熊本地震の報道巡り次々と炎上するテレビ局取材の功罪

4月23日(土)7時0分 NEWSポストセブン

関西テレビはHPにお詫びとお知らせを掲載した

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 4月14日から続く熊本地震の報道をめぐり、批判の声がやまない。最初に大きなネット炎上となったのは4月17日朝、関西テレビの中継車がガソリンスタンドで割り込み給油したことだった。関西テレビはお詫びとお知らせをHPに掲載したが、その後、他局でも取材者の個人Twitterによる不用意な発言や避難所からの中継の不手際など、次々と炎上ネタが補給されているような状態だ。


「どのマスコミも災害報道に際しての注意事項をまとめたマニュアルがあると思いますが、そこには現地に負担をかけない鉄則を貫くよう書かれているはず。燃料、食糧、水など自分たちを賄える分量を持って災害報道におもむく、という内容は徹底されていると思っていたのですが。被災地での食事についても、自衛隊員が絶対に被災者の前で食事をとらないように、我々も気をつけることになっています。


 無神経なことを大阪のテレビ局がやってしまったというのは、重ねてショックでした。阪神大震災のときの経験は、もうスタッフ間で共有されなくなったのでしょうか」(在京テレビ局報道局員)


 被災地を空撮するヘリコプターへの批判も多い。騒音や飛行そのものが救助活動の邪魔になるというのだ。しかし、少しでも映像や画像で伝えないと、視聴者や読者から分かりづらいと不満が寄せられる面もある。


「むやみやたらにヘリコプターで撮影しにいくわけではありません。基本的に、ほとんどのマスコミがかなり高いところから望遠で撮影しているはずです。これは阪神大震災のときの反省から生まれた習慣だと聞いています。残念ながら、全マスコミがいつも守っているとは言えないのが現状ですが。ここにドローンが加わると、もっとややこしいことになるので、何らかの取り決めが必要だとは思っています」(報道番組制作会社カメラマン)


 最初の地震から一週間経つころから、避難所を取材する様子への非難が増えている。


 たとえば『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ系列)の生中継で、焼芋屋の店主にレポーターが取材をするとき、雨の中、並んでいた子どもを追い出したような形になった。


『Nスタ』(TBS系列)でも、避難所からの生中継でボランティアにインタビューしていたところ、被災者と思われる男性から「見世物じゃない」と怒鳴られる様子がそのまま放送された。


 それ以来、避難所や被災者への取材はそもそも不要ではないかという声もあがっている。しかし、避難所からの中継そのものには、意義ある面もあるのだという。


「今回の生中継で見えてしまった様子は、きちんとした話し合いや配慮が足りなかった結果だと思います。でも避難所の取材が無意味だとは思いません。東日本大震災のとき、テレビに映った被災者の姿から、直接、連絡を取れない知人の無事を確かめるということが少なくありませんでした。


 被災者の側からも、元気にしている様子を知ってもらうのに便利な手段だという声が少なくなかった。復興のためにも、現地の様子を知ってもらうのは必要不可欠です」(地方局報道部ディレクター)


 若年層を中心にSNSで共有される情報がニュースになっているといわれるが、実際には「世の中の動きについて信頼できる情報を得るのに最も利用する」メディアは全年代で「テレビ」(59.1%)が最も多く挙げられている。20代に限ってみても49.8%と圧倒的だ(総務省「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」より)。


 ネット炎上の多さは、期待と信頼の裏返しなのかもしれない。

NEWSポストセブン

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