松たか子の“秘めた狂気”の演技に注目 坂元裕二脚本の新ドラマはどう見せるか

4月12日(月)19時5分 NEWSポストセブン

脚本家の坂元裕二とは「歌手と作詞家」としての実績も(時事通信フォト)

写真を拡大

 女優・松たか子が主演を務める連続ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)が4月13日からスタートする。脚本を担当するのは、松たか子とは3度目のタッグとなる坂元裕二。2人のコラボレーションは大きな魅力となりそうだ。


 坂元裕二と言えば、1990年代初頭に大ヒットしたトレンディドラマ『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)をはじめ、興行収入85億円を記録した2004年の映画『世界の中心で、愛をさけぶ』、さらに今年公開された話題作『花束みたいな恋をした』など、数多くの人気作品の脚本を手がけてきたことで知られている。


 坂元と松たか子とのコラボレーションは20年以上前に遡ることができる。松たか子が歌手として1997年に発表したデビュー曲「明日、春が来たら」の作詞を手がけたのが他ならぬ坂元なのだ。同年リリースされた1stアルバム『空の鏡』や、2001年の4thアルバム『a piece of life』の収録曲でも2人はコラボレーションを果たした。


“歌手と作詞家”という関係だった2人は、2010年代の後半から“役者と脚本家”としてタッグを組みヒット作を世に送り出すようになった。最初に組んだ作品は松たか子が主演を務めた連続ドラマ『カルテット』(TBS系、2017年)だ。弦楽四重奏をテーマにした“大人のラブサスペンス”が好評を博し、ザテレビジョンドラマアカデミー賞をはじめ数多くの賞を受賞した。


 その3年後の2020年、主演を阿部サダヲが務め、松たか子がヒロインを演じた2時間ドラマ『スイッチ』で2度目のコラボレーションが実現。元恋人同士の検察官と弁護士の対決を描いたラブサスペンスで、ギャラクシー月間賞を受賞したほか、視聴者から連ドラ化の声が相次いで寄せられるほど話題を呼んだ。


 そんな松たか子と坂元裕二が“役者と脚本家”として3度目に組んだ作品が『大豆田とわ子と三人の元夫』である。3度の結婚と離婚を繰り返した主人公・大豆田とわ子(おおまめだ・とわこ)が元夫たちと繰り広げるロマンティック・コメディで、フィルマークスが調査した「2021年 地上波放送の春ドラマ 期待度ランキング」で第3位にランクインしている注目作である。


 坂元裕二の脚本における女優・松たか子の魅力について、新刊『テレビドラマクロニクル 1990→2020』(PLANETS)の著者であるドラマ評論家の成馬零一氏はこのように語る。


「松たか子が坂元裕二脚本のドラマに出演するのは『カルテット』『スイッチ』に続いて3作目ですが、どちらも一見、社会に適応しているように見える大人の女性が実は奥底に狂気を秘めているという役です。こういう一見、普通に見えるけど“実はヤバい女”を演じさせると松たか子の独壇場で、次の『大豆田とわ子と三人の元夫』もそういう役になるかと思います」


 さらに成馬氏は、松たか子が他の代表的な出演作でも同様の“奥底に秘めた狂気”を演じてきたことを指摘しつつ、こうしたイメージを坂元裕二が脚本の中に取り入れていると分析する。


「こういう役は、声優を担当した2014年のアニメ映画『アナと雪の女王』のエルザ、映画では2010年の『告白』以降、松たか子が得意とする役柄の傾向で、そのイメージを坂元裕二はうまく反映させているのだと思います。


 おそらく一番近いのは2014年の西川美和監督の映画『夢売るふたり』で演じた、夫といっしょに結婚詐欺を企てる女性です。夫役が『スイッチ』で共演した阿部サダヲだったことを踏まえると、坂元裕二作品への影響は大きいのではないかと思います」


 かつて坂元裕二が作詞家として手がけた松たか子の歌は、どれも切ない恋心の独白という形式をとっていた。つまり狂気とは無縁(ただし、そこに“奥底に秘めた狂気”を重ね合わせると歌詞の聴こえ方がガラリと変わってしまうのだが……)で、これらの楽曲とドラマを比べてみるだけでも、いかに坂元裕二が2010年代以降の役者としての松たか子のイメージを脚本に上手く反映してきたかがうかがえる。『大豆田とわ子と三人の元夫』でも印象深い演技を見せてくれることになりそうだ。


◆取材・文/細田成嗣(HEW)

NEWSポストセブン

「松たか子」をもっと詳しく

「松たか子」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