羽田美智子が語る「特捜9」現場の空気感 井ノ原快彦は「誰ひとり取り残さない現場作り」担うリーダー
2025年4月23日(水)7時0分 スポーツニッポン
【インタビュー】20thCenturyの井ノ原快彦(48)が主演するテレビ朝日系「特捜9 finalseason」(毎週水曜後9・00)が9日にスタートした。故・渡瀬恒彦さん主演「警視庁捜査一課9係」(2006年〜17年)からバトンを受け継ぐ形で2018年4月に放送を開始した人気刑事シリーズが今シーズンで幕を下ろす。「9係」から出演している女優・羽田美智子(56)がこのほどスポニチアネックスの取材に応じ、集大成への心境や、座長の井ノ原、そして渡瀬さんへの思いを語った。(井上 侑香)
「特捜9」は難事件に挑む個性派刑事たちの活躍と、背景にあるそれぞれの人生模様を丁寧に描き、シーズンを重ねるたびに新たな視聴者層を巻き込んでファンを増やしてきた。羽田は、警視庁捜査一課特別捜査班刑事で警部補。特捜班の長女的存在で、メンバーを温かくまとめる村瀬(旧姓・小宮山)志保を演じている。
「ここまで続けられてよかったなって。もちろん寂しいんですけど、続けられたのが奇跡的なことで。いよいよ集大成の時が来たかという感じですね」
「9係」から通算20作目となる「finalseason」。現在も撮影現場には“渡瀬イズム”が流れているという。
「私たちが渡瀬さんに出会えたことは、人生にとってプラスしかなかったと思っています。渡瀬さんと共演していない世代の方たちが“特捜9”の仲間になった時も、何か継承できるように、押し付けではなくて、“こんなことがあったんだよ”なんて言いながら、つないでいる現場だなと思うんですね」
心に刻まれているのは、渡瀬さんの気配りだ。
「役者として何が必要か。やっぱり心だろうというところを突きつけられていました。渡瀬さんは死体役のような大変な役で現場に来た俳優さんたちにも優しかったんです。照れ隠しかなと思う感じで、口は荒いんですけど。“おい、(死体役の俳優が)寒いだろう。早く(毛布を)持ってこい”みたいに。それに新人のスタッフさんが加入すると、すぐに名前を覚えて“頑張れよ、お前”と激励するような方でした。それを見ているから私たちも自然にそうできるように努力しています」
見習いたくなる偉大な先輩の背中があった。「特捜9」の撮影現場には心地よい空気が流れている。
「9係で貫かれたのは“誰ひとり取り残さない現場作り”です。イノッチもそれを引き継いでいます。もともとそういう性格を持っているんでしょうけれど、率先して名前を覚えて、みんなが楽しかったと言える現場作りに努めている感じがします」
「9係」の渡瀬さんと、「特捜9」の井ノ原。2人の座長とともに作品を作り上げてきた羽田だからこそ、井ノ原の“進化”も感じ取っていた。
「イノッチはかわいくてやんちゃな弟分だったんですけど、ある日、一皮も二皮もむけていくのを目の当たりにして。大事なものを守るために、ちゃんと吠えられるっていうんですかね。そういうリーダーに変わってきました。そこが渡瀬さんに似てきた」
頼れるリーダーたちとともに「刑事にも日常がある」をテーマに演じ続けて20年。
「セリフには出ないチームワークの良さみたいなものが目線一つで感じられるところが映ってるんじゃないかと思うんですね。それはお互いを信頼していないとできないこと。ストーリー以外の空気感も味わっていただけたらと思います」
思い出も思い入れも詰まった作品。集大成をともに迎える視聴者へ思いを込めた。