『あんぱん』松嶋菜々子が語る嵩の母・登美子「発想が少し独特なのかなと」「支離滅裂に見えるかもしれませんが…」責めるのぶに言葉を返さなかった深いワケ
2025年4月25日(金)8時15分 婦人公論.jp
(『あんぱん』/(c)NHK)
今田美桜さん主演・連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合/毎週月曜〜土曜8時ほか)。第4週「なにをして生きるのか」の第20回が4月25日に放送されました。嵩(北村匠海さん)が試験に落ちたことをきっかけに、母親の登美子(松嶋菜々子さん)が再び柳井医院を出て行きました。登美子は、嵩が幼い頃に夫の清を亡くすと子どもたちを柳井医院に置いて再婚。8年音沙汰もなかったのに離婚するとまた柳井医院に戻ってきていました。奔放な振る舞いで、嵩たちを振り回す美しい母として視聴者から注目されています。登美子を演じる松嶋菜々子さんがコメントを発表しました。
——今回、北村さん演じる嵩の母親役ですが、松嶋さんは登美子という人物を、どう捉えて演じていますか?
北村さんの母親役は2度目なのですが、今回はまた違った性格の母親なので、ご一緒できるのが楽しみでした。北村さんはすごく落ち着いていて、どっしり構えている方で。本当にこんな息子がいたらいいのになぁと思っています。
登美子は、発想が少し独特なのかなと思います。子どもへの愛情がありながらも、自分の人生に迷いがあったり、葛藤を抱えていたり……。演じる上では、そうした心の揺れを理解することが大切だと感じています。
実際、嵩のモデルであるやなせさんの母親も、息子たちを残して姿を消したと聞きました。そうした複雑な背景を持ちながら“アンパンマン”という作品を生み出したやなせさんにとって、母親は影響力のある存在であり、発想の源だったのだろうなと。
登美子の突然現れては周囲を振り回し、またいなくなってしまうという設定だけをとるとどこか冷たく感じるかもしれません。けれど、嵩に対しては母親の愛情をきちんと伝えられるよう、丁寧に演じていきたいと思っています。
のぶの心に届くように
——第2週では、出て行った登美子の元へ、嵩が会いに行くシーンがありました。
どういう塩梅で演じようか迷った部分ではありました。スタッフの方たちとは、夫である清(二宮和也)さんを早くに亡くしたことで、ぽっかりと空いた穴を埋められず、それを埋めるための愛情を求めているのではないか、だから自分のことで精一杯なんじゃないかとお話しして。
とはいえ、時代的にも、より子どもが幸せになるのであれば、置いていくことも子どもたちにとっては最良の選択であり、そこになじんでほしかったからずっと連絡を取らなかったんじゃないかとか。いろいろ想像しながら臨みましたね。
——第3週で、8年ぶりに町に帰ってきた登美子ですが、のぶ(今田美桜)に思いをぶつけられるシーンもありました。
どういう反応をしていいのか分からなかったですね。のぶちゃんに責められたことよりも、嵩が言った「のぶちゃんは、母親に捨てられたことないだろ」という言葉のほうが心に響きました。捨てたつもりはなかったので……。
でも、のぶちゃんに言葉を返さなかった登美子を通して思うのは、自分の行動を全部説明できなくてもいいのかなと。気持ちの整理って全部が全部ついていなくてもいいんじゃないかなと思いましたね。
言ったことがそのままの人
——第4週では、嵩を医者にするために登美子が後押しします。
自分と清さんの子ならできると信じる気持ち。寛先生や千代子さんに恩返しをしたいという気持ち。自分の居心地をよくしたいという気持ち。たぶん全部本当の気持ちで、言ったことがそのままの人なのかなと。周りから見たら支離滅裂だったり、言動に驚かれたりするかもしれませんが……。
それでも嵩は、どんな時もやさしく受け入れてくれるんですよね。いつも振り回してしまいますが、会うたびに、少しでも嵩が“母のやさしさ”を受け取れる瞬間があるように、表現していけたらいいなと思います。
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朝ドラ通算112作目となる『あんぱん』は、子どもたちの人気者〈アンパンマン〉を生み出したやなせたかしと、小松暢の夫婦をモデルとした物語。ヒロインの<朝田のぶ>を今田美桜さん、<柳瀬嵩>を北村匠海さんが演じる。2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く。
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