三國連太郎さん十三回忌法要 寛一郎「恥じない作品残していく」 佐藤浩市「笑い声が雲の上まで届くよう」
2025年4月15日(火)5時0分 スポーツニッポン
「神々の深き欲望」や「利休」「釣りバカ日誌」シリーズなど硬軟自在な演技で魅了した名優で、2013年に永眠した三國連太郎さん(享年90)の十三回忌が命日の14日、東京都調布市の角川大映スタジオで営まれた。生前親交があった映画人らに長男の佐藤浩市(64)が声をかけて実現。石橋蓮司(83)、北大路欣也(82)、浅田美代子(69)ら約400人が参列した。
183本の出演作を残して12年前に旅立った三國さん。佐藤は「ついこの間、七回忌だったなあと思ったら、もう十三回忌。時間のたつのは早い。そんな中で、やはり三國連太郎という人にはスタジオが一番似合うんじゃないかと思って、この場所で執り行わせていただきます。できれば笑い声が雲の上まで届くように皆さん、楽しい話を聞かせてください」とあいさつして、和やかに始まった。
佐藤の長男で、三國さんにとっては孫に当たる俳優の寛一郎(28)も登壇。「僕の中では三國連太郎さんという人と(本名の)佐藤政雄さんという人は100%乖離(かいり)している。役者を志そうと思った時に初めて三國さんの作品を見ましたが、軽々しくは言えませんが、尊敬する好きな俳優の一人です」と祖父に思いをはせた。
佐藤が5歳の時に家を出た三國さん。2人の関係は「確執」の2文字で語られることが多かったが、佐藤は「ちょっとした反発はありましたが、わだかまりはなかった」と明かし、「役者やるよと告げた時の返事は“あっ、そうか”だった」と振り返った。寛一郎によると、俳優の道に進むと佐藤に告げた際の返事も「あっ、そうか」だったという。寛一郎は「三國さんに恥ずかしくない作品を残していければと思います」と天国の祖父に誓った。
≪珍し親子3代“デスマスク”≫会場後方には三國さん、息子の佐藤、その息子の寛一郎の“デスマスク”が展示された。特殊メークの江川悦子さんが、それぞれ別々の作品で制作し保管していたもので、「親子3代そろうのは珍しい」と飾られたものだ。
≪「釣りバカ」共演の浅田美代子 気遣いに改めて感謝≫
三國さんとゆかりのある俳優仲間たちが次々と秘話を披露して、故人をしのんだ。ハマちゃん(西田敏行さん)とスーさん(三國さん)のコンビで国民的映画になった「釣りバカ」シリーズで共演した浅田は「私は途中からの参加でしたので、“本当に私でいいんだろうか”と緊張していたら、西田さんと三國さんが優しくしてくれて、すんなり入れました」と改めて感謝。昨年10月に西田さんが永眠し、浅田もさみしそうな顔を見せた。
三國さん、佐藤、そして寛一郎の3世代と共演している石橋は「三國さんはスターだから話した記憶はない。深作欣二監督の『狼と豚と人間』の時は三國さんと監督が議論になって夜が明け、撮影がなくなったこともあった。俳優として自分の意見を言ってもいいんだと学ばせてもらいました」と話して笑いを誘った。
「八甲田山」などで共演した北大路は「40日間の過酷な雪山撮影を三國さんは文句を言わず、役者魂をぶつけられたような気がします」と振り返った。