ツッコミどころ満載で愛される『名探偵コナン 紺青の拳』、気になる5つのシーンを全力でツッコんでみた

2024年4月12日(金)18時30分 All About

金曜ロードショーで放送される『名探偵コナン 紺青の拳』の、大好きなツッコミどころをあげていきましょう。ファンの期待に応えていることは掛け値なしに称賛できますよ。(※サムネイル画像出典:(c)2019 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会)

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2024年4月12日、金曜ロードショー(日本テレビ系)にて『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』が地上放送となります。
言わずと知れた劇場版『名探偵コナン』第23作目の本作では、人気キャラクター「京極真」が初めて劇場版のメインキャラクターとなったほか、初の海外(シンガポール)が舞台となっています。さらなる特徴は「ツッコミどころ満載」であることでしょう

劇場版『名探偵コナン』、近作の共通点

創作物のツッコミどころは往々にしてネガティブな要素になり得ますし、特に推理もののミステリーでは謎解きのロジックが重要となるので、本来はなるべくツッコミどころは解消しておくべきでしょう。
しかし、こと劇場版『名探偵コナン』の近作では、ミステリーはあくまで要素の一部。メインはいい意味で荒唐無稽かつ派手なアクション、愛され続けるキャラクターの格好良さ、関係性の尊さを推した「キャラ萌え」になりつつあります。
それもあってか、多少のツッコミどころは大きな問題ではないどころか、一周回って心の中でツッコんで見た人同士で盛り上がれるギャグへと昇華されているような気さえするのです。ここでは、劇場版『名探偵コナン』の中でも、抜きん出て愛することができる、『紺青の拳』のツッコミどころ5選をあげていきましょう。
※以下からは黒幕の正体を除き、結末を含む映画本編のネタバレに大いに触れています。ご注意ください。

1:マーライオンが盛大に血を吐く

映画の冒頭からマーライオンが血を吐く画に度肝を抜かれた人は多いのではないでしょうか。後にこれは「街を破壊する作戦の決行を海賊へと知らせる合図」であることが明らかになり、そこでは血ではなく「赤い水」であると言われていました。
とりあえずツッコミましょう。「もっとほかに目立たない合図の方法があっただろ」「どうやって赤い水を吐かせたねん」「赤い水って言われてたけど結局血なの? それともワインなの? トマトジュースなの?」と疑問だらけだよ!
「スタッフがマーライオンに血を吐かせたかっただけだろ」と言われても仕方がないガバガバぶりですが、実際に脚本を手掛けた大倉崇裕はX(旧Twitter)で「マーライオンの血しぶきは、シンガポール取材の初日にほぼ全員一致で決定。しかし、あんな禍々しい色であんな量吹き出すとは!」と投稿していました。うん、全員一致なら仕方がないですね(遠い目)。
ちなみに大倉崇裕は同投稿への「どういうカラクリで血を吹いてるんでしょうか…?」という質問に対し「口から出ている水は海水を取り込んで循環しているらしいのです。だから、循環させる機械に赤いものを仕込むか、周りの水を赤くすれば勝手に取り込んで吹くと」と、一応は回答。いや、あの、なるほどとはなったんですが、それ以外の疑問は解消されていない気もしますが、まあ、もう、いいや(諦めた)。

