男性もハマる異色作 劇団四季『ノートルダムの鐘』の舞台裏

4月21日(土)7時0分 NEWSポストセブン

「ノートルダムの鐘」の1シーン(撮影:山崎力夫(C)Disney)

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 激しく感情を揺さぶられ、魂を奪われる──。4月8日から神奈川・横浜のKAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉で上演されている『ノートルダムの鐘』(劇団四季公演)。文豪ヴィクトル・ユゴーの同名作品を原作とした重厚な人間ドラマだ。本誌・週刊ポストはそんな作品の舞台裏に密着した。


 3月29日に訪れたのは劇団の稽古場。開幕目前のこの日、舞台セットも一部取り入れて、通しで稽古が行なわれた。


 とはいえ、運び込まれたのは木枠や長椅子。一見しただけではどんな空間か想像がつかないほど簡素だが、俳優が演じはじめると、不思議と背後に大聖堂の鐘楼やパリの街の喧騒が感じられる。


 独自の発声メソッドを持つ四季の舞台は台詞の明瞭さに定評があるが、それは稽古から徹底している。本番さながらの力強さで俳優たちは台詞を発していた。


 開幕前日には公開舞台稽古が劇場で行なわれた。舞台空間をフルに使って組まれた壮大なセットは一瞬にして観客を中世のパリへ引き込み、俳優は汗を滴らせて熱演した。


 支配階級の宗教者、社会で不当な扱いを受けているジプシー、周囲から醜いと蔑まれる者がそれぞれの宿命を背負ってもがき苦しみ、葛藤する物語。ディズニーと組んだ従来の作品とは一線を画すが、劇団四季代表取締役社長の吉田智誉樹氏は、「米国で舞台を観て、なんとしても日本で上演したいと思った」と語る。


「異色の『ノートルダムの鐘』はこれまでの作品のファンには受け入れられないのではないかという指摘もあった中で、なんとか上演にこぎつけました。


 日本の初演は2016年末ですが、不寛容や内向きの孤立主義が社会で叫ばれる時代だからこそ、この作品を届ける意味も増した。演劇を通じ、この時代に対する強烈なアンチテーゼのメッセージを投げかけています」(吉田氏)


 主人公・カジモドと心の絆を結ぶヒロイン・エスメラルダ役を演じる岡村美南はこう話す。


「エスメラルダは地位や外見に惑わされず、真実を見抜ける精神性や道徳性があるからこそ人を惹きつける。演出家から繰り返し言われた『彼女はヒーローじゃない』という言葉が、演じるたびに腑に落ちます」


 作品で描かれる人間や社会の光と闇。他者とどう向き合うべきか、考えさせられる名作だ。


●取材・文/渡部美也


※週刊ポスト2018年4月27日号

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