『アリスと蔵六』4話 金髪美少女の「おもらし」への反応で己を試され、さらに銃で撃ち抜かれてネット騒然

4月24日(月)20時0分 おたぽる

『アリスと蔵六』公式サイトより

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——4話のおもらしシーンを受けて、タイムラインの感想を見たところ、多くの人の性癖踏み絵だったようです。キャラが名乗りをあげた瞬間エンディングに入るアニメが大好きなたまごまごが『アリスと蔵六』(TOKYO MXほか)を全話レビューします。


■4話「人でないモノ」「俺は曲がったことが大嫌いなんだ」の真意

 ミニーC「きたない」。原作:今井哲也、監督:桜美かつし、J.C.STAFF制作のアニメ。頑固爺さん・樫村蔵六(かしむら・ぞうろく/演:大塚明夫)の元にやってきた、妙な力を持つ少女・紗名(さな/演:大和田仁美)を巡る物語。
 誘拐された紗名を諭す蔵六の、安心感たるや。
 蔵六の口癖「俺は曲がったことが大嫌いなんだ」は、1話では正しくない行動を取った人間へのお叱りの言葉だった。今回「自分が我慢してまで考え方を曲げなくていいい、やりたいことを諦める必要はない」という、真意があったことが判明。
 大塚明夫ボイスで「俺は曲がったこと〜」と言ってくれる目覚まし時計が欲しいです。


■ミニーCと紗名と蔵六の考え方
 研究所絡みで、紗名を誘拐した"ミニーC"・タチバナ(演:能登麻美子)。彼女は紗名を縛り上げ、暴行を働く。
 限界まできた紗名がもがきながら口にしたことで、蔵六が車内に召喚された。蔵六は紗名がひどい目にあっているのを見て、激しく憤る。

 ミニーCは「紗名=赤の女王」を、人間ではない、という。紗名は自分が人間ではないばけもので、蔵六や早苗を巻き込んでしまったと知り、絶望。迷惑をかけたくないから研究所に帰ると、涙ながらに言い出す。
 しかし蔵六はそんな彼女に言う。

蔵六「なあ紗名、お前人じゃなかったって、それがなんなんだ。バカなことぬかすな。いいから一緒に帰るぞ」「お前が何者だろうが、しんどい時は誰かと一緒にいるもんだ、無理すんな」


■必要だった誘拐のあれこれ

 原作のミニーCによる誘拐シーン、ぼかすことなく全部やってくれた。
 ネットの反応を見ると、「よくやったな」「すごい」という声と「ひいた」「さすがにない」という声とで、反応は賛否両論。
 パッと見やさしい絵柄の、不穏な空気は控えめの作品だったので、残虐な流れはインパクト大だった。
 ただ、ミニーCの児童虐待行動は、どうしても削れない、今後を描く上でも必要なシーンだ。

 目と口を塞いで、彼女の力で身体を完全に押さえ込むのは、紗名に対して恐怖心を与えるためだった。想像すればなんでもできちゃう「赤の女王」である紗名には、未知の体験でおさえこむ。この「想像できない」「実は万能じゃない」ことは、後の展開に関わってくるはず。

 ミニーCが紗名の脚を平然と撃ち抜くのは、人間ではないこと、ケガくらい治してしまえることを表すため。
 彼女の「現象」への感覚と、蔵六から見た事態のえげつなさ、紗名の苦痛、全部を描くカットだ。

 薬物注射からのおもらし、そしてミニーCの「きたない」のセリフ。
 今まで紗名はかわいい服を着て、金髪美少女で、しかも能力でお風呂に入らなくても大丈夫、と「きれい」なところしかなかった。今回はおもらしが描かれたことで、紗名の「きれいじゃない部分」がはっきり出てきた。トイレのシーンはあったけれども、他人に「きたない」と言われたのははじめて。

 ネットのあちこちで「漏らすくらいなら人間と同じだ」という反応があったのが面白い。
 アニメの場合、表現の中に有機的な「汚れ」があると、一気に「生き物」らしくなる。


■現象とか実在とかより

 今回の「現象」としての紗名の実存の話は、この作品のテーマの一つであり、どえらい難しい! 原作では「中国語の部屋(ジョン・サールによる思考実験)」の話も出ている。
 紗名の行動は、人間ではないものが、人間のふりをして、情報をかきあつめて、人間的に真似て出力している、というのがミニーCの意見。

『アリスと蔵六』4話 金髪美少女の「おもらし」への反応で己を試され、さらに銃で撃ち抜かれてネット騒然の画像2
『アリスと蔵六』公式サイトより。紗名の涙は見ていて痛々しかったなあ
 蔵六はミニーCの言葉を、ほとんど聞こうとしない。「よくわからんね」「聞くな、こんなやつの話」。
 追い詰められていると、全部理解しないといけない気持ちになっちゃうから、そう言われるととても気持ちが楽になるもの。
蔵六「じゃあ訊くが、人間ってのはなんだ? 平気で子どもを撃てるお前さんは人間かね?」

 人間ってなんだ。それは歴史上多くの人が考えて、明確な答えは出ていない。「自分」ってなんなのか分かる人はいない。
 でも答えがわからなくても、一般の人は笑ったり泣いたりして生きている。

 それより、目の前で「心」を痛めて泣いている子を守るほうが、大事だ。
 「ぐだぐだ考えるな」って言ってくれるじいさんは、現代社会に必要だと思う。


■人じゃないものへの感情

 ところでオタク文化は、AIやバケモノや妖怪や人外に対して、ものすごく寛容だ。『ラブプラス』ブームや、『ToHeart』のマルチなどを思い出す。『暗殺教室』の自律思考固定砲台や『楽園追放』のフロンティアセッターなんかの人気もそう。

 もし現実に紗名みたいな子が現れても、事情を知ったところで「まあいいんじゃないの」と受け入れて、みんな普通にかわいがる気がする。でもやっぱり、華奢な少女の姿だからってのはあるのかな。撃たれてもびくともしないマッチョだったらどうなんだろう?

(文/たまごまご)

おたぽる

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