森崎ウィン、スピルバーグが選んだ逸材!『ごくせん』『闇金ウシジマくん』を経て世界へ
2018年4月24日(火)12時3分 シネマカフェ
いま日本のみならず、世界中の映画ファン、アニメファンたちがこのセリフに歓喜し、熱狂している。『E.T.』や『ジュラシック・パーク』などの歴史的ヒット作を生み出してきたスティーヴン・スピルバーグ監督が日本のポップカルチャーへの愛たっぷりに手掛けた最新作『レディ・プレイヤー1』の中で、そのセリフを口にするのはスピルバーグ監督に「日本で1番」と言わしめた若手俳優、森崎ウィン。
俳優デビューから10年。5人組ダンスボーカルユニット「PrizmaX」(プリズマックス)のメインボーカルとして活躍しながら、見事なハリウッドデビューを果たした森崎さんは、ついに大きく羽ばたくときを迎えている。
■『ごくせん』『闇金ウシジマくん』…ブレイク俳優の“登竜門”に出演していた!
1990年8月20日生まれの現在27歳、ミャンマー出身の森崎さん。小学4年のとき、日本語がほとんどわからないまま日本に移住し、サッカー少年だった中学2年のとき、現在所属する「スターダストプロモーション」にスカウトされ、人生が一変した。
2008年にドラマ「学校じゃ教えられない!」で俳優デビュー。時同じくして「PrizmaX」としても活動をスタートさせた。その後、「ごくせん」第3シリーズのドラマスペシャル「ごくせん 卒業スペシャル’09」、続くシリーズ完結編となる劇場版『ごくせん THE MOVIE』に抜擢。玉森裕太や賀来賢人らとともにヤンクミこと山口久美子(仲間由紀恵)が担任を務める赤銅学院高校の新3年D組の生徒で、五十嵐真役を務めた。
また、同じく若手俳優の登竜門として知られ、菅田将暉と桐山漣を輩出した「仮面ライダーW」にゲスト出演したことも。さらに、林遣都、大島優子、新井浩文らが出演した映画化第1弾『闇金ウシジマくん』(2012)に参加、社会問題にも重ねた不埒な学生イベントサークルの代表・“ギャル汚くん”のジュンを林さんが演じ、同サークルの“イケメンゴレンジャイ”を「PrizmaX」の清水大樹らと務めていた。
2017年は「ごくせん」“同級生”の賀来さんが大ブレイクを遂げた1年となったが、今年は森崎さんの番、というわけだ。
■学園ものや群像サスペンスでも印象を残す存在感
映画出演はそのほかにも、藤原竜也や香里奈、貫地谷しほり、林遣都ら豪華共演が話題を呼んだ吉田修一(「悪人」「怒り」)原作×行定勲監督の『パレード』(2010)、青春部活ものの“はしり”といえる成海璃子、高畑充希ら共演の『書道ガールズ!!-わたしたちの甲子園-』(同)、子どもたちの間で大流行したベストセラー児童書(作・松谷みよ子)の映画化『劇場版 怪談レストラン』(同)と相次いでいく。
2011年には、阿部寛が「挨拶をすること。赤点を取らないこと。人の痛みが分かる人間になること」を条件に高校生バンドに練習場所を提供しながら、がんで早逝した沖縄の無料音楽スタジオ設立者を演じた『天国からのエール』に出演。
この高校生バンドのメンバーは、桜庭ななみ、矢野聖人、そして野村周平という豪華な顔ぶれで、森崎さんはドラム担当のカイ役で印象を残した。
2014年には音楽の才能を買われ、尾崎豊の同名代表曲をモチーフにした追悼映画『シェリー』で映画初主演を務めている。
学生役から“卒業”した2013年の宮部みゆき原作のドラマ「名もなき毒」では、主人公の杉村三郎(小泉孝太郎)が務める大企業の広報誌編集室のメンバー、加西新役でレギュラー出演。室井滋やムロツヨシといった超がつく個性派俳優を相手に、軽妙な演技を見せてくれた。
出演本数としてはけっして多くはないが、そのころから確かに、どこか気になる俳優ではあった。デビュー作「学校じゃ教えられない!」からして、いま思えばかなり画期的な中村蒼とのキスシーンに挑んでいたのだから、当然といえば当然かもしれない。ウィンという記憶に残る名前やエキゾチックイケメンな顔立ちだけではない、何か特別な存在感が彼にはある。そんなオーラに、巨匠スピルバーグも惹かれたのではないだろうか?
