世間知らずのお嬢様を緒川たまき、乞食の王様を古田新太が演じるKERAの「いい話」『ベイジルタウンの女神』

2025年3月28日(金)8時0分 婦人公論.jp


左から作・演出のKERA、主演の緒川たまき、古田新太(写真提供:CUBE)

ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)と緒川たまきによる演劇ユニット「ケムリ研究室」の旗揚げ公演で披露された『ベイジルタウンの女神』(2020年上演)が再演されます。本作は、KERAが作・演出を手がけるロマンティックコメディ。俗世を知らないお嬢様・マーガレット役を緒川たまき、乞食の“王様”を古田新太が演じる。再演にあたって、作・演出のKERA、主演の緒川たまき、古田新太による合同会見が開かれました。

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みんな生きるためには容赦しない


古田 :ケラっちとたまきちゃんがいきなり2人でやって来て「『ベイジルタウンの女神』再演するんだけど出ない?」って言われました。「スケジュール空いてたらいいよ」って答えたの。そしたらケラっちが「ごめん!」っていうから何かと思ったら、「古ちんの嫌いな“いい話”なんだけど、それでもいい?」って念を押されました。(笑)

緒川 :なんとか首を縦に振っていただけたらって、もう祈るような気持ちでお話ししに行ったので、引き受けてくださると聞いて本当に嬉しかったです。

KERA :その時の気分によるだろうってね。

古田 :ラストがハートウォーミングだったから警戒してたけど、作品をもう一度見せてもらったら、ちゃんと悪い奴もたくさん出てくるから安心しました。

緒川 :みんな生きるためには容赦しないっていうのも、この世界観をつくる上で大事な要素ですものね。

KERA :古ちんだったら妹の“ハム”役の水野美紀とのバランスも全然違ってくるだろうなと思っているので、台本も少し手直しするつもりです。

古田 :そうなんだ。

KERA :再演をするというと必ず「その意図は?」って聞かれるけれど、確たる意図はないんです。楽しかったから、またやりたい。 

緒川 :初演はケムリ研究室の立ち上げの作品でしたので、「ぜひ最初から観たい」と思ってくださっていたのに、コロナ禍で観られなかった方がたくさんいらしたと聞いています。再演することで、1人でも多くの方に観ていただきたいですね。

もう一度やりたいという直感で再演を決めた


KERA :『ベイジルタウン〜』は、2020年に企画した4本の公演のうち、上演できた唯一の作品。それなのに座席数は半分で、チケットが取れなかった方がたくさんいらっしゃった。

当時、コロナがどうなるか分からない中、稽古をしながら、台本を書き上げました。思い返すと、もっと詰めたいところ、鮮やかにできるところがたくさんある。あの舞台をじっくりもう一度やりたいという直感で、今回再演を決めました。

緒川 :ケムリ研究室というユニットは、私は出演者であると同時に主宰としてキャストとスタッフとをつなぐ役割でもあります。『ベイジルタウン〜』がコロナ禍での第1作目だったので、まだまだそういった立ち回りが充分にできませんでした。

役のマーガレットさんは、他人の善意に縋って生きているような人なので、反対に裏側ではキャスト、スタッフをしっかりと支え、のびのびとしたカンパニーを目指していますし、それが『ベイジルタウン〜』という作品の味にもなれば嬉しいです。

KERA :前回の『ベイジルタウン〜』の直前に予定していた『欲望のみ』という公演は陰惨な内容になる予定でした。(*緊急事態宣言により公演中止)その反動で温かい作品がやりたくなるだろうなと予想してつくった作品が『ベイジルタウンの女神』。だからファンタジーなんです。とにかくどんな人でも楽しく観られる舞台になっています。いろんな方に観にきていただきたいですね。

『ベイジルタウンの女神』
https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/kemuri-no4

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