気持ち悪いのは粘着夫(東出昌大)ではなく恋愛脳満開の新婚妻(波瑠)の方では…?/『あなたのことはそれほど』第二話レビュー

4月26日(水)23時0分 messy

『あなたのことはそれほど』公式webサイトより

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めちゃくちゃ気合の入った月9『貴族探偵』(フジテレビ系)は第二話平均視聴率8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、『人は見た目が100パーセント』(フジ)は6.4%、『リバース』(TBS系)6.3%、『ボク、運命の人です。』(日本テレビ系)9.6%。二話めで視聴率をガクッと落とすドラマは多いですが、ダブル不倫ドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)も初回11.1%から9.0%に落ちました。他方、安定人気の『警視庁捜査一課9係12』(テレビ朝日系)、『母になる』(日本テレビ系)、『小さな巨人』(TBS系)はさほど数字を下げずに二桁視聴率をキープしていますが。

第一話はしつこく「原作と違う!」を連呼してしまいましたが、完全に別物だと割り切って『あなたのことはそれほど』第二話を視聴してみたところ、うんうん、主人公のときめきがストレートに伝わってくるラブコメかなって思えてきました。不倫なんだけど、主人公にはその意識が全然ないですからね。だがそこがいい。再現VTRみたいな回想シーンもありませんでしたし。

【第一話】再現VTRみたい…アレンジがダサい、役者も演出もしょぼい!/『あなたのことはそれほど』第一話レビュー

ではまず、登場人物紹介をしておきましょうか。

■渡辺美都(わたなべ・みつ)/波瑠
旧姓・三好。スナックママの一人娘、母子家庭育ち。地元は横浜。眼科の医療事務として働く女性。小学校時代に転入してきて中学で転校してしまった有島くんに初恋をし、大人になった今もキラキラかっこよかった有島くんへの恋心を保管し続けている。妥協して優しく料理上手な涼太と結婚。

■渡辺涼太(わたなべ・りょうた)/東出昌大
インテリア関係の会社の総務部で働く。眼科で美都に一目惚れして求婚。愛妻家で料理上手で洗濯や掃除も得意。朗らかで愛情深く、見知らぬ他人にも親切で、妻の母親ともうまくやっている。妻のケータイチェックや、LINE連投を厭わない。

■有島光軌(ありしま・こうき)/鈴木伸之(劇団EXILE
健全な男子。サラリーマン。親が転勤族で横浜→所沢に引越し。美都とは横浜時代のクラスメイトだった。所沢の高校の同級生だった麗華と結婚し、間もなく一児の父になる。学生時代からイケメンで女に不自由しないタイプ。公式紹介によると「基本的には家庭第一なのだが、根が優しく流されやすい性格のため、泣きつかれると弱い」。

■有島麗華(ありしま・れいか)/仲里依紗
旧姓・戸川。父が不倫で失踪、母を家事やバイト収入で助ける学生生活を送ったアダルトチルドレンな苦労人。不美人。高校の同級生だった有島と結婚し、妊娠中。出産は所沢の実家で。人当たりは良い。

悪気のない不倫セックス

最初にお断りしておきますが、今回、東出くんの冬彦さんぶりはイマイチです。妻スマホチェックは習慣化しており、目を皿のようにして発着履歴やメールボックス、LINEトーク履歴を見ていますが、妻の寝ているすぐそばでそれをやるのは不思議。いきなり目を覚ましたら困りません?

初回では美都が涼太にアプローチされて結婚、数カ月後に偶然にも有島くんと再会して即ホテルでセックスに及んでしまうまでが描かれました。美都はこのスムーズな流れに「奇跡的で必然な出会い、からの宿命の恋、運命?」「思い出した、恋ってこんな感じだった。違う、こんなにドキドキするのは中学以来。有島くんだけ。有島君だけだ」と舞い上がっています。

「二番目に好きな人と結婚したほうが幸せになれる」と占い師に告げられて二番目どころか全然ときめかない男・涼太と結婚したものの、「早まっちゃったなあ〜」と嘆く美都。できれば有島くんと結婚したいんですよね。ちなみにこの段階では、美都は有島くんが既婚者だと知りませんし、有島くんも美都が結婚していることを知りません。お互い相手がフリーだと思ってヤッております。

第二話のテーマは「嘘」。美都は一応、家に愛妻家の夫がいますから、有島くんと継続して会うためには嘘をつかなければなりません。一切、夫への罪悪感とか悪気はないので、できれば嘘をつきたくないのだけれど、バレたらいろいろ困ることになるとわかってもいるため、下手なりに嘘を頑張ってついています。有島くんラブな己の本心を隠すことは全っ然出来ません。

