フジ退社の武田祐子アナはフリー女子アナの新しいカタチ

3月26日(日)16時0分 NEWSポストセブン

フリーに転身するフジテレビの武田祐子アナ(公式HPより)

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 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、女子アナが女子アナのままでいることの難しさを考察。


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 フジテレビの武田祐子アナが3月31日で退社。フリーに転身することが明らかになった。入社23年目、あと2か月で47才となる“アラフィフ”の決断だ。


 出身は山形県山形市。山形大学の付属幼稚園からエスカレーター式で大学まで進み、同大学理学部生物学科卒という“リケジョ”の走りでもある。同期は、木佐彩子富永美樹、男性は佐野瑞樹アナだ。


『笑っていいとも!』でタモリの横でウミガメの真似を完璧にやってのけたのを始め、看板番組『めざましテレビ』のMCほか、「彼女に仕事が集中しすぎている」と社内で問題視されたこともあったのは木佐。退社後も、もっとも成功している女子アナの一人であり、人気の高さやイメージの良さからCMや雑誌のタイアップ出演の仕事も多い。


 そして富永は高校時代、『夕やけニャンニャン』の「おニャン子クラブ」オーディションに参加したタレント志向の強いタイプ。木佐を始め、人気アスリートとゴールインする女子アナが圧倒的に多いフジテレビにあって、ミュージシャンと結婚し、現在は夫婦揃ってバラエティー番組のヒナ壇に座ることも少なくない。


 ちなみに佐野アナは、奔放な発言がバラエティーでウケ、私生活でバツ2であることも公表している、これまた、ある意味、フジテレビらしいライトなタイプの男子アナだ。


 そんな同期の中で、正反対とも言えるタイプの武田祐子を採用した当時の担当者の気持ちはとても理解できる。


 木佐や富永がルックスやキャラクターで勝負していたのに対し、武田アナは、自身最大の特徴ともいうべき“声”で勝負してきた。


 それは、「武田祐子」で検索すると、いちばん上に「武田祐子 声」と出て来るほど視聴者にも御馴染みで、『もしもツアーズ』『馬の王子様』、そして『ゲームセンターCX』などのナレーションは、“アニメ声”とも言われ、ファンを増やしてきたのである。


「アナウンサー=美声」と言われた時代には居なかった「変わった声」「珍しい声」であり、同時に、声優のように“七色の声”を出せる稀有な女子アナ。


 ドキュメンタリー番組のナレーションにも定評があり、系列局を含めた全アナウンサーのトップに輝いたこともあれば、ギャラクシー賞を受賞したこともある。


 まさに、この“声”が、派手なタイプではない武田祐子アナを最後までアナウンサーで居させてくれた“財産”と言えよう。


 他局でも、ベテラン女子アナが担当するストレートニュースや自己批評番組を武田アナも担当。その仕事ぶりは実に真面目で、馴染みのゲストに対しても、決して“なぁなぁ”になることはなかった。


 テレビ局には「女子アナ30才定年説」はいまだに存在し、“肩たたき”にあう前に自分で決断し、30才を待たずにフリーになる女子アナは少なくない。いや年々多くなっているように感じる。


 他部署への異動を言い渡されたことで退社する女子アナも昔から居て、その先駆け的存在は、武田アナの大先輩、フジテレビの岩瀬恵子アナだった。


 その岩瀬アナもそうだったが、女子アナの異動先の多くは「広報部」や「宣伝部」。マスコミやタレントとの交流もある華やかな部署だし、アナウンサーでなくなっても、“司会”を任されることもある部署とも言える。


 が、「なぜ私が?」「こんなことを?」と落胆する女子アナは多いのである。ちなみに、私が知る限り、宣伝部に異動してからも実に楽しそうに仕事をしていたのは、テレビ朝日の川北桃子“元”アナだけだ。


 その他の女子アナは、「辞めて、どうするの?」と言いたくなるようなタイプであっても、他部署への異動を機にフリーを選ぶ者が多いのだ。


 いいか悪いかは置いといて、元・日本テレビの脊山麻理子アナのように“グラビア界”に進出したり、同・宮崎宣子アナや馬場典子アナのように“自虐ネタ”がウケ、バラエティー番組からオファーされたりするタイプもいる。先のことはわからないし、決断したことで広がる可能性もあるにはある。やっぱり女子アナはみなたくましい。


 武田祐子アナに話を戻そう。


“声”で勝負し、“声”がウケ、他部署への異動話からも免れ、「定年説」も鮮やかにクリアしてきた武田アナ。だが、NHKやTBSとは異なり、ラジオとの兼営局ではないフジテレビにあって、アラフィフ女子アナの“居場所”はそう広くはなかったと思われる。


 近年、武田アナは『直撃LIVE グッディ!』の“フィールドキャスター”を担当していた。何度か彼女の姿を見かけたのは“芸能”の現場で、ベテラン芸能リポーターらと席を並べている武田アナの姿に、私は違和感をおぼえたものである。


 当初、番組知名度の低さから、『グッディ!』のフィールドキャスターの面々は番組名を連呼したり、場の空気を読まない質問をすることで他局スタッフから不評だ。『グッディ!』スタッフは武田アナにも、そのようなリクエストをしていたと思われる。つまり、かつての“サンジャポ・ジャーナリスト”のんちゃんこと小林のんのような役割と言ったらいいだろうか。武田アナの年齢やキャリアにはそぐわない内容だったのである。


 局アナだから、もちろん、それも“仕事”の一つなのだけれど、見ていて気の毒に感じることが私にはあった。


 退社にあたり、スポーツ紙の取材に応じた武田アナは「家族も増え、これまでとは違った時間の使い方があるのではないかと試行錯誤した結果の決断」とコメントしている。武田アナの夫はフジテレビ局員だ。制作や編成など、いわゆる“現場”には欠かせない存在で、私も仕事をしたことがあるが、地に足のついた堅実なタイプ。だが、会議中、ジョークも飛ばせば、トレンドには誰よりも前のめりになるテレビマンらしい一面もある男性で、武田アナとは「本当にお似合い」と羨む女性スタッフや後輩女子アナは多い。


 入社が94年で結婚は02年。第一子出産は11年。そして退社が17年。武田アナの“転機”はいつもゆっくり訪れ、その都度、じっくり考えて行動に移してきたようにみえる。セント・フォースやフォニックスといった事務所には所属せず、文字通りのフリーアナとして、『全力!脱力タイムス』や『ザ、ノンフィクション』のナレーションは引き続き担当するという。これも、アナウンサーのままフジテレビに居られたからに他ならない。


 武田祐子アナは、フリー女子アナの“新しいカタチ”を示してくれた。

NEWSポストセブン

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