2:優れもののスーツケースに入ると色黒になるコナン

今回のコナンは、怪盗キッドに誘拐されてシンガポールに連れて来られるわけですが、その過程がものすごいことになっています。何しろ、コナンが入ったスーツケースは「手荷物検査のX線を通さない特別仕様」「12時間は持つ酸素発生器が入っている」「長時間入っていても体が痛くならない極上のクッションが詰め込まれた優れもの」だったのですから。
「運び方が倫理的にも物理的にも危うすぎる」「X線を通さなかったら余計にその荷物怪しまれるだろ」「極上のクッションとは」などは、まだ小さなツッコミどころ。なぜかコナンはスーツケースから出ると肌が黒くなっており、それに対する説明は特になし。なんで? なんでスーツケースに入ると色黒になるの? それどういう理屈?
コナンの突然の色黒化に見ているこっちが混乱する最中、蘭と園子に見つかってコナンじゃないかと思われるのですが、キッドが「ここの子どもらしい」と言い、とっさに思いついた「アーサー・ヒライ」と名乗ると、それをしっかり信じて、この映画のほぼ全編でコナンは現地の子どもこと“アーサー・ヒライ”として活躍するのでした。コナンも「てめえら、あっさりだまされすぎだろ」と言っていたけど、本当だよ!
ちなみに、脚本家の大倉崇裕は「『シンガポールかよ〜』を言わせるの、実はものすごく苦労しました」ともXに投稿。「コナンが気づいたらシンガポールにいた」という“おもしろ状況”のために、ここまでやらなければならないとは……皮肉ではなく、脚本家は大変な仕事だとよく分かります。

3:テーザー銃で撃ってくることを「まさか」と言う怪盗キッド

宝石・紺青の拳を盗みにやって来た怪盗キッドは、テーザー銃で撃たれ、なぜか「まさか、テーザー銃で撃ってくるとは……」と言います。いや、撃つだろ! 宝石を盗みに来た泥棒は! むしろ本物の銃じゃないだけいい方だよ!
そんなキッドは、今度は本物の銃に撃たれて血を流し、「上等だ、面白くなってきやがったじゃねえか」とつぶやいていたりしますが、コナンの前で包帯を巻いた後は、特にダメージはなさそうに空を飛びまくり、大活躍していました。
なんか、キッドにとっては死ぬ可能性大の本物の銃よりも、電流ビリビリのテーザー銃の方が脅威だと思っている節があるんですけど……なんで?

4:戦闘能力を封じ込められるもスーパーサイヤ人のように力を解放する京極さん

今回の大きな見どころは、恋人の園子を守ろうと奮闘する空手家の京極さんの格好良さ、そして人間離れした戦闘能力でしょう。
例えば、園子が「世界中のどんな女性も彼にかかればハートを盗まれるのよ!」などと怪盗キッドの魅力を語っていることに嫉妬した京極さんは、片手で支えていた甲冑の剣を握りつぶしてしまうのです。それ、アルミ缶とかじゃないよ。
ほかにも、キッドとの戦いの最中にコナンが蹴った超威力のサッカーボールを打ち返したり、空手の試合で相手を場外どころか数メートル吹っ飛ばしたり、なぜか三節棍(さんせつこん)を武器にするチンピラと戦ったりと大活躍の京極さんでしたが、園子が交通事故に遭ってしまった時には深く落ち込みます。
そこで実業家で犯罪行動心理学者のレオンは、「ミサンガのようなもの」を京極さんに渡し、「君の拳が危険を呼び、愛する人が傷つくかもしれない」「君にはまだ、拳をふるう心・技・体が備わっていない」「これが切れたら、心・技・体が備わったと神に認められた証」「だが、切れる前に拳をふるえば……分かっているよね?」などと宣言します。
クライマックスでは、コナンが「残っているじゃあねえか、一発逆転の奥の手が!」と言い、キッドも「なるほどな」と納得すると、キッドはトランプ銃の最後の1発でそのミサンガ(?)をピンポイントで撃って切り、京極さんは赤いオーラを放ちつつ本来の力を取り戻し、海賊たちと空手大会の優勝者と戦うのでした。
うん……犯罪行動心理学者ってそんな呪いのミサンガを作ったりもできるんだ……それを京極さんも信じて力を封じ込められるんだ(詐欺に遭わないように気を付けてね)……そんなピンポイントの的によくトランプを当てられたな……京極さんって、本来の力を取り戻すとスーパーサイヤ人みたいなエフェクトかかるんだ……。
……などと遠い目になるツッコミどころのコンボのおかげで、めまいがしてくるほどですが、京極さんにとっては戦う相手のはずだったキッドが、反対にライバルを覚醒させる立場になる、というのはアツい展開ではないですか(無理やりな擁護)! あと蘭も相変わらず海賊を7、8人は体1つで倒していて強すぎる!
ちなみに、「その場にいなかったキッドがなぜ京極さんのミサンガのことを知っているの?」と思う人もいるかもしれませんが、一連のシーンをよく見ると、キッドは「清掃員に変装して」話を聞いていたことが分かります(その直後にキッドが包帯を巻きながらコナンと話すシーンで、すぐそばに清掃員の服とモップが置かれている)。一応はツッコミどころを解消する努力もしているのです(そのほかが強引すぎるけど)。

