山口祐一郎さんが『徹子の部屋』に22年ぶりに出演、来年70歳を迎える心境とは。三浦宏規さんと語った舞台へかける情熱「僕の人生そのものが舞台の上にしかない」

2025年4月23日(水)11時0分 婦人公論.jp


三浦宏規さん(左)と山口祐一郎さん(右)(撮影:木村直軌)

2025年4月23日放送の『徹子の部屋』に山口祐一郎さんが22年ぶりに登場。来年70歳を迎える山口さんは、自身の考え方をアップデートするべく、10年かけて中央大学法学部の通信教育課程で学び、2023年に卒業したといいます。長年にわたりミュージカル界を牽引する山口さんが、三浦宏規さんと舞台『キングダム』で共演した際のインタビュー記事(『婦人公論』2023年1月号掲載)を再配信します。
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堂々たる風格と佇まいはまさに「帝王」、日本のミュージカル界を牽引してきた山口祐一郎さん。そして、バレエ出身ならではの美しいダンスと甘い歌声で、今、引っ張りだこの新星、三浦宏規さん。帝国劇場の舞台で、その二人がタッグを組む。舞台へかける情熱は——(撮影=木村直軌 構成=上田恵子)

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<前編よりつづく>

リニューアルした帝劇で、また一緒にやりたい


三浦 王騎将軍は、天下の大将軍を目指すやんちゃな信を「童信(わらべしん)」と呼び、言動を面白がっています。そして戦いの最後、自身の愛馬に同乗する信に「これが将軍の見る景色です」と教え、「素質はありますよ、信」と、自身の大切な武器である矛を託して世を去ります。

山口 たぶん王騎も、以前は信だったんですよね。戦乱の世にあって、同じ空間、同じ時間で自分と同じものを持つ人間=信と出逢えた喜び。それは僕が、『ヘアスプレー』で宏規さんと出逢った時と同様なのだと思います。「あっ、いた!」という、とても幸せな気持ち。なので今は、その感覚がこのお芝居全体に良い形で影響したらいいなと思っています。

三浦 本当に嬉しい言葉をありがとうございます。精一杯頑張ります。ところで、この『キングダム』が上演されるのは帝国劇場ですが、実は僕が初めて祐さんにお会いしたのは帝劇のエレベーターなんです。

2019年に『レ・ミゼラブル』に出演していた際、舞台袖にあるエレベーター前で、稽古場に来られた祐さんに遭遇して。「おはようございます!」とご挨拶させていただいたら、エレベーターの扉が閉まる寸前に「頑張って。応援してる!」と言ってくださったんです。

もう大感激で、その日はものすごく頑張れましたし、宙に浮いたままお芝居をした記憶があります。その時演じていたのはマリウスだったので、ぴったりだったんですけど(笑)。忘れられない帝劇の思い出です。

山口 僕が帝劇の思い出を語るには、お客様や共演者の皆さんと一緒に山荘に3泊4日こもらないと難しいかな(笑)。ただ、110年を超える歴史を持つ劇場が2025年をもって一度クローズし、新しく生まれ変わる。今は「新しい帝劇ができるんだったら、ぜひその劇場を覗いてみたい」という気持ちでいます。

宏規さんと喋っている時、宏規さんはいつも未来の話をしますよね? 一方の僕は過去の話をする。そんななか「リニューアルした帝劇で、また一緒にやりたいね」と話せることが嬉しいです。

三浦 祐さんにそんなふうに言っていただけるなんて、本当に夢のようです。リニューアルした帝国劇場でご一緒できるように頑張ります!

僕が初めて帝劇に足を踏み入れたのは17年。一観客として『レ・ミゼラブル』を観たのですが、あまりの感動に魂が震えて、涙が止まらなかったんです。それで「絶対に受からないだろうけどオーディションを受けてみよう」と挑戦し、今があります。

僕が味わった感動を今度は僕が与える側になるわけですから、あの時の思いを忘れず気を引き締めて臨もうと思っています。

山口 いいですね。帝劇が建て替えられて、新しくなった劇場のこけら落としに一体どの作品がリストアップされるんだろう、そこに登場するのは誰なんだろう。そんなことを考えながら待つのも楽しそうです。

いつのまにか夢が現実に


三浦 祐さんは日頃から、どんな方法でコンディションを維持なさっていますか?

山口 僕は学生時代に剣道をやっていたのですが、その時の監督が体について真剣に勉強された方でね。剣道部なのに50m走、100m走のタイムを取ったり、ウエイトトレーニングをしたり。食事を含め、個々の体にベストな指導をしてくださったんです。

確かにそれをやると、剣道でもちゃんと良い成績が出るんですね。ですから僕は舞台の仕事を始めてからも、プロのアドバイスに従って自己管理することを続けています。

三浦 たとえばどんなことを?

山口 血液検査を受けたデータをもとに、食事でも今の自分に必要なもの、不要なものを細かく指導していただいています。

また、舞台はロングラン公演もありますから、最近は劇団でも野球関係のトレーナーの方に肉体的なアドバイスをお願いしたり、メンタル部分をフォローするワークショップを開いたりしていますよね。そういうシステムが構築されたおかげで、今はとてもいい環境に近づいていると思います。

僕は宏規さんのように〈無重力〉を味わったことはないですが、これでも若い頃は、朝クラシックバレエのレッスンを2つ受け、午後にジャズダンスのレッスンを1つ受けたりしていたんですよ。(笑)

三浦 ええっ、すごいです!

山口 僕はずっとミュージカルをやりたいと夢見ながら生きてきて、いつの間にかその夢が現実になりました。考えてみると、僕の人生そのものが舞台の上にしかないんですね。だから自分の人生の面白みにも気づけていないのだと思うんです。ただ、気づけてはいないけれど、今も昔も舞台に魅力を感じ、その虜になっていることは間違いありません。

三浦 はい。

山口 子どもって、朝日を見ても夕日を見てもキャッキャ言って喜んでいますよね? 舞台上にはそういうものがしょっちゅう現れて、しかも時として宏規さんのように素晴らしい人とも出逢える。これは誰もが体験できるものではない、大きな喜びだと思っています。

三浦 ……もう涙が出そうです。祐さんが先ほど「舞台は人生そのもの」とおっしゃいましたが、僕もいつかそう言える人間になりたいんです。5歳の時から好きなクラシックバレエを始めて、ジャンルは違えど今もこうして舞台に立っている。

三浦宏規として舞台に立つことを日常にしたいですし、許されるなら死ぬまで舞台だけをやっていたいと思っています。僕も早く祐さんのように、舞台のことを「人生そのもの」と言えるよう頑張ります。

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