大株主ダルトン社が提案 フジ新取締役候補にSTARTO社・福田淳社長 人選に驚きの声上がる
2025年4月17日(木)4時45分 スポーツニッポン
フジテレビの問題を巡って、米投資ファンドのダルトン・インベストメンツは16日、同局の親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)に12人の社外取締役の選任を求める株主提案を送付したと発表した。候補の一人は、旧ジャニーズ事務所の業務を引き継いだ「STARTO ENTERTAINMENT」の福田淳社長。フジの問題は元ジャニーズの中居正広氏のトラブルで拡大しただけに、その人選に驚きの声が上がっている。
ダルトンは関連ファンドも含めフジHDの7・2%の株式を握る大株主。福田氏の候補入りについて、フジ・メディアHDの金光修社長に宛てた株主提案書で「柔軟な思考力と行動力で事業を立て直す力を有しており、メディア事業にも精通しているため」などと説明した。
福田氏は大手映画会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメントのバイスプレジデントなどを経て、2017年にコンサルティング会社のスピーディ社を設立。23年、故ジャニー喜多川氏の性加害問題を受け旧ジャニーズ事務所のマネジメント業務を引き継いだSTARTO社の社長に就任した。これまで20業種以上の新規事業を立ち上げた“連続起業家”で、その全てを黒字化。スピーディ社では女優のん(31)のエージェントを担い、表舞台への返り咲きを実現させている。
動画配信サービスに押される地上波テレビ局に関し、かねて改革案を口にしていた。今年初めに公開されたネット上の対談番組では「チャンネルのブランドがユーザーにとってまったく意味がなくなったことに(テレビ局は)気付いていない。なぜ地上波はYouTubeでサイマル(同時配信)をやらないのか不思議」などと主張していた。
手腕は各業界で評価されているが、今回の人選には驚きと疑問の声も上がる。旧ジャニーズ事務所の問題に関連して指摘されたのが、芸能事務所とメディアの癒着だった。提案書で「STARTO社とフジテレビは取引関係にあるが、2024年度の取引額はフジテレビの売上高の1%未満」と説明しているが、フジではない民放幹部は「あれだけ非難されたのに、芸能事務所のトップを起用しようとするとは。すっとんきょうな提案で、現実的ではない」と驚く。
旧ジャニーズ事務所の問題が発覚後も、フジはSTARTO社の所属タレントの起用を続けてきた。在京民放局員は「フジの現体制の敵側に加担するような形だ。旧ジャニーズの問題で迷惑をかけた側の人間が、反旗を翻すようなもの。中居氏だって、元々はジャニーズ。STARTO社の社長を辞めないと(フジの取締役は)できないのでは?」と首をかしげた。
フジHDの株主総会は6月下旬に開催予定。福田氏を含めたダルトンの取締役案が承認されれば、フジテレビは大きく変わることになる。