RISE女王・小林愛三、両親の言葉でトラウマ払拭 “ダイナマイト”爆発の鍵はOFG戦か

4月18日(日)8時57分 ABEMA TIMES

(「正規王者としてベルトを巻けたのが嬉しい」と小林)

 RISE QUEENフライ級暫定王者の小林愛三にとって、今回の試合は1つのミスも許されないものだった。

 4月17日の後楽園ホール大会、そのメインイベント。小林が対戦したのは田渕涼香だ。昨年12月、代打としてRISE初参戦の田渕に、小林はダウンを奪われ敗戦。団体史上に残る番狂わせと言ってよかった。しかもこの時、田渕はまだプロ3戦目だった。

 今回はベルトをかけてのリマッチ。連敗は絶対にできない。小林は「これで負けたらどうなるんだろうって、考えるだけで怖かったです」と試合前の心境を振り返った。

 田渕の武器は、前回の試合でチャンピオンをダウンさせたシャープな右ストレート。小林は前進したところで食らってしまった。今回はそのミスをしないことが最優先。タイトルマッチは5ラウンドの長丁場でもあり、細心の注意が必要だった。

 気合いもろとも前に出る得意のスタイルではなく、繊細に距離をコントロールする小林。序盤はロー、途中からはミドルキックも決まった。パンチを打つ時は一気に距離を詰め、そこから組みついてヒザ。相手に打ち返す隙を与えなかった。その上で最終ラウンドは真っ向から“ケンカ”をする場面も。それでもリスクは最小限に抑える。小林が判定勝ちを収めるとともにベルトを守り、晴れて正規王者となった。

 内容だけを見れば、チャンピオンらしい試合ではなかった。ポイントでわずかに上回ればいいという闘い方であり、メインイベントとして見る者を満足させる試合にもなっていない。意地悪な表現をすれば、ただ勝っただけだ。

 しかしとにかく、この日の小林愛三には「ただ勝つこと」が必要だった。その他のことは申し訳ないが次戦以降、といったところ。田渕にリベンジし、正規王者にならなければ何も始まらない。そのために、練習してきた作戦を徹底した。

「熱く踏み込むけど突っ込みすぎない。冷静でした。初めてです。初めてです。今まで冷静という言葉が自分に一番なかった。それをやろうとも思ってなかったので。落ち着くってこういうことなんだなって」

 初めてです...と繰り返したところに実感がこもる。メンタル面は「人生の課題」だとも。試合後のマイクは客席北側の応援団のほうを向いていた。会場正面の南側には背中を向けっぱなし。それくらい感情が昂っていた。余裕がなかった。

 試合前も試合後もいっぱいいっぱい。それでも試合中だけは冷静だったというのがチャンピオンの非凡さか。支えになったのはセコンドやジムの仲間たち、それに両親からもらった言葉だった。

「熱い気持ち、冷静な頭、感謝の心」は父から。母親には「女は度胸」と教えられた。そこから得たのは、勝つための闘いを貫く勇気、あるいは我慢だ。焦って隙を作ったり攻防が粗くなることがなかったのは、彼女にとって大きな成長だろう。

「エネルギーの塊みたいな存在になりたいです。“愛三を見てるとパワーをもらえるな”という。そうなっていくところを見てほしい」

 まだまだ発展途上。大事な試合で“ダイナマイト・ガール”のキャッチフレーズを体現できなかった。だが本人も爆発する機会を求めている。インタビュースペースで「オープンフィンガーグローブで試合をしてみたいという気持ちもあって、密かに心の中で燃えてます」というコメントもあった。5月15日の大田区総合体育館大会で、オープンフィンガーグローブ着用の実験マッチが行なわれることを意識しての発言だ。薄いグローブで闘えば、またメンタルが揺さぶられるかもしれない。

「オープンフィンガーグローブは“血祭りにしてやる”みたいなイメージがありますよね。落ち着いていられるかな...」

 だがもしかすると、これまでとは違う状況、危機感がダイナマイトの導火線に火をつけるかもしれない。「小林愛三はこんなもんじゃないはず」とは伊藤隆代表の言葉だ。一方、敗れた田渕の懸命な闘いぶりも印象に残った。

「前回とは闘い方を変えてきた小林選手に対応できなかった。向こうのほうが賢かったと思います」

 潔く敗北を認めたが、左右の構えを切り替えながら放つ攻撃の的確さはかなりのもの。決して完敗ではなかった。RISEでは小林と2戦、もう1戦はミニフライ級女王の寺山日葵と。ここでの連敗はキャリアの傷にはならないし、女子トップファイター候補なのも変わらない。

 この日の大会で平岡琴を下した小林愛理奈とともに、田渕の存在はRISE女子の層の厚さを示すもの。秋には、これまでとは違う形での女子大会もプランされているという。愛三も田渕も愛理奈も、そこに欠かせない選手たちだ。

文/橋本宗洋

【映像】壮絶リマッチの様子

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