映画「花まんま」鈴木亮平、有村架純主演 大阪を舞台に泣けるファンタジー
2025年4月17日(木)11時10分 スポーツニッポン
【映画コラム・CINEMA INFINITY】「花まんま」(4月25日公開)
ドラマの冒頭、懐かしい近鉄バファローズの三色帽子をかぶった少年が出てきます。それだけで舞台は大阪の下町であることがわかります。それも東大阪ですね。そこで暮らす加藤俊樹(鈴木亮平)とフミ子(有村架純)の兄妹。俊樹は、死んだ父と交わした約束「どんなことがあっても妹を守る」を胸に、兄として妹のフミ子を守り続けてきた。その妹の結婚が決まり、親代わりの兄としてはうれしいような、寂しいような。自分とはタイプの全く違う結婚相手の太郎(鈴鹿央士)のことも渋々認めて、あとは式を待つだけだったのだが…。
下町のお好み焼き屋のシーン、鉄工所と、そこの人情社長、大きな声で騒ぐお兄ちゃんなどなど、前半はベタベタな大阪テイスト。節目節目で笑いを入れたりしてね。ああ、ステレオタイプの大阪もの、「じゃりン子チエ」ワールドでっか?と見ていたが、物語の途中、妹のフミ子が抱えている秘密が明らかになっていくあたりからドラマは大きく動いていく。
ラストは結婚式のシーン。お兄ちゃんの熱いスピーチがドラマのハイライトです。それまでも、いくら亡くなった親との約束とはいえ、妹を思う気持ちが強すぎて、少々引いてしまいましたが、このスピーチも激熱です。なんでも鈴木亮平のアドリブだとか。それはそれですごいわ。全編通して漂うほろ苦くて温かいファンタジー感。心地良いです。細かいことは気にしないで、ただただその世界に酔いしれてください。出演者の多くが関西出身なので、違和感なく会話が聞けるのもありがたい。
4月25日からT・ジョイ梅田、大阪ステーションシティシネマ他で公開。(樋口 徹)