「初恋。この気持ちは私の中で一番きれい、と思っていて。だから嘘をついて汚したくない」

すげえ素直だな! そこまで夫のことを軽く見ていて、どうでもいいと思っている美都。たぶんATMとさえ思ってない(まあ共働きですし子供を持つ気もないし)。夫にはどう思われても構わないのに対し、有島くんには真剣な交際を考えてほしいしめっちゃ好きになってもらいたいので、デートの際に清楚な印象を与えるコーデを真剣に検討し、初回でヤッちゃったことで軽く思われていたら困ると思い悩みます。そう、美都は「火遊び」と割り切って不倫を始めたわけじゃなく、本人にとっては至って真面目な純愛。こりゃバカだぞ、しかしリアルでもある。いかに美都のおバカぶりを描ききるか、見ものです。



単細胞で素直なのが美都ちゃんの良いところ、それは彼女の周囲の人間もみんなわかっていることで、夫の涼太だって彼女の「素直さ」は愛しています。美都は自分の素直な気持ち(とりあえず結婚したーい)に従って涼太のプロポーズを受け、素直な気持ち(めんどくさーい)に従って夫のしつこいLINEを「うん」の短文返信でスルーし、素直な気持ち(有島くん大好き!)に従ってウキウキしてるだけなんです。わあ、羨ましい。解せないのは、全然ときめかない夫と同じ部屋に寝たりセックスも出来るらしい、というところ。素直な気持ちに従えば、それって「あーやっぱ、めんどくさーい」ことじゃないの? そこだけは何かしら我慢してるんでしょうか。嫌いってわけじゃないから平気なんでしょうか。

他方、同じく単細胞で素直な有島くんは、確かにキレイな顔で高身長で筋肉のついたイケメンです。屈折(童貞臭とも言う)が見えません。そのイケメンと並んで明らかに不釣合いな妻・麗華。仲さんはどういうわけか黒髪ではなく、グレーがかったくすんだ(アッシュ?)髪色で、色味を押さえたすっぴん風メイクとダサいファッションにより地味女を演出していますが、ヘアメイク効果なのかめちゃくちゃ老けて見えます。40歳くらいに見えます。妙にハァハァ息が上がってるのも、臨月だからってそんなになりますっけ?

麗華は麗しく華があると書く自分の名前をコンプレックスに感じていて、お腹の赤ちゃんが女児であることから「地味で美人でもないのに派手な名前つけられたらツライだけ。女の子は外も中も可愛いほうが得でしょ?」とのネガティブ発言を夫にかまします。麗華はブスで地味だけど賢くて頼れる女だと思っている(らしい)有島くんはいまひとつ腑に落ちないような顔。でも無意識なのか、有島くんは麗華と結婚したことをかつての友人たちに公表していないのです。うん、無意識じゃないんじゃないかな。イケてない女の代表格だった麗華に惚れたのは自分だけど、でもそれを堂々とイケてるグループだった人たちに公表するほどの正義漢ではないんですよね。悪気はなさそうだけど。

ガチ恋不倫女と何も考えてない不倫男の温度差

いっそ旦那と別れて有島くんと再婚したい美都は、恋心を存分にエンジョイしています。スマホに有島くんとのやりとりを残しておくのは危険なことだと(夫が盗み見していることはまだ知らないけれど)勤務先上司にアドバイスされ、わかってはいるものの、トーク履歴をそう簡単に消せません。消せない気持ちはわかりますよ、もったいないんだよねえ、そうだねえ、でも旦那は毎夜、スマホチェックを欠かしませんよ。とはいえ、美都は別に旦那にバレてもいいと思っているわけですから、消さなくてもいいような気もしますが……。美都は平穏な結婚生活に1mmも未練を見せません。本当に心の底から旦那のことなんてどーでもいいんです。清々しいほどに恋愛脳の恋する乙女ですから。

美都が「中学の友達で化粧品の販売員をしている女の子と再会したので、飲みに行く」と嘘をついて有島くんとお花見デート(からの勿論ラブホIN)をした夜、涼太はわざわざ横浜で美都の母親が切り盛りする小汚いスナックを訪れ、探りを入れていました。「みっちゃんは嘘をつくのが下手。素直でいい子に育ててくれて」と微笑む涼太に、母と常連客は「あの子、占い師に二番目に好きな人と結婚するのがいいって言われて泣いて怒ってたっけ〜」と禁断の思い出話をぶっこみます。「やめてくださいよ〜」と豪快に笑う涼太の目は凍っていました、たぶん。