■オーディションで射止めたスピルバーグの渾身作『レディ・プレイヤー1』
4月23日(月)に放送されたバラエティ番組「しゃべくり007」では、現在大ヒット公開中の『レディ・プレイヤー1』への出演の経緯について詳しく語っていた森崎さん。彼が演じた青年トシロウは、超リアルVRワールド「オアシス」内で三船敏郎をモチーフにした赤い兜の侍のアバター・“ダイトウ”に扮している。アバターはキャスト自身がモーションキャプチャで演じているため、森崎さんも殺陣の練習を重ねて挑んだ。
オーディションが行われたのは3年前、2015年のことで、日本で撮影したビデオ審査をへてLAでスピルバーグ監督も立ち会う最終オーディションに臨んだが、その場には“日本の有名俳優たち”もいたという。
その中からスピルバーグ監督に選ばれたことに触れられると、「くりぃむしちゅー」の有田哲平らMCの芸人たちから猛ツッコミ。発音を褒められたという劇中のセリフ「first to the egg」を、“「寝起き」や「水中」のシチュエーションで言ってみて”という無茶ぶりにも難なくこなしていくところはさすが! 果てには「ハリウッド映画のギャラを通帳記入したときの『first to the egg』」までも見事に披露し、有田さんからも「きみ、イイネ!」と太鼓判を押されるほど。
Twitter上でも「素敵すぎた。上手い」「しゃべくり出演前と後で(インスタ)2千人フォロワー増えてる〜〜」といった歓喜の声や、トーク時間は短かったものの「本人のポテンシャルが高いおかげで面白かった」との声が上がり、森崎さんの“神対応”に改めて魅せられた人が続出。
23日(月)には「PON!」にも生出演しており、スピルバーグ監督のアイデアで日本語で言うことになった決めゼリフ「俺はガンダムで行く!」は、現場に日本語のわかるスタッフがいなかったため、森崎さん自身が決めた言葉だったことも明かしていた。これまでの作品では明るくておしゃべりな男子が多く、爽やか笑顔も彼のチャームポイントだが、『レディプレ』ではまさに侍のごとく、物静かで強い意志を秘めたキャラクター。低めの声で放たれるこのセリフは、映画を観た誰もが鳥肌立ち、心ふるえるクライマックスの超重要シーンとなっている。
■ハリウッド超一級監督スピルバーグの撮影現場には「温かさがある」
「スピルバーグ監督、そしてキャストの皆さんと、この場に立てるのが幸せ。まるで夢のよう」とジャパンプレミアの場で何度も語っていた森崎さん。ミャンマーで暮らしていたころ、英語の先生だった祖母の影響で英語に親しみ、ミャンマー語、日本語、英語をこなせるトリリンガルではあるが、撮影当初は英語でのコミュニケーションがうまくいかなかったり、ホームシックになったりもしたとか。
シネマカフェのインタビューでは「プレッシャーもありましたが、現場に入ると、そういうことを感じさせない温かさがあるんです」と撮影の日々をふり返っていた。「毎朝スピルバーグ監督のハグとスモールトークから始まる」とも明かし、「大所帯のなかの大黒柱として、見えないオーラで人々を包み込んでくれるんです」とハリウッド超一級監督の人間性に感銘を受けた様子だ。
そのスピルバーグ監督にとっても、本作は三船敏郎やゴジラをはじめ、自身が影響を受けたジャパンカルチャーへの愛を込めた「ラブレター」だ。「日本以外からもたくさんの俳優がオーディションを受けたが、ウィンは特別だった」と絶賛を贈る、日本からやって来た逸材と、それぞれのオーラを共鳴させながら映画を創り上げていったに違いない。
■母国ミャンマーとの架け橋にも!『レディプレ』後も待機作続々
今年1月には、自身と同じミャンマー出身の日本ポップスター・木村アウン役で主演を務めた日本・ミャンマー合作テレビドラマ「My Dream My Life」 が現地で放送されており、ドラマと連動した両国合作映画『My Country My Home』が3月中旬より公開されているという。東京の高田馬場が主な舞台となるだけに、日本上陸も楽しみだ。
5月12日(土)からは、先日の「島ぜんぶでおーきな祭 第10回沖縄国際映画祭」で特別招待として上映された『クジラの島の忘れもの』が控えている。
大野いととW主演を務める本作は、阪神淡路大震災で両親を亡くし心に傷を負った日本人女性と、夢を追いかけるベトナム人男性の実話を元にしたラブストーリー。全編沖縄とベトナムで撮影が行われ、森崎さんは実直な性格のベトナム人男性グエン・コアを演じている。
Amazonプライムビデオにて配信中の「東京女子図鑑」では、水川あさみ相手に英語が堪能なエリートビジネスマン・隆之(イケメンキャラ!?)を演じているが、このタイミングでの国境を越えたラブストーリー出演もまた、大きな注目を集めそうだ。
そして、今秋には太賀×吉田羊で話題を呼ぶ『母さんがどんなに僕を嫌いでも』が公開に。母と関係を絶っていた太賀さん演じる主人公・タイジを支える、キミツというキーパーソン役にも起用されている。
いうなれば、ここからが正念場。日本とミャンマーのみならず、日本と世界の架け橋にもなり得る若手俳優に、いま最も熱い視線が注がれている。