右玉定跡に異変あり?! 佐々木対決は勇気八段に軍配 伊藤園お~いお茶杯第66期王位戦挑戦者決定リーグ紅組
2025年4月23日(水)11時30分 マイナビニュース
藤井聡太王位への挑戦権を争う伊藤園お〜いお茶杯第66期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は挑戦者決定リーグが佳境。4月22日(火)には2局が東京・将棋会館で行われました。このうち、紅組の佐々木勇気八段—佐々木大地七段の佐々木対決は119手で勇気八段が勝利。大地七段得意の角換わり右玉を粉砕して組優勝に一歩前進しました。
○1敗キープはどちらに
3勝1敗で暫定首位を走る大橋貴洸七段を追うため、2勝1敗の両者は負けられない戦いが続きます。勇気八段の先手番で始まった対局は両者の息が合って角換わりへと進展。後手の大地七段は右玉を採用、千日手歓迎の待機策で先手の仕掛けを待ちました。角換わり特有の細かい間合いの計り合いが続きます。
2筋で桂交換が行われて本格的な戦いがスタート。難解な中盤戦が続きますが、局後の検討では意外にも早い段階で分岐点を迎えていたことが明かされました。突き出された歩を同歩・同歩と堂々と取り、受けに回った大地七段ですが結果的にはこれが疑問の構想。代えては軽く受け流すか、どこかのタイミングで開き直って攻め合うよりなかったとされました。
○右玉定跡に一石
根性の自陣角で受け続ける大地七段を尻目に、勇気八段は軽快な攻めで先手番のリードを具体化します。飛車を成り込む前に取られそうな銀を捨てたのが軽い好手で、金の合駒を消しつつ手番を握れば自然と攻めがつながる形です。これ以降は勇気八段の鋭い寄せを見るばかりとなりました。終局時刻は18時36分、最後は自玉の詰みを認めた大地七段が投了。
一局を振り返ると大地七段得意の右玉を勇気八段が意欲的な仕掛けで粉砕した快勝譜に。類似の前例では右玉側に白星が集まっていたため、今後の定跡の発展に一石を投じる対局となりました。大一番を制して3勝1敗(不戦勝1含む)とした勇気八段は、最終戦で同星の大橋七段との対決に臨みます(ほかに八代弥七段が1敗で並ぶ状況)。
なお同日行われた白組の永瀬拓矢九段—斎藤慎太郎八段戦は永瀬九段が勝ってプレーオフ以上を確定させています。
水留啓(将棋情報局)