一方、有島くんと<普通の恋愛>をして<結婚>することを目論んでいる人妻・美都は、有島くんと会うたびにラブホでセックスする流れになることを<普通の恋愛>らしからぬことだと捉えて<軽い女扱いされてたらイヤだ〜>と思いつつ、嫌いだったらキスやセックスをしないだろうということで(でもこれって私のこと好きってことだよね?)と良いように解釈。有島くんは美都の下の名前も忘れてるくらいなんですけどね。セックスしてるから何だっていうんだろう、あんまり特別な意味なんてないと思うな〜。

軽い女もいやだけど結婚を迫る重い女ももっといや、とグルグル悩みながらも、美都は有島くんに一泊二日の温泉旅行デートを提案し、タイミングよく涼太の出張&麗華の里帰り出産というお互いのフリーDayが生まれたため、彼らは熱海(おそらく)へ向かうのでした。わあ、楽しそう。

美都はまず事前のアリバイづくりのため、夫公認の女友達・香子を夕食に誘って恋愛相談するのですが、「今ならまだ間に合う」と不倫解消を促されても聞く耳など持ちません。

「結婚ってさ、やっぱり運命の人としなきゃだめだね〜。結婚するタイミングって賭けだね、世の中の結婚した人たちがややこしいことになるのわかる気がする。有島くんのことはずっと好きで会いたかったんだもん、たまたま結婚した後に再会してさ……」

と、いかに有島くんラブな自分がせつない気持ちかを伝えますが、常識人の香子は「ねえ、結婚するってことは、恋愛終了ってことでしょう? あんたはもう渡辺美都なの。ばか!」と説教をかますばかりでスレ違い。挙げ句、温泉旅行のアリバイ作りを依頼する美都に激怒して、香子は帰ってしまいました。潔癖です。まあ、共犯関係になりたくないですしね。



モノローグによれば美都はこう考えているそうです。

「バカだけどバカなりに、なるべくなら誰も傷つけたくない。ただただ、この運命を逃したくないだけだから」

運命を逃すまいと行動したら全員傷つけることになるんですがそれは。海の見える貸切露天風呂で(大事な友達を失ってまで見てるこの景色は世界で一番きれい。本当に何で今、こんな幸せが降ってきたんだろう。おかげで私、悪い人になっちゃったよ)と幸せに浸る美都と、特に何も考えてなさそうな有島くん。しかし! お風呂に入って豪華な夕食もとって、いざ布団の用意された部屋でセックスしようというところに、有島くんのスマホが着信を知らせました。予定日より早く、子供が誕生したという連絡です。

有島「ごめん俺、今から帰らなきゃ。これから所沢に行かないと」
美都「実家? なんかあったの?」
有島「子供が産まれた」
美都「は?」
有島「奥さんが出産で里帰りしてて所沢にいるんだ。ほんっとごめん、俺会計してくから明日までゆっくりしてって」
美都「待って、大丈夫、私も、結婚してるから。夫がいるの。だから、有島くんに、無茶なこと言わないから安心して」
有島「なんだ、良かった〜」
美都(あれ? 有り島くん、もしかして私より悪い人だった? 運命じゃ、なかった? けどどうしよう、世界で一番有島くんが好き)

どうですか、この温度差。ガチ恋だったのは美都だけだったわけですが、彼女はそれほどショックを受けていませんね。実は結婚してましたとか子供がいますとか美都にとってはやっぱり「ど・う・で・も・い・い」ことで、できれば略奪したいんだろうけど、それより今は運命の関係を終わらせたくない! 恋する乙女を演じる波瑠さんの頬はプリッとつややかで目もキラキラ。そこが怖いんです。個人的には、涼太の粘着夫ぶり以上に、美都の暴走ストーカー女っぷりを猟奇的に描いてほしいなと希望している所存です。

<今週の山崎育三郎
開始30分、まだ出て来ない。ようやく出てきたがワンシーンのみ。オフィス内で涼太に大阪出張を依頼し、涼太がインスタに妻とのお花見写真を投稿しているのを見て「幸せアピーピルですか。結婚して今まで一度もイヤになったり別れたいと思ったことないの?」と訊ねる育三郎。涼太は「嫌なところはあるけど。嘘が下手なところ。素直でさ」とノロケ風に本音を話します。涼太の真意を視聴者が知るための唯一の手段は、育三郎です。

(ドラマ班:下戸)

【第一話】再現VTRみたい…アレンジがダサい、役者も演出もしょぼい!/『あなたのことはそれほど』第一話レビュー

<そのほかのドラマレビューはこちら>

▼母になる

▼人は見た目が100パーセント

▼あなたのことはそれほど

▼女囚セブン


▼フランケンシュタインの恋

▼ボク、運命の人です。

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