やなせたかしと共通する 北村匠海の素 「実は絵が好き...通じるものがある」朝ドラ絵描きシーン秘話語る
2025年4月12日(土)8時15分 スポーツニッポン
俳優・北村匠海(27)が、NHK連続テレビ小説「あんぱん」(月〜土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)の熱演で話題を集めている。アンパンマン生みの親・やなせたかしさんをモデルとした柳井嵩を好演。北村は実は“絵好き”で、素の自分がやなせさんと共通する面もあるという。初回に注目を集めた、元祖絵本「あんぱんまん」のイラストを描くシーンの舞台裏を聞いた。(中村 綾佳)
同作は「アンパンマン」が生まれるまでの夫婦の軌跡を描いた物語で、北村が演じる嵩は今では国民的キャラクターとなった「アンパンマン」を54歳の時に生み出したやなせたかしさんがモデル。初回冒頭の「初期あんぱんまん」を描くシーンは、物語を印象づける重要なシーンとなった。
やなせさんはタレント業・舞台演出家など幅広く活動していたが、軸となる職業は「漫画家」。今後も絵を描くシーンが多くなる。撮影にあたり「絵を描く練習」などは行ったのか。北村に問うと「最初にポイントは教えていただきつつ、自分なりに練習しました」と振り返った。
「実は、僕は小学生の時から絵画教室に行ってて、学生時代の選択授業も美術だったんです。今でも絵が好きです」という北村。「油絵とか、あとはボールペンで抽象的な絵を描いたりとか。デッサンとかは下手なんですけど、そのメソッド自体は分かるんです。絵を描くという事は、自分にとって凄く馴染みのある事だった。そういう所は、もしかしたらちょっと嵩と通じるものがあるかもしれません」と、やなせさんと素の自分を重ねた。
そんな「お絵かき好き」な北村。同作への出演が決まってからは、時間を見つけては「アンパンマン」を描く練習をしている。
「アンパンマンって、誰でも描いたことあるじゃないですか。でもいざ上手に描こうとすると全然描けないんですよね。なので、いつも練習しています。別の仕事で地方に行った時も、ホテルのメモ帳があったらひたすらアンパンマンを描いてます(笑い)」
絵が好きとあって、描く線の一つ一つにもこだわっている。「やなせさんが描く丸には迷いがなくて、僕もそこは意識をしています」。イラストだけではなく、やなせさんが書く“サイン”も研究したといい「実は、放送前に公開された高知県のご当地ポスターに描いた直筆サインは『きたむらたくみ』と平仮名で描いたんです。気づいた人もいるかもしれませんが、これはやなせさんのサインを意識しました。やなせさんは丸みがあって一文字ずつ大小の差がある。そこを真似してみました」と告白。嵩を演じるにあたり、演技だけではなく細部までこだわり抜いているようだ。
また、これまでの経験を過信することなく、絵画担当のスタッフの描き方を見て学ぶなど、より漫画家らしい振る舞いをするための研究を怠らない。「やなせさんは、当たり前ですけど何百何千回とアンパンマンを書いてきた方。その域に到達するのは無理でも、なるべく近づいていきたいなと思っています」。北村が細部に宿す“やなせさんらしさ”に注目だ。