知英 KARAとしてデビュー、コロナで韓国に戻り、昨年日本で活動を再開「完璧主義の私は、演じている時が一番楽しい」
2025年3月26日(水)8時0分 婦人公論.jp
撮影:本社 武田裕介
俳優の知英(31)が昨年11月から日本での芸能活動を再開した。3月23日には都内で「2025 知英 FANMEETING IN JAPAN 'BICYCLE chapter 2: One Spring Day’」を開催した。コロナ禍の影響で2022年3月から母国の韓国に帰っていた知英。韓国のガールズユニット・KARAの出身で、2014年に独立したあとは日本を拠点にして活躍していた。
(取材・文:高堀冬彦 撮影:本社 武田裕介)
* * * * * * *
韓国人役はあまりやったことがなかった
——日本での芸能活動の再開は3年8ヵ月ぶりです。
随分と時間が経っていたんですね。でも、再び日本に来ると、そんなに長く離れていなかった気がします。自然と以前の生活に戻れました。日本のファンの皆さんが温かく受け入れたのもとてもありがたかったですね。
——俳優としての活動が期待されています。WOWOWのドラマで映画としても公開された『そして、生きる』(2019年)では東日本大震災の前後に日本で暮らした韓国人のハン・ユリを演じ、高い評価を受けました。
ありがとうございます。20歳のときに日本で俳優の仕事を始めてから、いろいろな役をやらせていただいたんですけど、日本人の役が多く、韓国人役はあまりやったことがなかったんです。この作品では日本語も話せる韓国人ユリ役でした。
日本人役を演じるときは日本語のイントネーション、発音をかなり気にしながら演じます。一方でユリ役は監督さんから「自由にやっていいよ」と言われたので、内面で韓国人らしさを見せようと思い、演じました。
韓国の女性って強いんですよ。怒るときはちゃんと怒りますし、男女関係においても「ケンカがあってこそ愛し合える」みたいな考え方があるんです。劇中ユリもパートナー(坂口健太郎)に食ってかかったり、泣きながら叫んだりと韓国人らしさを考えながら演じました。
私の演技はダメだったのか、と落ち込んだ
——日本での撮影現場には当初、戸惑いもあったのではないですか。
日本と韓国では演技後の監督さんたちの反応が異なり、最初はちょっと心配になりました。日本の監督さんたちは1つの演技が終わったとき、黙っているんです。だから「あー私の演技はダメだったのか」と少し落ち込みました。
でもそれは違ったんです。いつも黙っているんです(笑)。韓国は違うんです。良い演技をすると、監督さんたちは「いいねぇ。OK!」と大きな声を上げます。勿論日本の監督でもそういう方はいらっしゃるとは思いますが。
——学園コメディ映画『暗殺教室』(2015年)ではセクシーな殺し屋のイリーナ・イェラビッチを演じました。役の幅が広いですね。
あの役は原作漫画の人気キャラクターということもあり、演じるにあたってはプレッシャーもありましたね。一方で私が演じることを喜んでくれる原作のファンもいてくれて。とてもうれしかったです。とてもかわいいところもある女性で、すごく好きなキャラクターでした。
お芝居をやっているときが一番楽しい
——演じることが好きなんですね。
お芝居をやっているときが一番楽しい。私は普段、いろいろなことを考え過ぎるくらいに考えてしまう性格なのですが、演技をするときは役に成りきることだけに集中できますから。
——今、やりたい仕事はありますか。
たくさんありすぎて、1 つに決められないんです。私は完璧主義者で、目標を達成するまでストイックになりすぎてしまうところがあるので、なるだけゴー・ウィズ・ザ・フロウ(あるがまま)でいるようにしています。仕事などで何かやることが決まったら、全力で頑張るようにしています。
タクシーの自動ドアにびっくり
——日本語に不自然さが一切感じられません。
20歳のときから事務所のスタッフさんたちに教わり始めました。その後、日本語検定試験3級(高校卒業程度〜社会人基礎)に合格し、次は1級(社会人上級)を目指したんですが、それがなかなか難しい。ひらがな、カタカナ、漢字と文字が3 種類あるうえ、漢字には難しいものや読み方がいくつもありますので。
そして発音も気が抜けません。たとえば「ざじずぜぞ」の発音は韓国語にはないんです。だから、「ざぶとん」が「じゃぶとん」、「ありがとうございます」が「ありがとうごじゃいます」になってしまいます。それに、「日本語は世界で3 番目に難しい言語」と聞いたことがあります。
——文化と習慣も違います。一番驚いたことは何ですか。
まずタクシーの自動ドアにびっくりしました。韓国のタクシードアは自動じゃないんです。だから日本に来た当初は自分でドアを閉めようとして、運転手さんに怒られてしまいました。(笑)
