ニューヨークが真相を告白 M-1がピリついたダウンタウン松本人志への「最悪や!」発言

4月26日(日)12時40分 文春オンライン

「過去最高って言ってもいいのかもしれないですね。数年前なら誰が出ても優勝していたんじゃないか、というレベルの高さでした」


 大会の締めに審査員のダウンタウン松本人志がこう語るほど、2019年のM-1は沸いた。では何がこの“神回”を作ったのか。出場した漫才師たちのインタビューから、その答えに迫っていく。


「最悪や!」——トップバッターのニューヨーク、ツッコミの屋敷裕政が松本の審査コメント中に“噛みつき”、会場は妙な盛り上がりをみせた。一瞬の出来事にハラハラした視聴者も多かったが、裏で出番を待っていた 見取り図 は「あれでほぐれた」と明かし、 すゑひろがりず は「M-1史に残る名言ですよ」と称賛した。


 あのとき1番手の2人はどんな想いだったのだろうか?(全4回の1回目/ #2 、 #3 、 #4 へ)



昨年のM-1で1番手だったニューヨークの嶋佐和也(左、ボケ担当)と屋敷裕政(ツッコミ担当)


◆◆◆


「最悪や!」発言は本音? 狙った?


——まず、いちばん聞きたいところからうかがいます。ネタ後、審査員の松本(人志)さんに「僕の好みなんですけど、ツッコミの人が笑いながら楽しんでる感じがそんなに好きじゃない」と言われたとき、屋敷さんが「最悪や!」と返し、話題になりました。あれが神回と呼ばれる今大会の起爆剤になったのでは。あれは、思わず本音が出たのか、それとも意図的なものだったのか。どちらなのでしょう。


屋敷 半々ですね。このまま終わったら何もないなと思ったんで、なんか爪痕残さないといけないというのと、本音と。あれで盛り上がったとか言ってくれましたけど、それはたまたまです。大会を盛り上げなきゃなんて、1ミリも思ってませんでした。自分たちを何とかせなということでいっぱいいっぱいだったので。まあ、結果的に、僕がしょげて終わってたら、次の出番の人はやりにくかったと思いますけど(笑)。



——M-1では、極端に点が低かったり、審査員から酷評されたりして、芸人としての価値を傷つけられることを「死人が出た」と表現します。もし、あそこで屋敷さんが黙っていたら、今回はニューヨークがまさに「死人」になっていたかもしれませんね。


屋敷 いちばん忘れられやすいトップ出番で、点数もこのままならおそらくビリで、松本さんにこき下ろされて……あのまま、はけていたらと思うとゾッとしますね。


「やばい、やばい、松本さんがひどいこと言うときの空気やん」


——審査員の講評も、上沼さん、志らくさん、塙さん、巨人師匠までは好評価だったんですよね。ただ、5番目の礼二さんが「屋敷君のちょっとイジワルなツッコミがもっと聞きたかった」と。そこで屋敷さんがいつもと違ってソフトだった、優しかったという情報が加わった。それが松本さんコメントを誘発したようにも見えました。



屋敷 なんか「やばい、やばい、これはやばいぞ」という流れになってましたよね。「これ、松本さんがひどいこと言うときの空気やん」と(笑)。



——そんないつもひどいこと言ってましたっけ?


屋敷 たまにあるんですよ。2017年はトップバッターのゆにばーすのときに「お客さんがよすぎるのかな」とか。ウケてるのに、わざわざ言う? みたいな。2番目のカミナリは、やりにくかったと思いますよ。


——なるほど。


屋敷 なぜかトップにきついんですよ。2018年もトップ出番の見取り図に「そこまでウケてなかったかな」と。ネガティブなことを言うとき、松本さんって、気配でわかるんです。僕らのときも渋い表情で「なんかねぇ……」みたいな入りやったんで「わっ、言われる」と。そうしたら「ツッコミが僕の好みじゃない」。うわ、俺ひとりの責任やないかい、と。そんで思わず「最悪や!」が出ちゃったんです。


