『ルックバック』製作陣、藤本真澄賞・特別賞に輝く「クリエイターが評価されるきっかけになれば」
2025年4月16日(水)18時56分 オリコン
藤本真澄賞特別賞を受賞した(左から)押山清高氏、大山良氏 (C)ORICON NewS inc.
押山清高監督は、「アニメーターがこの賞をいただくこともあるのか」としみじみ語り、「原作者の藤本タツキ先生も”藤本”ということで縁を感じています」と藤本真澄賞へのシンパシーを明かした。
また「私たちはクリエイターへの讃歌をテーマに作品を作ったこともあり、作品が成功したときはクリエイター側にもお客さんからの注目を浴びるきっかけになったり、社会的に評価されるようなことが、今後日本の中でも活気づいてくれるといいなと思っています」とクリエイターの地位向上への期待感も語った。
「アニメづくりはどんどん変わっており、僕らみたいな小さいチームでも、58分という短い映画ですが、ミニマムに作品を生み出せる時代になってきています。時代の変化とともに構造が変わっていくのはうれしいです」と声を弾ませた。
大山プロデューサーは「たしかにいろんなことが重なって幸運だったということもありますが、やはり押山監督が監督であり、脚本であり、キャラクターデザインに携わって58分の映像の中の半分以上をアニメーターとして描かれていて、そのクリエイターとしての純度の高さ、まっすぐな熱意みたいなものが、クリエイティブの力が、幸運という言葉で括っていいのかわかりませんが、それに導いてくれた作品だったなと思います」と押山監督への賛辞を送った。
受賞理由について主催は「藤本タツキ原作の世界観である漫画作家たちの友情、葛藤、嫉妬、絶望そして再生復活の物語をアニメーターの線のニュアンスを完成動画に残す『原動画制』という手法を駆使し、見事に表現した。全てのクリエイター達への応援賛歌となった本作は、広く観客に支持され、58分という上映時間、異例の入場料金設定をものともせず、非シリーズアニメながら高い興行成績をおさめた。その功績に対して贈ります。」としている。
「藤本真澄賞」は、故・藤本真澄氏が生涯に渡って269本の映画を製作し、「社長」シリーズ、「若大将」シリーズなどの娯楽性にあふれた映画を製作する一方、成瀬巳喜男監督と組んだ文芸映画など、幅広いジャンルの映画を世に送り出し、永年日本映画の製作に対して多大なる貢献、実績を残した。その藤本氏の業績を記念するとともに、故人の念願であった日本映画産業の向上発展の一助となすべく、毎年、全国の劇場公開用として製作、一般に公開された映画の中で特に観客の多大な支持を受け、優れたエンターテイメント性を持った映画の製作者等を中心に表彰するもの。
■『第44回藤本真澄賞』受賞者
・藤本真澄賞:映画『ラストマイル』
新井順子氏(株式会社TBSスパークル)、野木亜紀子氏(脚本家)、塚原あゆ子氏(株式会社TBSスパークル)
・藤本真澄賞・特別賞:映画『ルックバック』
押山清高氏(ドリアン)、大山良氏(エイベックス・アニメーションレーベルズ)
・藤本真澄賞・奨励賞:映画『侍タイムスリッパー』
安田淳一氏(未来映画社)