5:マリーナベイ・サンズの上の部分は滑る

シンガポールを代表する高級リゾートの「マリーナベイ・サンズ」でのスペクタクルが本作の最大の見どころといっていいでしょう。
びっくりするのが、海賊がロケットランチャーを持っていることはまだしも、コナンと怪盗キッドがその弾を(街のほかの場所を破壊させないように)マリーナベイ・サンズに撃つように誘導していること。コナンは「当てたか!」と確信し、キッドは「ふっ」と笑っていたけど、それでいいのか!
そして、マリーナベイ・サンズの上の部分だけがポロッときれいに取れて、滑って海の上に落ちていく(しかもキッドに宙吊りにされた海賊にぶち当たりそうにもなる)様は笑わずにはいられません。脚本家の大倉崇裕は「こんな景色見せられたら、やっぱりやりたくなるじゃないですか、『アレ』を」とXに投稿しており、本当にこれが「やりたかったこと」なんだろうと思うとより笑顔になれます。
そのマリーナベイ・サンズの上の部分には主要キャラクターみんながいたのですが、もちろん全員生存(※普通は死にます)。その後に絆創膏の裏に貼った写真のことを知った園子(髪を下ろしているのがかわいい!)と京極さんのイチャイチャを見た蘭が「ラブラブねえ」と言うけど、この大惨事(※誰も死んでない)に対して、ほのぼのムードなのがすごすぎます。
さらに、エンドロール後では、キッドが新一に変装していたと蘭が気づいていたことも明らかに。「いや、そっちに気づいたんだったら、色黒になってアーサー・ヒライと名乗っているだけのコナンの方にも気づけよ!」と最後までツッコませてくれます。
なお、「映画の中とはいえシンガポールをこんなことにして怒られないの?」と心配になっている人もいるかもしれませんが、 シンガポール政府観光局が「協力」としてクレジットされていますし、シンガポールで本作を見た人から「マーライオンに血を吐かせたりマリーナベイ・サンズの上の部分が滑っていくシーンで爆笑が起こっていた」という報告がSNSで複数寄せられているので、たぶん問題ないでしょう。

まとめ:ファンの期待にこれだけ応えている

そんなわけで、ツッコミどころを超えた爆笑ポイントと、さすがにどうかと思うツッコミどころもある『名探偵コナン 紺青の拳』ですが、その実ファンの期待に大いに応えて入れ込んでいることは、掛け値なしに称賛できると思います。
・コナンに「シンガポールかよ〜」と言わせる
・人気キャラクターの怪盗キッドと京極さんを活躍させ対決もさせる
・京極さんと園子のラブストーリーも描く
・『名探偵コナン』らしく殺人事件も描く
・せっかくシンガポールを舞台にしたんだから、マーライオンには血を吐かせるし、マリーナベイ・サンズは爆発させ上の部分を滑らせる
これらの要素をまとめるのはむちゃだと思えますし、実際にむちゃすぎる場面も出てきていますが、それすらもツッコミつつもほほ笑ましく見られるうえに、爆発も起こるアクションの派手さや、いい意味で悲鳴をあげて喜べるキャラ萌えがさらに加速しているのが、近年の劇場版『名探偵コナン』の「らしさ」であり魅力といえるのではないでしょうか。
本日4月12日より劇場公開中の『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』でもキッドが大活躍していそうですし、愛すべきツッコミどころにもむしろ期待しています。
この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
(文:ヒナタカ)

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