伊藤女流四段 代役出場の女流王位戦開幕星 終局43時間前に決断 過去11勝32敗の福間女流王位に勝利
2025年4月24日(木)18時22分 スポーツニッポン
将棋の福間香奈女流王位(33)=女流5冠=に伊藤沙恵女流四段(31)が挑む第36期女流王位戦5番勝負は24日、兵庫県姫路市「里湯ひととき夢乃井」で第1局が指され、先手・伊藤が105手で勝利した。振り飛車党・福間の向かい飛車を打ち破った。
「ずっと難しかった。(終盤は)こちらの飛車を取られると怖い形。しっかり寄せられるかどうか、時間を使った」
過去の対福間戦は11勝32敗、勝率・256。控え室では早くから伊藤の優勢が指摘されたが、持ち時間4時間からの消費は福間の2時間48分に伊藤は3時間15分。不安を排するため、読みを重ねてつかんだ開幕星だった。対して福間は、「攻めをつなげる段階で読みを入れられなくて」と反省点を挙げた。
午後4時53分の終局43時間前、代役出場を知った。本来は西山朋佳女流3冠(29)が挑戦者として出場予定だったが、体調不良のため前日23日に出場辞退を発表。意向を受け、22日夜10時に主催する日本将棋連盟から打診された伊藤が出場を決断した。対局規定に基づき、西山との挑戦者決定戦に敗れたことによる繰り上がりだった。
「(西山の病状が)とにかく大事じゃなければよいな、と思ったのが最初。挑戦者変更?ただただ驚きました。将棋棋士にとって対局は一番重要なことなので、そういうことなら私が指させていただきますとお返事しました」と前日の検分時の取材に語っていた。
代役出場を印象づけるシーンがあった。終局後の取材で聞き手から次局の抱負を問われ、「5月…」と日付が出てこなかった。一戦必勝の思いゆえだろうか。福間とのタイトル戦を1勝8敗とシリーズを大きく負け越してきた伊藤が、無欲の戦いに臨む。第2局は5月13日、札幌市「京王プラザホテル札幌」で指される。