亀井静香氏「米中露のよこしま要求受けながら国益守る覚悟」

4月17日(月)7時0分 NEWSポストセブン

安倍首相の「兄貴分」を自任する亀井氏

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 ドナルド・トランプ米大統領との親密さを内外にアピールした安倍外交は、賛否両論だ。片やこれで日米同盟は担保されたと手放しで称え、片やあれではアメリカの言いなり、つまりは“ポチ外交”だ、と批判する。


 さて、安倍晋三首相の理解者でありながら、日本の従米外交には厳しい亀井静香代議士は、どう見るか。


 * * *

 アメリカが日本の軍事基地を好き放題に使っているのは事実だ。沖縄だけでなく、東京都のど真ん中にも横田基地があり、他にも厚木など首都圏は基地だらけだ。しかも米兵に対する司法権は地位協定で極端に認められていない。日米関係はきわめて片務的で日本はアメリカの従属国のようだ。


 今はミサイル防衛の時代だ。昔のように「ヤアヤア我こそは」という「人対人」の戦いではなく、対北防衛網さえ築けばいくつかの米軍基地は不要になる。米軍基地の縮小や地位協定改定も含め、この先は新時代に即した日米協力体制を築くべきだ。


 カウボーイの国であるアメリカには与しやすい面もある。今はトランプ大統領という、狙撃の下手なカウボーイが拳銃をグルグル振り回して周囲を脅しているが、日本は拳銃の動きに惑わされず、逆にピストルを喉元に突きつければいい。その意味でも晋三総理が最初に友好的な場面を演出したのはいいことだ。忠犬ほど相手の懐に近づける。


 つまりは首元に噛みつける位置にいるのだから、今後、アメリカが無茶な要求を出したら躊躇せず噛みつく姿勢を見せればいい。ただ俺が心配なのは、晋三総理の取り巻き連中だよ。


 日米首脳会談後、トランプ大統領が「在日米軍を受けいれる日本に感謝する」と述べた後、自民党重鎮が「大統領選挙中の言葉からは考えられない。互いに良い関係ができた」とキャッキャッと喜ぶのを見て、言葉は悪いがバカじゃないかと思った。


 与党の人間ならあの時、「感謝はありがたいが、在日米軍を受け入れているから沖縄はじめ基地問題がある。これを協議しようや」と直ちに言うべきだった。占領以来、属国的な扱いを受けているのに、ほんの少し感謝されると無邪気に喜ぶのは、今の保守の“アメリカさんにおんぶに抱っこ”という姿勢の表れだよ。


 晋三総理の外交ブレーンと言われる今井尚哉・首相政策秘書官にも不満がある。経産省出身の今井氏は安全保障のためには経済関係を深めるべきという考えだが、経済だけで国と国との関係はうまくいかない。


 昨年12月のプーチン来日が好例だ。ロシアのプーチン大統領に3000億円の経済協力という土産を持たせたが、首脳会談後の共同記者会見では北方領土の「ホ」の字もなかった。交渉は完全に失敗だった。


 日本とロシアには北方領土やシベリア抑留など負の遺産がある。そこに触れず、商売だけでやろうとしても成果はない。国と国との交渉では民族の魂や建国の精神を忘れてはダメなんだ。


 アメリカとの関係も同じことで、占領の延長線上にある既得権をすべて返してもらって初めて対等の関係になる。


 今後、経済面でも安全保障面でも要求を強めてくるトランプ大統領とは断固戦わないといけない。だが立場上、晋三総理にはノーと言いにくい場面も出てくるはずだ。だから俺が呼びかけ人になり、今年2月に超党派の議員連盟「防波堤の会」を発足させた。


 今後アメリカだけじゃなく中国やロシアのよこしまな要求に対し、日本の乱暴な国会議員が“防波堤”になって、「しっかりしろ」「下がるな」と総理の背中を押すつもりだ。これには晋三総理も「いやあ、ありがとうございます」と喜んでいたよ。


 俺は、彼がめげそうになったら、防波堤議連で「日本の政治は総理一人で決めるのではない」と訴えて矢面に立ち、荒波を受けながらも国益を死守する覚悟だ。それこそ亀井静香にふさわしい役割じゃないか。俺は嫌われ者で憎まれ者だからな(笑)。


●かめい・しずか/1936年広島県生まれ。東京大学経済学部卒業後。1962年、警察庁に入庁。1977年に退官。1979年、衆議院議員選挙に自民党から立候補し初当選。運輸大臣、建設大臣を歴任。2005年には自民党を離党し、国民新党を結党。2009年、国務大臣金融・郵政改革担当に就任するも、2010年6月に辞任。現在、無所属。


取材・構成■池田道大


※SAPIO2017年5月号

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