新型コロナ、50〜70%が免疫つけないと終息不可か PCRの意義

4月26日(日)16時5分 NEWSポストセブン

「ウイルスとの闘いは長いマラソン」と山中教授(共同通信社)

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「ウイルスは“城を包囲する略奪者”です。私たちが城に閉じこもれば、しばらくの間は攻撃を食い止められますが、それでもやつらは侵入口を見つけて押し入ってきます」


 そう語るのは、米カリフォルニア大学アーバイン校准教授で公衆衛生学を専門とするアンドリュー・ノイマーさん。新型コロナという「略奪者」を倒すには、時間をかけて「集団免疫」を獲得するしかないという。


 では、「集団免疫」とは何か。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんが解説する。


「ウイルスに感染すると、体内の免疫システムが働いて『抗体』ができます。するとその後、再び同じウイルスには感染しにくくなる。こうした抗体を持つ人が人口の一定程度を占めるようになると、ウイルスが人から人へ移動できなくなり、やがて流行が終息します。これを『集団免疫』と呼びます」


◆人口の50〜70%が免疫をつけるしかない


 さらにノイマーさんはこう続ける。


「集団免疫率という考え方によれば、人口の50〜70%が免疫を得れば感染拡大を食い止めることができます。


 新型コロナの1人の感染者が生み出す二次感染者数は2〜3.3人とされています。感染拡大を食い止めるには、1人の感染者が生み出す二次感染者を1人以下にしなければならない。そこで、人口の50〜70%が免疫を獲得すれば、二次感染者もそれだけ減るというわけです」


 集団免疫を獲得するには「1〜3年かかる」とノイマーさんは指摘する。


「その間は社会的な距離を置き、公共の場でマスクを着用し、衛生管理を徹底して医療崩壊を起こさないよう努める必要があります。たとえ一時的に新規感染者が減ったとしても、集団免疫を獲得するまで流行は何度でもぶり返すと考えられるので、一喜一憂すべきではありません」(前出・ノイマーさん)


 そのうえで、外出自粛の解除を決めるためには「2つの検査が必要」と語る。


「自粛解除の時期を決めるには患者のデータ収集が必要不可欠です。日本は新型コロナ感染の有無を調べるPCR検査の数が決定的に不足しており、本当の感染率を過小評価している可能性が高い。


 またウイルスに感染して抗体ができているかどうかを調べる『抗体検査』もとても重要です。ウイルスはロックダウンを続けていても消滅しません。外出自粛の期間を決めるには、2つの検査を徹底して集団免疫の達成度を調べる必要があります」(前出・ノイマーさん)


 自粛生活を続け、医療崩壊が起きないよう配慮しながら緩やかに軽度の感染者を増やして集団免疫の獲得を目指し、最終的には検査によってそれを判断して自粛を解除する──それがノイマーさんの主張だ。


 ノーベル賞受賞者で、京都大学教授の山中伸弥さんも同様の見解だ。山中さんがホームページで発信した「5つの提言」では、PCR検査体制の強化を求めている。また、新型コロナとの闘いについても、《国民に対して長期戦への対応協力を要請するべきです。休業等に対する協力で迅速な対応が必須です》と呼びかけている。


◆次はアフリカ、南米で感染が拡大する


 国境を越えてヒト、モノ、カネが行き交う時代に出現した新型コロナは、世界の隅々に行き渡り、全人類に深い影響を及ぼす。浜松医科大学健康社会医学講座教授(公衆衛生学)の尾島俊之さんが指摘する。


「いまはグローバルな時代なので、この先にアフリカやアジア、南米といった地域でも感染が拡大する可能性がきわめて高い」


 感染源である中国では、3月中旬に感染者がピークを越えたが、ここに来て「逆輸入」が目立つようになった。


 欧米の大学で学ぶ中国人留学生が、新型コロナの影響で当地の学校が閉鎖されたため中国に帰国した際に、感染が確認されたケースを主に指す。4月中旬のある日は、中国国内の新規感染者108例のうち、逆輸入が98例に達した。


「中国には、感染の第2波を恐れて公共交通機関や飲食店、映画館などが再び封鎖された地域もあります。感染源として世界に恥をさらした形の中国だけに、警戒ムードは緩んでいません」(中国事情に詳しいジャーナリスト)


 さらに心配されるのが、南米、アフリカなどの新興国や発展途上国だ。


「貧しい国の生活環境は、密集、密接、密閉の3密がそろっていて感染が拡大しやすい。ブラジルでは約50平方メートルの2階建てに10〜20人が住んでいる家族も多い。せっけんや水道のない家もあります。


 今後、アフリカで数百万人が新型コロナに感染する可能性があるという専門家もいます」(全国紙外信部記者)


 この先に求められるのは、未知のウイルスと共存する覚悟なのかもしれない。


※女性セブン2020年5月7・14日号

NEWSポストセブン

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