嶋佐 まあまあ、それが審査員の仕事ですから(笑)。


「82点しか覚えてないですよ」


——得点発表のときは、1人目の巨人師匠が87点で、2人目の塙さんが91点と、決して悪くなかった。


屋敷 いや、もう82しか覚えてないですよ。


——6番目の松本さんの82点でグサッときたわけですね。松本さんだけ、ひと際、低かったですもんね。


嶋佐 僕、松本さんのこと大好きなんで。ダウンタウンさんを見て、この世界に入って、初めて番組で一緒になれたのに、こういう形になって……。フツーに悲しかったですね。呆然としちゃいました。



屋敷 僕も相方がめっちゃが好きなん知っとったから「(得点見て)うわ、かわいそう」……と。そうしたら、松本さんの矛先が僕に向かってきたんで。いやいや、俺の方がかわいそうやん、と。


——屋敷さんが「最悪や!」と言ったとき、舞台裏の芸人たちは爆笑していたそうですが、その後、放映されたドキュメンタリー『M-1アナザーストーリー』を観ると、みなさんのすごいピリついた様子が映し出されていて……。


屋敷 あれは絶対、編集してます。そんなわけないやん。芸人やったら、絶対、笑いますもん、あそこで。


嶋佐 いろんな方に「ようやった」と褒められましたから。あの編集は、やめて欲しいですね。導入部分で緊張感を持たせたかったのかもしれませんが。


屋敷 言うたな、ABC(朝日放送テレビ)の悪口(笑)。これから先、また、世話になるかもしらんのに。


嶋佐 いや、あの編集はえぐい(笑)。


「今田さんが笑いにしてくれるやろう」


——嶋佐さんは、屋敷さんが「最悪や!」と言った後、一瞬、間があって、一緒に不貞腐れるという方向へ舵を切りました。私は相方として「まあまあ」となだめるかと思ったのですが、あそこはいろいろ考えたのですか。



嶋佐 なんか僕も勝手にああいう感じになりましたね。司会の今田(耕司)さんには「本能Z」(CBCテレビ)という番組にちょくちょく呼んでいただいていて、そこでけっこうイジられてたんです。僕らは、それに噛みつくみたいな。なので僕らが失礼なことを言ったり、どんだけ不貞腐れても、今田さんが笑いにしてくれるやろうという安心感があった。その信頼感がなければ、あそこまで悪態をつき続けることはできなかったと思います。


——ずっと不貞腐れていましたもんね。


屋敷 1分でも、1秒でも長くここに居座ってやろうと思ってましたから(笑)。


嶋佐 居座りボケですから。居座ってなんぼじゃないですか。



屋敷 タイミング的には2回ぐらい、ここではけてくださいみたいな雰囲気になったんですよ。それでも俺らは動かなかった。極端な話、番組が終わるまで、ここにおるからなぐらいの気持ちでしたね。ここではけたら、俺ら、もう2度と、ここに戻ってこられへんと思うてましたから。少なくとも、今回は、2本目はないと。


嶋佐 最後に、今田さんに「いつまでおるんや」って言われて、はけさせられたんですけど。ああ言っていただけて、本当に助かりました。


屋敷 もうちょっと、おってもよかったかもな。


嶋佐 本音を言えば、あと1分くらい粘りたかったですね。


(【続き】「 1番に楽屋入りしろ」M-1王者とろサーモンの助言 ニューヨークは1時間前にテレ朝に着くが……  を読む)



写真=山元茂樹/文藝春秋



ニューヨーク/嶋佐和也(ボケ担当)と屋敷裕政(ツッコミ担当)のコンビ。嶋佐は1986年5月14日山梨県出身。屋敷は1986年3月1日三重県出身。東京NSC15期生で2010年結成。


M-1では2015年、18年に準々決勝、16年、17年に準決勝進出。19年に初の決勝で10位に。


YouTubeでニューヨーク Official Channel更新中( https://www.youtube.com/channel/UCS17iKEInkBuHkxtEcCnTTQ )



「1番に楽屋入りしろ」M-1王者とろサーモンの助言 ニューヨークは1時間前にテレ朝に着くが…… へ続く



(中村 計)

文春オンライン

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