米ダルトン社 フジに宣戦布告へ 20年前の「ライブドア騒動」の救世主を今度は“敵”として送り込む

2025年4月16日(水)4時10分 スポーツニッポン

 フジテレビの問題を巡り“物言う株主”たちが動き始めた。旧村上ファンドを率いた村上世彰氏の長女・野村絢氏や堀江貴文氏ら2005年のライブドア騒動で注目を集めた名前の数々が再浮上。そんな中で米投資会社ダルトン・インベストメンツが経営陣の刷新を求め、6月のフジ・メディア・ホールディングス(HD)の定時株主総会で提案する取締役候補があす17日に会見する方向で準備している。フジの存亡を懸け、第2ラウンドのゴングが打ち鳴らされる。

 中居正広氏(52)の性暴力から始まった今回の騒動。フジは先月、役員体制を刷新したことを報告し、同月末には第三者委員会の調査結果を伝えた。ただダルトンはフジの清水賢治社長ら旧体制から引き続き5人の取締役が留任していることを強く批判し、さらなる経営陣の刷新が必要だと訴えている。

 そこで新たな取締役として提案するのが金融大手SBIホールディングス代表取締役会長兼社長の北尾吉孝氏で17日にも会見の方向だ。05年ライブドア堀江社長(当時)らがフジの大株主だったニッポン放送を買収しようとした際にフジを救ったホワイトナイト(友好的投資家)。だが第三者委の調査結果について「あの時ホワイトナイトをやるべきではなかった」と厳しい見解を示している。

 20年前は堀江氏と敵対関係だったが、今回はフジの経営体制を批判し、堀江氏に秋波を送る。堀江氏らが創業したロケットベンチャー企業に出資したこともあり、SNSでは「堀江さんが経営していたら、メディアとネットの完全融合がなされ、進化した高収益会社になっていたと確信する」とその手腕を高く評価。一方で関係者が「北尾さんはフジを助けたにもかかわらず、その時に“恩返し”がなかったことに憤りを感じている。その感情が今回の行動の源泉になっているかもしれない」と指摘するなど因縁は深い。

 ダルトンは今回の株主提案を可決させるため、他の株主の委任状を集める多数派工作「プロキシーファイト」に持ち込むとみられる。現在フジの筆頭株主は個人で約9%の株を保有する野村絢氏。村上氏が率いる投資会社を含めると約11・8%となる。一方、北尾氏側でSBI傘下の投資会社レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長は5%以上の株を保有し、存在感を強めている。

 ただ、これら大株主の株を合わせても過半数には届かない。鍵を握るのはそれ以外の小口の個人投資家たち。そこに大きな影響力を持つとみられるのが堀江氏だ。金融関係者は「堀江氏自身の株保有率は多くないが発信力は大きい。その発言が投資家に影響するかもしれない」と指摘。「他の株主にはない放送事業に対するビジョンを持っていることも強く関係しそうだ」(同関係者)という。

 20年前のメンバーが立ち位置を変えて繰り広げる仁義なき戦い。だがフジの“絶対権力者”として堀江氏らの前に立ちはだかった日枝久氏はもういない。すでにフジ・メディアHDの金光修社長らは水面下で投資家たちへの根回しを行っている。莫大(ばくだい)な資産と放送事業を“物言う株主”から守り抜けるのか。第2ラウンドも目が離せない。

 ◇プロキシーファイト 会社の経営方針などに不満を持つ株主が株主総会で経営陣の刷新などを求める株主提案を可決するために仕掛ける議決権の委任状争奪戦。日本の場合、総株主の議決権の1%以上、もしくは300個以上の議決権を6カ月以上前から継続保有していれば、総会で株主提案できる。今回ではダルトンがそれに当たる。複数株主の議決権の合算がこの条件を満たせば、共同提案もできる。ダルトンはフジ・メディアHDの大株主だが、議決権の過半数を得るには他の大株主の同意や委任状の獲得が必要。今後、株の買い増しも考えられるが、日本の放送法は外国人や外資系企業の議決権の合計が20%以上の場合、放送持ち株会社の認定を取り消すと定めており、限界がある。

スポーツニッポン

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