「働き方改革」の潜在的反対派も多数? 「わたし、定時で帰ります。」視聴者の複雑な反応

4月24日(水)20時29分 J-CASTニュース

吉高由里子さん(2012年撮影)

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女優の吉高由里子さん(30)が主演するドラマ「わたし、定時で帰ります」(TBS系)の第2回が、2019年4月23日に放送された。

同ドラマは朱野帰子(あけの・かえるこ)さんの同名小説が原作。吉高さんが演じるのは定時に帰ることをモットーとする32歳独身のWebディレクター・東山結衣。第2回では、産休明けで子供がまだ小さいにもかかわらず過剰な勤務を厭わない社員・賤ヶ岳八重役で女優の内田有紀さん(43)が出演。「キャリアの後れ」を何としてでも取り戻そうとするあまり、周囲との軋轢を広げ、疲弊していく様子を演じた。



子供が熱を出しても帰らない...



ドラマ終盤、子供が熱を出してもなかなか帰ろうとしない賤ヶ岳は、



「東山が思ってるほど、時代は進んでないから。今、あたしが帰ったら、『やっぱり子持ちは......』って言われるの。ここで帰ったら負けなの!」


と、力説。すると、東山はウンザリした表情を浮かべつつ、



「先輩は何と戦ってるんですか? そんなに仕事が大事ですか? 『子供が心配だから帰ります』って堂々と言ってくださいよ」


と諭したのだった。



これを見た視聴者からは、「やっぱり子持ちはって言われても事実なんだからいいじゃん 子持ちなんだもん」など、吉高さんのセリフに共感したとする声が続々。しかし、それに混ざって散見されるのが、「やっぱり子持ち社員が優遇されて 尻拭いは若い勢なんだよなぁ 私らにもプライベートが存在するんだけどなぁ...」と、吉高さんのセリフに共感まではできないとする声だ。



「総論賛成、各論反対」?



なお、前述の吉高さんに賛成できないとする声を上げている視聴者だが、それらの多くは決して「ブラック労働」を肯定している人々ではなく、それそのものは「悪」と認識しているように見受けられる。あくまで、「総論賛成、各論反対」とでも言うべき状態のようだ。



ただ、やはり、同ドラマを見ていると、ついつい「ブラック労働」な発言に共感を示してしまう瞬間があることを吐露する視聴者は少なくないようだ。なかなか子供の元に戻ろうとしなかった賤ヶ岳を演じる内田さんの姿を見たあるアカウントは、「産後復帰するとなると、ガツガツしてしまう気持ちも分からないではない」と、「率直な」気持ちをツイート。また、自身が育児休暇を取ると夫が育休を取ることになるという状況にあるというアカウントは、



「『育休取らされたパパが可哀想』って言われるんだろうな。制度があっても理解がされてない以上これからも少子化は進む」


と、今後への懸念をポツリ。実際、第2回の放送では、賤ヶ岳の夫は育休を継続しており、そのことについて賤ヶ岳の上司・福永清次(ユースケ・サンタマリアさん=48)が、「男の育休許す上司ってどうなんだろうね。(賤ヶ岳の夫は)会社のお荷物なのかな?」と、心ない一言を発するシーンもあったほど。やはり、「目の前での働き方改革」には賛同しかねるという「潜在的反対派」は多そうだ。



産休後に猛烈に働きたくなるのは、「自己実現が遅れたから」



これらの傾向について、経営コンサルタントで心理学博士の鈴木丈織氏は以下のように分析する。



「まず、内田有紀さんが演じた『過剰に働きたがる産休明けの女性社員』ですが、現代日本では実に典型的です。彼女のような女性たちは、口では『産休中は同僚に迷惑をかけた』と言いますが、その本心は『産休中にキャリアが積めず、自己実現が遅れた』と考えている場合が多いのです。ゆえに、ドラマのように、プロジェクトに横入りしているにもかかわらず、主導権を握りたがるなどの問題行動を起こしてしまいます」


続いて、良くないとは思っていても、ついつい「ブラック労働」的な発言をしてしまいがちなことについても、



「入った会社が残業まみれの職場だった場合、新人研修の際に心の中で反発していようがいまいが、指導内容そのものが価値判断の基準になってしまいます。そもそも、我々は学校教育を潜り抜けて社会人になるところからして、『真似て成長する』という能力があるのは明らか。ゆえに、内心で反発しても、『残業は美徳』という価値観はしっかりと刷り込まれます。そこから逃れることが出来ている、吉高さんが演じる主人公は、働きすぎて階段から転落し、一時、危篤となるも一命を取り留めたという設定です。仕事至上主義を捨てているという設定を実現させるためには、的確な設定だと思います。作中では、主人公が若手に定時での帰宅を促していますが、これが唯一の救いでしょうかね......」


働き方についての意識を変えるのは、我々が思っているよりもはるかに難しいことのようだ。



(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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