大阪・関西万博開幕 並ばないはずが...長蛇、混乱、風雨...どんだけ並ぶねん! スポニチ記者が現地ルポ

2025年4月14日(月)4時45分 スポーツニッポン

 大阪・関西万博が13日、大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)で開幕した。日本での大規模万博の開催は2005年愛知万博に次いで20年ぶり。大阪府で開かれるのは1970年以来、55年ぶりだ。待望の幕開けに歓喜の声が上がる一方、早朝から多くの人が詰めかけ、会場内のパビリオン、飲食店、グッズ売り場はどこも長蛇の列。午後には風雨が強まり、多くの人がずぶぬれになった。スポニチ本紙記者が混乱の幕開けとなった万博会場を歩いた。

 午前9時。大阪メトロ中央線夢洲駅前の東ゲートで入場が始まった。事前予約は14万人超。早朝から多くの人が詰めかけたが、大きな混乱はなく列はスムーズに流れた。

 今回は「並ばない万博」を目指し、来場日時とパビリオン観覧で原則予約制を導入。その成果かと思いながら会場を歩いていると、正反対の光景が目に飛び込んできた。70年の大阪万博と同じく「月の石」を展示している米国館の前に長蛇の列。午前9時半過ぎには「2時間待ち」となっていた。

 米国館は予約不要で先着順。会場に入ったものの、パビリオンの予約が取れない人が並んだようだ。大リーグ・ドジャースの大谷翔平が展示映像に登場することも話題で、万博会場でもその人気を実感した。

 午後に入っても米国館の行列はのびるばかり。隣のフランス館も人気で敷地外まで行列ができた。一時、米国、フランスのどちらの列か分からない状態になり、どこに並べばいいのか途方に暮れる人も。兵庫県宝塚市から来た男性は「パビリオンもトイレも店も行列ばかり。それに会場案内図が小さすぎて、どこに何があるのか分からん」と怒っていた。

 開幕時には順調だった入場ゲートも、徐々に混乱し始めていた。入場時にかざすQRコードがスマートフォンで表示できない人が続出。大勢の人が同時アクセスしたため、表示しづらくなったとみられる。大阪市の男性は「入場に2時間かかり、せっかく予約が取れたパビリオンの入場時間に間に合わなかった。電波状況を何とかしてほしい」と嘆いた。

 午後には風雨が来場者を苦しめた。気温が下がり横殴りの雨の中、長時間待たされた人たちは体を震わせた。雨宿りのため大屋根リングの下に逃げ込んだが、同じ考えの人でここも大混雑。しかも雨が吹き込むため「大屋根」は機能しなかった。午後2時過ぎには帰宅する人が急増。出口に大量の人が押し寄せ、流れが滞り、夢洲駅も一時入場を規制。駅に着くまで約2時間かかった人もいた。

 せめて冷え切った体を温めようと、遅めの昼食に「究極のえきそば」を食べることにした。神戸牛などを使った1杯3850円の逸品。こんな機会しか食べられない。人混みをかき分けて店にたどり着いたが、午後3時半時点で「200人待ち」。口にできたのは同6時過ぎだった。

 予想以上の混雑と悪天候に見舞われた初日。期待と不安が入り交じる184日間が始まった。(筒崎 嘉一)

 ≪5カ国開館間に合わず≫5カ国の海外パビリオンが開幕に間に合わなかった。インド、ネパール、チリ、ベトナム、ブルネイで内装や展示工事が完了しなかったため。インド館はこの日、一部がブルーシートに覆われた状態。急ピッチで工事を進めており、一日も早いオープンを目指す。関係者によると、ブルネイはゴールデンウイーク明けにオープン予定だ。

 ≪高濃度のメタンガス検知場所 マンホール柵で囲み注意喚起≫高濃度のメタンガスが検知された場所では、マンホールが柵で囲まれ「立入禁止」「KEEP OUT!」などの注意喚起の紙が張られた。万博協会によると、メタンガスは6日夕に会場西側で検知。引火すれば爆発が起こる可能性がある濃度だった。

 ≪ブルーインパルス 天候不良で飛行中止≫

 日本国際博覧会協会は予定していた航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の展示飛行が、天候不良のため中止になったと発表した。延期はしないという。万博の目玉とされた「空飛ぶクルマ」も飛行できなかった。

 ブルーインパルスは関西空港を離陸後、大阪城や通天閣と名所上空を巡り、正午ごろに万博会場上空でアクロバット飛行を披露する予定だった。江尻卓飛行隊長は「夢洲方向の天候が悪く、離陸した後に中止を決心した」とコメントした。

 会場内で午後0時15分ごろ、関係者が拡声器で中止を知らせると、大屋根リング上の人々から「えー!」と落胆の声。家族と一緒に訪れた、大阪府守口市の小学5年生氏田大翔さん(10)は「一番楽しみだったのに」と肩を落とした。

 会場では空飛ぶクルマ4機が披露されたが、天候が回復せず、デモ飛行は14日に延期された。

 【万博ドキュメント】

 5:40 会場直結の大阪メトロ中央線夢洲駅に始発電車が到着

 8:00 夢洲駅構内が混雑。通行規制が始まる

 8:30 東西にある入場ゲートに開場待ちの列

 8:43 日本国際博覧会協会の十倉雅和会長が「大阪・関西万博、ただいま開幕します」と宣言

 9:00 ゲートが開き、入場開始

 9:07 大屋根リングなどで1万人による「第九・歓喜の歌」の合唱

 10:15 ミライ人間洗濯機展示の「大阪ヘルスケアパビリオン」前に約300人が行列

 10:19 4機の「空飛ぶクルマ」が登場

 11:53 天候不良で航空自衛隊「ブルーインパルス」の飛行中止と発表

 12:00ごろ 「くら寿司」の待ち時間が8時間に。「スシロー」も279組待ち

 13:30ごろ フランス館が混雑と関係者セレモニーの影響で入館受け入れを停止。米国館も混雑で入館停止

 15:00ごろ 強い雨で帰路に就く来場者が最寄りの夢洲駅まで長蛇の列

 17:56 天候回復せず「空飛ぶクルマ」の飛行中止を告知

 19:00 ドローンショーは雨天決行。会場の夜空を彩る

 19:45 AdoがEXPOアリーナでスペシャルライブを開催。会場外にもチケットを入手できなかった大勢のファン

 22:00 閉場のアナウンスが流れ、初日が終了

スポーツニッポン

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