「あんぱん」吉田鋼太郎11年ぶり朝ドラ話題!頑固おやじ釜次は「寺内貫太郎」ネット涙“息子の墓石”裏側
2025年4月16日(水)8時15分 スポーツニッポン
◇「あんぱん」朝田釜次役・吉田鋼太郎インタビュー(1)
俳優の吉田鋼太郎(66)がNHK連続テレビ小説「あんぱん」(月〜土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)で11年ぶりの朝ドラ出演。ヒロイン・朝田のぶ(今田美桜)の祖父・朝田釜次役を好演し、頑固おやじぶりや存在感がインターネット上などで早くも反響を呼んでいる。役作りの工夫や苦労など、撮影の舞台裏を聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」シリーズなどのヒット作を生み続ける中園ミホ氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算112作目。国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜いた夫婦を描く。中園氏は2014年度前期「花子とアン」以来2回目の朝ドラ脚本。今田は21年度前期「おかえりモネ」以来2回目の朝ドラ出演、初主演となる。
吉田の朝ドラ出演は、ヒロイン・安東はな(吉高由里子)の親友・葉山蓮子(仲間由紀恵)が嫁ぐ九州の石炭王・嘉納伝助役が話題を集めた「花子とアン」以来。今回演じる釜次は「朝田石材店」の3代目。その道一筋の石工で、手先は器用だが、人への接し方は不器用。職人気質の頑固者も、家族への愛情は人一倍あり“釜じい”と呼ばれている。
台本を読み、主演の小林亜星が石材店の頑固おやじを演じた伝説のホームドラマ「寺内貫太郎一家」(1974年、TBS)をイメージ。「リアルタイムで見ていた大好きなドラマですけど、今回はNHKなので、ちゃぶ台をいちいちひっくり返したり、あそこまで過激にはできないな、と(笑)。釜次は怒る場面も多いので、そのさじ加減ですよね」と“令和仕様”に調整している。
「例えば、気に入らないことがあった時、玄関に置いてある水を柄杓で口に入れて、ガラガラガラと少し下品にうがいをして、ペッと庭先に吐く。僕のアドリブで、それほど過激な芝居じゃないんですけど、OKかどうか、スタッフ陣が話し合ったり、という状況です。台本のト書きにある時は、カッとして思わず立ち上がり、ついでに前にある御膳を蹴飛ばしたり、といった芝居はしています」
ただ「釜次の癇癪や説教は決して理不尽なものじゃなく、筋が一本通っているので、朝田家のみんなも聞く耳を持つんじゃないでしょうか。僕も、単なる頑固おやじにならないようにしたいと思っています」と肝に銘じた。
石工役については「実際に石材店の方にうかがったところ、石の重さは100キロもあるそうです。撮影ではもっと軽いものを使っていますが、釜次と豪(細田佳央太)、2人で100キロの石を運んでいるとなると、それだけでヘトヘトになりますよね。肉体的にハードワークな上に、文字を彫る作業は繊細。墓石には遺族の方々の思いが込められるわけですから、生半可な覚悟ではできない、絶対に世の中に必要な仕事。本当に縁の下の力持ち的な存在だと、撮影を通して実感しました」と解釈。
第4回(4月3日)、朝田結太郎(加瀬亮)が海外出張の帰り、船上で急逝。第5回(4月4日)、釜次は墓石に愛息の名前を彫り「息子の墓石を彫ることになるらあて…」——。視聴者の涙を誘った。
「台本を読み進めるうちに、自分が彫ることになるんだろうなと思っていました。一番最初に撮ったのも結太郎の葬列のシーンだったんですけど、釜次が本当に悲しんでいるんだと、視聴者の皆さんに実感していただける演技をしないとダメですよね。そのためには、例えば涙を流さなくてもよくて、それよりは、その悲しみに至るまでのストーリーの中に釜次としてどう一本筋を通して存在できているか、の方が大事。そこをいつも心掛けています。その上で、釜次は悲しんでいると誰もが分かる、予想がつくシーンで、いかに新鮮に演じられるか。毎回、難しさと闘っています」
=インタビュー(2)に続く=