藤井聡太王将 試行錯誤の1年も「経験としてはとても良いもの得られた」 将棋大賞表彰式
第52回将棋大賞の表彰式が21日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、5年連続5度目の最優秀棋士賞に輝いた藤井聡太王将(22)=7冠=らが出席した。
藤井は昨年度、8冠から7冠に後退したものの、他の7タイトルを危なげなく防衛。5年連続の最優秀棋士賞受賞は羽生善治・現九段が第35〜39回(07〜11年度)に獲得して以来の快挙だった。
藤井との一問一答は以下の通り。
——最優秀棋士賞5年連続受賞について。
藤井 とても光栄に思っています。昨年度を振り返ると、試行錯誤の一年だったかなという印象で、成績としては今までと比べてすごく良かったという事ではなかったのですけれど、経験としてはとても良いものを得られたのかなと感じています。それを今年度以降更に活かしていければと思っています。
——勝率が初めて8割を切ったことについては。
藤井 出来不出来の差が大きかった。敗れた対局は完敗というような内容のものも多かったので、そのあたりは課題が残ったというところも少なくからずあったと受け止めています。勝率を上げるという意味では全体的な内容を底上げして、一方的な展開にならないという事が必要かなと。今年度、そのあたりも意識していければ。
——名局賞と特別名局賞を両方受賞された。
藤井 まず名局賞、叡王戦の第5局ですね。私自身敗れてしまった将棋ですが、かなりこちらが激しく攻めていくという展開で、伊藤叡王に際どいところで何というかバランスを取られ、判断の難しい局面が続いていたのかなと。終盤戦になってからも結構際どい局面が多く、伊藤叡王のほうがその中で正確に見切ったという感じ。中終盤の力っていうのを、強く感じた一局だったかなと思っています。
特別賞はNHK杯の準決勝で、増田八段との一局ですね。こちらの王が中盤に盛り出してから終盤戦が長い将棋で、局面としては負けと言えるような状況は少なくからずあったんですけれど、互いの王が接近するような展開にもなって、実戦では珍しい手筋というのもありましたし、そのあたりも含めてスリリングな展開を見ていただいた方に楽しんでいただけたのかなと、あの受け止めています。
——自身で去年一年間の名局賞を選ぶとしたら?
藤井 その質問は想定していませんでした(苦笑い)。そうですね、王座戦の第1局。3三金型の角換わりを採用して、その後も経験のない展開が続き、かつその形勢も難解な局面が続いたという点で面白いというか、考え甲斐のある対局でした。
——自分が負けた対局が名局賞になるのは悔しい?
藤井 いやいや別に。むしろ救われると言ったら変ですけど、内容として、その結果には関わらず、内容として評価していただけるっていうのは普通にうれしいことかなと思います。