「日本初のヘアヌード映画女優」片岡礼子の自然演技に注目の映画

4月7日(土)10時1分 まいじつ


映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『大和(カリフォルニア)』


配給/boid 新宿K’s CINEMAほかで4月7日より全国公開

監督/宮崎大祐

出演/韓英恵、遠藤新菜、片岡礼子、内村遥、塩野谷正幸ほか


奇妙なタイトルだが、舞台となる神奈川県大和市は、隣接する綾瀬市、海老名市とともに厚木基地を抱え、その住所は実はカリフォルニア州に属している、という都市伝説によるもの。巷間よく言われる“日本はアメリカの51番目の州みたいなもの”という属州意識を皮肉っぽく表しているではないか。


基地の街・大和市に育ったラッパー娘・サクラ(韓英恵)が、母の恋人だった米兵アビーの娘でカリフォルニアからやってきたレイ(遠藤新菜)との反目と交流が描かれる。何よりもヒロインの韓英恵の魅力が炸裂する作品だ。


これまで地味めの脇役が多かった彼女だが、今回はヤサグレ感満点、ストレス度沸点の、まるで鋭利なナイフのようなヒロインを熱演している。スクーターを転がし、ロングヘアの先っちょを少し染めて、くわえタバコにガラケーという今時はやらないスタイルを貫くのもチャーミング。睨みつけるようなガン飛ばしの三白眼もキマっている。サクラが街の片隅にある廃車とおぼしきキャンピングカーを“秘密の隠れ家”のようにして、レイと過ごすシーンが微笑ましい。あえて米兵、基地問題は背景にして、直接触れないのも、この街の界隈で育ったという宮崎大祐監督の正直な感覚が反映している。



ヒロインの母・片岡礼子に注目


ここで、ヒロインの母を演じているのが片岡礼子。ハネっ返りの娘に手を焼きながらも明るく接する。自分も米兵を恋人にしたり、若いころからそれなりに奔放な人生を送って来たと察せられる。こういう含みのある役を自然体で演じられるのは彼女のキャリアに裏打ちされていると思う。もう四半世紀前になるが、彼女が、ヨコハマ映画祭新人賞を共演の鈴木砂羽とともに受賞した『愛の新世界』(1994年)のことを思い出す。風俗で働く若い女性たちを色眼鏡なく描いた高橋伴明監督の傑作で、彼女の役はホテトル嬢。危険な目に遭ったりもするが、たくましく商売を続ける役だった。


ラストに波打ち際でふたりが全裸で戯れるシーンで、ヘアも映ることから“日本初のヘアヌード映画”とも呼ばれたものだ。今観ても色あせない作品で、この新作にも通じる社会のレールから外れてもしっかり生きる若い女性の“今”をしっかり照射していた。


あれから24年…共演の鈴木砂羽はバラエティーに、女優業に引っ張りダコだし、片岡礼子も一頓挫あったものの、今では貴重な個性派女優として近年再び“いい仕事”をしていることを喜びたい。



まいじつ

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