で、スマホ使用が4時間以上の生徒の正答率が55%なのに対し、勉強時間が30分未満でスマホをまったく使用しない生徒の正答率は60%。家庭で平日に1日2時間以上も勉強している子が、スマホを4時間以上使用した場合、ほとんど勉強していない子より成績が悪かったのです」


 長時間勉強しているのに学力が上がらないのはかなりショッキングな話だ。いったいなぜこんなことが起きるのか。


「まだ仮説の段階ですが、脳科学の知見から考えられるのは“前頭葉の活動低下”です。例えば、ゲームをしている時は、物事を考えたり、自分の行動をコントロールするうえで重要な働きをする脳の前頭前野という部分への血流量が下がり、働きが低下します。


 そのためゲームをした後の30分から1時間ほどは前頭前野が充分に働かず、本を読んでも理解力が低下してしまうというデータも報告されています。スマホを長時間使用すると、それと同じ脳の状態になってしまうため、学習の効果が失われるのではないかと考えられます」(横田さん)


 さらに早稲田大学研究戦略センター教授の枝川義邦さんは前頭前野の仕組みについてこう説明する。


「前頭前野には何か物を考えたり、一時的に記憶をしたりする“ワーキングメモリ”という機能があります。その容量は限られていて、いわば机の上のスペースのようなもの。例えばスマホが近くにあって“いつ連絡が来るか”と絶えず気になっていると、机の上の一部をスマホのことが占領し、残った狭いスペースで記憶したり物を考えたりすることになる。


 何か新しい情報が入ってきたときは、それに注意を向けると、優先的に記憶されていく一方で、注意を向けなかったものはいったん机の上にのったとしても情報自体が“なかったこと”になってしまうんです」



 つまりスマホに気を取られながら勉強していると、スマホから得た情報だけが認知され、勉強した内容は記憶されずに終わる可能性が高いというわけだ。さらに枝川さんは、大人なら「認知症のような状態になるリスクもある」と警鐘を鳴らす。


「30代後半になると“物忘れが多くなる”と思いがちですが、実際には“物覚え”が悪くなっているんです。スマホは便利ですが、便利さがすぎると脳の機能性を弱めます。例えば何でもグーグル検索で済ます癖がついていると、いろんなことを自分で覚えないで、スマホに任せればいい。これを“記憶の外部委託”と呼んでいますが、そのことで脳の記憶の容量が小さくなって物が覚えづらくなってしまうケースも散見されます。将来的には認知症のような状態になる可能性もあるのです」


 前出・横田さんによれば、とくに影響が大きいのは、LINEなどの通信アプリ。先の調査では、スマホを短時間使ってやめた生徒は偏差値が上がっていたが、LINEなどの通信アプリの場合、短時間でも使っていた生徒は、使用をやめても成績が上がらないという結果が出た。


「過去に使用したことがあるというだけで成績に悪影響が出るという結果には、私たちも驚きました。LINEなどをやっていると、たとえ返信が来なくても“まだ読んでいないのか?”“読んでいるのに返ってこないのか?”と気になって、勉強に対する集中力が切れてしまう。


 LINEを習慣的に使用した場合の脳への影響として、物事に集中したり注意の切り替えを行う機能にかかわる前帯状回という脳部位が小さくなってしまうことが考えられます。海外の研究では、スマホなどの使用習慣が多くある人ほど、前帯状回が小さいということがわかっています」(横田さん)


※女性セブン2017年3月30日・4月6日号

NEWSポストセブン

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