「すみません」が不思議だった
それに、電話を掛けるとき、「すみません、誰々さんいますか」と言うことにも当初は戸惑いました。日本の人はほかの場面でも「すみません」とよく口にしますよね。どうしてそんなに謝るんだろうと不思議だったんです。
今は理由が分かります。電話を取り次いでもらうことへの感謝の気持ちなどを込めて「すみません」と言っているんですよね。そこは日本の素敵な文化だなと思います。
また、これも日本の文化だなと感じるのは、家族のことを話すとき、自分や家族を低く言う人が多いこと。自分のご主人や奥様、子どものことをあんまり褒めませんよね。韓国ではそんなことがなくて、家族の事は褒めます。日本人はとても控えめだと感じます。
恋人同士の文化も異なります。韓国人は割と頻繁にSNSのメッセージを送り合いますが、日本ではあまりやりとりをしないとよく聞きます。1 日1 回でいいみたいな。勿論それは人によってかもしれませんが…。(笑)
すんなりと日本に溶け込めた
——カルチャー面では2003年にNHKが『冬のソナタ』を放送し、2007年に結成されたKARAが日本でも人気者になってから、日韓の距離が飛躍的に縮まりました。
すごくうれしいことです。両国には大変な時期もありましたが、芸能(エンタメ)で1つになれるっていうのは素晴らしいことだと思ってます。
最初はKARAとして2010年に日本デビューして、たくさんのファンの皆さんに応援していただけたので、仕事で日韓を往き来していました。
そして20歳から1人で活動するようになり、韓国のスタッフさんが1人もいなくなっても、すんなりと日本に溶け込めました。最初はもちろんホームシックもあったし、帰りたいとも思ったんですけどね。
日本で沢山の文化などを教えてくれた
今、振り返ってみると、日本で皆さんが文化などをたくさん教えてくれたから、自分が成長できて、日本にも溶け込めたのだと思います。
自分のありのままを受け入れてくれる日本のファンの皆さんもすごくありがたかったです。もう日本は第2のホームみたいな感じですね。
——韓国で流行している日本のものはありますか。
日本の食べ物を好きな人は多いです。日本への旅行もすごく人気がありますし、日本映画が好きな人もいます。
私自身は岩井俊二監督の映画が好きで、全作品を観ました。昭和歌謡も好きで、カラオケに行くと、山口百恵さんや中森明菜さん等の昭和歌謡を歌っています。
日本にいるときは和食ばかり
——オフのくつろぎ方を教えてください。
猫と遊ぶことですね。2匹飼っているんですけど、猫をなでていると気持ちがリラックスします。それと、猫って喉をゴロゴロと鳴らすじゃないですか。あの音って人間にすごくいいそうなんです。
韓国料理などのお店が並ぶ新大久保(東京)にも行ってます。「おいしいお店がある」と聞いたので。新大久保は韓国に関係するお店ばかりで、もう日本じゃないって感じですね。
——和食は苦手?
大好きですよ。日本にいるときは和食ばかり食べています。お刺身も納豆も大好き。食べられないものはほとんどありません。
カレーは日韓で違いますが、日本のカレーのほうが好きです。韓国のカレーはターメリック(ウコン)が多く入っているから、見た目は黄色く、味も薄めなんです。色も味も濃い日本のもののほうが私には合います。
今は内面を磨きたい
——ご自分でも料理はしますか。
はい。でも、ちゃんとした韓国料理を作るんじゃなくて、野菜炒めみたいなものを適当につくる程度ですね。
——ソウルフードがありますか。
キムチチゲは好きです。韓国に帰るたびに食べたくなります。
——健康と美容で気を付けていることを教えてください。
KARAのメンバーとして15歳でデビューした私も今は30代。見た目とか外見も大事ですけど、今は内面を磨きたいと思ってます。ちゃんと自分のことを分かって、自分自身が好きなことを知り、一方でストレスの解消やデトックスの時間も十分取る。そうすることで自分を内側から綺麗にしたいですね。
(取材・文:高堀冬彦)
関連記事(外部サイト)
- 『冬ソナ』放送から20年、ペ・ヨンジュン来日時の大フィーバーを振り返る。「ヨン様」名付け親が初めて明かす<秘話>とは【2023編集部セレクション】
- 羽田空港でBTSに会える!?「『B★VERSE』(BTS、星を歌う)」に行ってきた!VRでパフォーマンスにかぶりつき
- 大流行の韓国グルメ!今人気の料理は?各地でフェアも開催。ヤンニョムチキン、キンパ、ロゼクリームなど
- 兵役時代のエピソードを語るK-POPアイドルたち。「氷点下での訓練」「ラーメンは袋のまま」…。どんな経験談からも想像できることとは
- 韓国ドラマにも登場する美しい布・ポジャギに魅了されて20年。夫の赴任で韓国・釜山での駐在をきっかけに、55歳から制作を始めて