山口百恵や南野陽子の音楽Pが語る「売れるアイドル」の条件

4月17日(水)7時0分 NEWSポストセブン

音楽プロデューサーの吉田格氏(左)と川瀬泰雄氏(右)

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 1970年代を駆け抜けた伝説の歌姫・山口百恵と、“ナンノ”の愛称で今も一線で活躍する南野陽子。ともにトップアイドルとして一時代を築いたが、成功の秘訣はどこにあったのか。彼女たちの数あるヒット曲を手掛けた音楽プロデューサーの川瀬泰雄氏(元ホリプロ)と吉田格氏(元CBS・ソニー)に、制作の舞台裏と「売れるアイドル」の条件を聞いた。


◆ライバル陣営と同じ作家は使わない


──川瀬さんと吉田さんはロックバンドやシンガーソングライターも担当されていますが、アイドルをプロデュースする醍醐味はどこにありますか。


川瀬:自分たちで作詞作曲をする人たちは世界観がある程度できあがっているので、プロデューサーが関与できる部分が限られるんです。でもアイドルの場合は一から企画を立てられる面白さがある。それがヒットしたら、なお嬉しいですよね。


吉田:アイドルのほうがいろんな作家をセグメントして、自分のイメージに合う作品を作ることができるんです。僕は少女のライフスタイルを歌にすれば、アイドルでもシンガーソングライターっぽい世界観を作れると思っていたので、兵庫県出身の南野さんに関しては、阪急電車で通学していて、週末は三宮やポートアイランドに友達と遊びに行く。そういう女の子のリアルな日常を描こうとしていました。


──百恵さんも、南野さんも、それまで歌謡曲とは縁がなかったシンガーソングライター系の作家が多く起用されています。


川瀬:僕自身が学生時代にバンドを組んでいたし、ホリプロ入社後は井上陽水やモップスを担当していたので、ニューミュージック系の人脈がありました。百恵のプロジェクトは、レコード会社側のプロデューサーである酒井政利さんと「ファンをどう裏切っていくか」をテーマにしていたので、常に新しい作家を探していたわけです。


『横須賀ストーリー』(1976年)以降、メインライターになった宇崎竜童さん・阿木燿子さんも、最初はアルバム用に書いてもらったことがきっかけでした。本当は中島みゆきさんにもお願いしたかったんだけど、桜田淳子さんに先を越されてしまって。


──ライバル陣営と同じ作家は使わない方針だったと。


吉田:作り手のプライドですね。僕が担当した原田知世さんには角川の先輩である薬師丸ひろ子さんが、南野さんには同じ『スケバン刑事』出身の斉藤由貴さんがいたので、彼女たちに書いている作家は絶対に起用しなかった。ライバルとは違うものを作りたかったですから。


──ずばり、売れるための条件とは。


吉田:才能と運、あとはハングリー精神とプロ意識じゃないでしょうか。僕が郷ひろみさんを担当した時、彼は「あなたが金のまな板を作ってくれたら、僕は金の鯉になる」という名言を吐きましたけど、南野さんや知世さんも、こちらが作り上げた世界にしっかりと入り込んで、エンタテインメントにしてくれました。


川瀬:アイドルの場合、最初から完璧すぎると拒否反応が出て、売れないというのもありますね。あとは時代との巡り合わせかな。


【プロフィール】

◆かわせ・やすお/1947年生まれ。1969年ホリプロ入社。和田アキ子、井上陽水、山口百恵、堀ちえみなど、現在までに約1600曲をプロデュース。新著『ビートルズ全213曲のカバー・ベスト10』発売中。


◆よしだ・ただし/1953年生まれ。1976年CBS・ソニー入社。1978年より邦楽ディレクターとしてSHOGUN、原田知世、南野陽子、郷ひろみ、知念里奈など50組以上の楽曲制作を担当。現在は音楽制作会社の代表。


【取材・構成】濱口英樹


※週刊ポスト2019年4月26日号

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