ザク、グフ、ドム…量産型を駆る男たちの挽歌「ランバ・ラルやガデムが見せた“生き様”」

3月27日(金)7時0分 オリコン

(左)作品名:「buddy」/制作:ピロセピロシ(右)作品名:ランバ・ラル隊とその支援部隊/制作:スギモトカステン(C)創通・サンライズ

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 40年余の歴史を持つ『機動戦士ガンダム』シリーズにおいて、主役機に負けず劣らずの人気を誇っているのがザクやドムといった量産型MSだ。“ヤラレ役”として不遇な目にあう量産型MSだが、モデラーたちはそのどこに魅力を感じているのか…?グフ、ザク、ドムが一堂に会した「幻のランバ・ラル隊」を制作したスギモトカステン氏(@kuromedakaf14)と、ジャブロー侵攻作戦に参加した旧ザクを制作したピロセピロシ氏(@archidelic02)に、量産型MSを駆る“ジオン兵の魅力”について聞いた。
      
■MSだけではなく、その他大勢の“生身の人間”を表現(スギモトカステン)

 スギモトカステン氏が制作したジオラマ作品「ランバ・ラル隊とその支援部隊」は、青い巨星ランバ・ラルに十全な補給がなされていたら…?というif設定を立体化したもの。同氏に制作におけるコンセプトを聞いた。

 「元々、2018年の千葉しぼり展示会の時は、マゼラアタック、キュイ、ワッパとフィギュアだけの作品でした。この時はあえてモビルスーツ無しで戦闘車輌とフィギュアだけでランバ・ラル隊を再現したんです。それが評価されてWildRiver荒川直人さんの『荒川賞』をいただきました。その時に荒川さんからの副賞として、『荒川さんの作ったヤシの木を使ってランバ・ラル隊のジオラマを完成させる』という次の展示会の課題が出来たんです。そこで、ラル隊に十分な補給があったと仮定したジオラマを制作しました」

 本作で一番表現したかったものについて聞くと、「宇宙世紀でも移動には十分な食料などの補給物資が必要です。全員がMSに乗るわけではなく、大勢の生身の人間によって運営されているということを表現したいと思いました」と、本作のテーマを教えてくれた。実際、本作からは“生身の兵士”の息遣いが聞こえてくる。

 その「一番こだわった部分」と語る、マゼラアタック、キュイ、ワッパなどに乗っているジオン兵のフィギュアは50人以上制作したとのこと。マゼラアタックはイラク戦争でバクダッド進攻に使用されたアメリカ主力戦車のエイブラムスのイメージで制作。そして、ジェリカン(燃料容器)、飲み物、ダンボール箱、クーラーボックスなど、生活必需品の荷物に至るまで再現されている。

 そんな50人のジオン兵はそれぞれポーズが異なる。「ジオン兵は、アメリカ兵直立ポーズのフィギュアを切り刻んでポージングを変え、ヘルメットもジオン兵用に改造しました」と、力作となったジオン兵について説明してくれた。また、上を見上げているフィギュアがあったため全員パーソナルジェットを背中につけてヘルメットを作成、ファーストガンダム第20話『死闘!ホワイト・ベース』に登場するキュイ揚兵戦車部隊を再現している点も見逃せない。

 このように、日々“妄想の具現化”を楽しむスギトモト氏に今後の制作プランを聞いた。

 「大河原邦男さんがMSV-Rという新しいバリエーションを描いているので、その辺りを作っていきたいと思います。あとは、やはりパーフェクトガンダムですね。それと、これまで砂漠のジオラマが続いているので市街戦なども作ってみたいです」

■量産型だからこそ「ワンオフの機体」への“欲”が生まれる(ピロセピロシ)

 『機動戦士ガンダム』に登場する“量産型MS”への思い入れが強いと語るピロセ氏。その理由について、“量産型という概念”自体が新鮮だったと強調した。

 「元々はロボットやSFが大好きなのですが、ファーストガンダムに登場した“量産型”という概念は凄く新鮮でしたし、それをガンプラで再現できるのは嬉しかったですね。ザクやジムは量産機であるからこそバリエーションが豊富で、そういった意味で“ワンオフの機体を作りたい”という欲望が、私を含めモデラーの中で生まれたんだと思います」

 量産型の魅力については、ガンダムやザクのデザインを担当した大河原邦男氏のデザイン性によるところも大きいという。「大河原さんのデザインは秀逸で美しいと思います。それなのに、手を加える余地も残っていて創造性を掻き立てられます」と、モデラーならではの見地でその魅力を語ってくれた。

 量産型の代名詞・ザクについては、「ファーストガンダムの第3話『敵の補給艦を叩け!』に登場する旧ザクの活躍が忘れられない」とピロセ氏は熱を込めて語った。

 「旧型という言葉の響きと、丸腰でガンダムに立ち向かうシーンは最高にカッコいいです。でも、搭乗しているガデム曹長は『このザクとてワシと百戦錬磨の戦いの中をくぐり抜けてきたのだ。にわか作りの連邦軍のモビルスーツ(MS)、一撃で倒してみせるわ!』という勇ましいセリフを吐きますが、連邦軍の新型MSであるガンダムにあっさりとやられます。この、“精神論”とか生半可な“操縦技術”ではMSのスペックの差をひっくり返せないという部分に、ファーストガンダムが描く“戦争のシビアさ”を感じました」

 旧ザクへの並々ならぬ想いを語ったピロセ氏は、その気持ちをジオラマ作品で表現するまでに至っている。今回紹介している作品「buddy」は、ジャブロー基地降下作戦に参加した名も無き戦士の情景を立体化。「旧型を愛する老兵と、腕の立つ新兵の死闘の瞬間を制作しました」と制作テーマについて教えてくれた。

 本作で一番表現したかったものについて聞くと、「多くを説明しなくても作品から様々な事が読み取れるリアリティです」と回答。そのために、現用兵器のイメージでディテールを加えてリアリティのある機体を目指したのだそう。

 「ジオラマは広大な南米湿地帯を切り抜いたようなレイアウトとし、波打つ水の表現は戦場の緊張感と躍動感が伝わる様にとこだわって作りました。名も無き戦士が駆る“量産型”の生き様を感じてもらえたら嬉しいです」

(C)創通・サンライズ

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