“幻の傑作”日本初公開! あのキューブリックが震撼した『ザ・バニシング-消失-』

4月14日(日)11時2分 まいじつ


映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『ザ・バニシング−消失−』


配給/アンプラグド シネマート新宿ほかにて全国公開中

監督/ジョルジュ・シュルイツァー

出演/ベルナール・ピエール・ドナデューほか


思い返せば『シャイニング』(80年)は主演のジャック・ニコルソンの〝怪演〟もあって、メチャクチャ恐ろしいホラー映画だった。同意見の方も少なくないだろう。この映画を手掛けたスタリー・キューブリックは鬼才の誉れ高き世界的巨匠だが、そんなキューブリックが「3回も観た。これまでで一番恐ろしい映画だ」と絶賛したということを謳い文句にした〝幻の傑作〟として日本初公開されるのがコレ。88年製作だから、もう30年以上も前の作品だが、伝説のサイコ・サスペンスとして知られただけに素通りはできない。


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オランダからフランスへと小旅行に出掛けていたレックス(ジーン・ベルヴォーツ)は、同行していた恋人サスキアが立ち寄ったドライブインで忽然と姿を消してしまう。必死に捜索するも手掛かりがつかめず3年が過ぎた。その後、犯人らしき人物レイモン(ベルナール・ピエール・ドナデュー)と対峙することとなるが…。



〝好奇心〟という名の危険なワナ


まあ正直なところ、キューブリックがどこまで本気で絶賛したかは知らないが、相当に底意地が悪い作品だとはっきり言える。実は同じシュルイツァー監督で、93年にハリウッド・リメークされており(日本公開題名『失踪』)、そのアメリカ版は公開当時に観ている。


キーファー・サザーランドが恋人を捜す主人公、ジェフ・ブリッジズが犯人らしき人物、それにまだ無名だったころのサンドラ・ブロックが失踪する恋人役で出ていた。アメリカで再映画化されるほど(それも同じ監督で)、テーマとラストが話題になったものだ。


この手の作品はネタバラシ厳禁で書かなきゃいけないのが難儀。一応〝反社会的パーソナル障害〟〝社会的実験〟〝ターゲットはたまたま偶然〟〝最もヒドい悪事は何?〟〝好奇心が命取り〟…などのヒントを敢えて断片的に散りばめておこう。犯人とおぼしき人物は、前出の『シャイニング』のニコルソンみたいに狂気の顔で襲いかかったりしない。常に冷静、一見善人そうに映る。そこがクセ者。


真相を知りたいがために、主人公は〝好奇心〟という名の危険なワナに陥り、犯人に操られてゆく…。おっと言えねえ、言えねえ、これ以上は。ハリウッド版と違って、オリジナル版はなじみのない俳優で占められいるので、その無名性が逆に、日常に潜む恐怖感をかきたててくれるのだ。


劇中、恋人の名を検索するPCがすごい初期の旧式で、懐かしくて、時代を感じる。約30年前といえば、昭和から平成に代わりつつあったころ。平成の終わりの節目に、約30年前の〝幻の傑作〟サイコ・サスペンスを観るのもまた一興か。



まいじつ

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