寺島しのぶ明かす「歌舞伎の家の娘」に生まれて...「寂しいなって」長男子育てで分かった母親の愛情

2025年4月16日(水)7時15分 スポーツニッポン

【インタビュー】女優の寺島しのぶ(52)が舞台「リンス・リピート−そして、再び繰り返す−」(東京・紀伊国屋サザンシアター=4月17日〜5月6日、京都・京都劇場=5月10日、11日)に出演する。大学生の娘の摂食障害をきっかけに浮き彫りとなったいびつな家族関係を描いた作品。寺島はスポニチアネックスの取材に応じ、自身の母親で女優の富司純子(79)との関係を今作と照らし合わせて語った。(望月 清香)

 「ざっくり言えば家族の話。自分と母との関係を思い浮かべながらジョーンを演じます」

 演じるのは、移民から弁護士としてキャリアを築き、仕事も家庭も完璧な女性・ジョーン。摂食障害に苦しむ愛娘に、それを乗り越えてほしいと強く願うあまりすれ違っていく。

 「歌舞伎の家の娘」として生まれた寺島。父親は歌舞伎俳優で人間国宝の七代目尾上菊五郎。弟が今年5、6月に八代目尾上菊五郎襲名披露を控える五代目尾上菊之助。母親の富司は5歳年下の弟を一人前の歌舞伎役者に育て上げるため、稽古に付きっ切りだったという。

 「寂しいなって思っていました」。寺島は当時、母親の愛情への渇望を胸に秘め、誰もいない自宅でテレビを見て家族の帰りを待ちながら「“なんで弟にだけそんなに時間を費やすのだろう”と思っていた」と明かす。

 そんな寺島も現在は長男で歌舞伎俳優の尾上眞秀の子育て真っ最中。「母はきっと弟と同じように私に愛情をかけていてくれたけど、物理的に私に時間を費やせなかったんだなって、今になって分かるようになりました」

 眞秀の稽古に付き添う中で、思い出したのはかつての母の姿。「歌舞伎役者のお稽古はやらなきゃいけないことがたくさんあるんです。私が今、眞秀の稽古で忙しく奔走しているので、当時の母の忙しさは想像できます。母は私にも弟と同じように愛を注いでくれいてたのだと今は思えます」

 今作で描かれるのは母娘の気持ちのすれ違い。眞秀とは母と息子、富司とは母娘の関係を経験。「女同士だからこそ言える特別な関係性があると思います。娘が自分の分身のように思えてしまうんでしょうね。母は強い人なので無意識に結構グサグサ突き刺すような言葉を言ってくることがあります。そこはジョーンと似ているかもしれないです。まあ、ジョーンほどえげつなくはないですけどね。娘に対しては愛あるゆえの残酷な言葉を発してしまうこともある気がするんです」

 寺島にとって母・富司はどんな存在なのか。「やはり大きくて、いまだに絶対的な存在です。眞秀が歌舞伎の世界で生きていくために、母親が心掛けていなきゃいけないことを私が恥をかかないように教えてくれます。たくさん助けられているし、もらってばかりのような気がします」

 長い年月をかけて築いてきた母娘の愛情。言葉からその深さがうかがえた。

スポーツニッポン

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