Netflix映画『新幹線大爆破』に見る『シン・ゴジラ』の系譜 「テロップ演出」×「○○作戦」×「職業人」
2025年4月20日(日)12時0分 オリコン
メイキング写真=Netflix映画『新幹線大爆破』4月23日世界独占配信
本作は、1970年代の名作『新幹線大爆破』を原案に、同映画の大ファンである樋口監督が“現代版リブート”として完全再構築。最新のVFXと得意の特撮、JR東日本の特別協力による実際の新幹線車両や施設を使用した撮影、そして、『日本沈没』でも樋口監督とタッグを組んだ主演の草なぎ剛をはじめとするキャスト陣による緻密な人間ドラマが融合した、新たな傑作の誕生に期待が高まっている。
物語の舞台は、東京へ向けて疾走する「5060B(はやぶさ60号)」。走行中の車内に爆弾が仕掛けられ、「減速すれば即、爆発」という過酷な条件の中、乗客を守るため奮闘する車掌・高市(草なぎ)、運転士・松本(のん)、総合指令所の責任者・笠置(斎藤工)らの姿が、リアルな緊迫感とともに描かれる。
『日本沈没』『ローレライ』『のぼうの城』『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』など、数々の話題作を手がけてきた樋口監督の集大成とも言える本作は、これまでの特撮・大作映画で培ってきた演出力や緻密なドラマ作りが存分に発揮された一作。まさに「これぞ樋口真嗣!」と言いたくなるような演出やこだわりが随所にちりばめられている。
■圧巻の“テロップ演出”が没入感を倍増
本作においてまず注目すべきは、樋口監督の“代名詞”とも言える「テロップ演出」。人名や役職、地名、時間経過など、膨大な情報を整理しつつ、的確に伝える重要な役割を担っており、映像のテンポを損なわずにストーリーを展開させるその手法は、『シン・ゴジラ』で多くの視聴者を惹き込んだ名演出でもある。フォントや配置にもこだわりが感じられる。
たとえば、新青森から東京へ向かう「5060B(はやぶさ60号)」の現在地や駅名、指令所の名前などを表示することで、視聴者に「今、どこで、何が起きているのか」を直感的に伝える。情報過多ギリギリの濃密な構成が、まるで本当にその場にいるかのような臨場感を生み出している。
■今回も登場!胸を熱くする「○○作戦」が炸裂
樋口作品の名物とも言える「○○作戦」。本作でも、視聴者の想像を超えるユニークで大胆かつリアルな作戦が次々と実行される。
新幹線に爆弾が仕掛けられ、止まることも減速することも許されない状況が起きたらどうなるのか?どうするのか?——脚本段階からJR東日本の協力、アドバイスを受けた。その徹底的なリサーチがリアリティを支え、観る者を圧倒する“本当に起きそうな非現実”が描かれる。
作戦立案の現場となるのは、笠置が最高責任者を務める新幹線総合指令所。はやぶさ60号の車掌である高市や運転士・松本と連携をとりながら、どのような作戦が実行されるのか?
■魅力は“ヒーロー”ではなく、“職業人”のリアルな姿
本作のもう一つの大きな魅力は、登場人物たちの“プロフェッショナル”な姿。樋口監督が携わった作品ではこれまでも、政府関係者や自衛隊員、研究者、技術者など、さまざまなプロフェッショナルが登場し、その勤勉な職業人が活躍するシーンが、多くの感動と勇気を与えてきた。
本作では、未曾有の危機に立ち向かうべく、それぞれの場所で責任感と使命感を持って奮闘する鉄道人の姿が描かれる。とくに樋口節を十二分に感じられるのが、保線担当・新庄(田中要次)率いる保線員たちの作業風景。樋口監督が描く、自らの職務に誇りを持って働く“等身大の人間たち”にも注目だ。