「次はどこですか」と言われる「ご当地ソングの女王」、きっかけの「東尋坊」は崖っぷちでした

2025年4月26日(土)13時19分 読売新聞

NHK紅白歌合戦に22年連続で出場。近年はドミノ倒しを使った演出に挑戦している。「ドミノがあったら、絶対に見ちゃうじゃないですか。お祭りですから」=後藤嘉信撮影

 「ご当地ソングの女王」と呼ばれる演歌歌手の水森かおりがデビュー30周年となる今年、新曲「大阪恋しずく」(徳間)を出した。節目の年になぜ、大都市・大阪なのか。その理由は「原点回帰」だという。(鶴田裕介)

 「おしろい花」でデビューした1995年9月25日を、水森は大阪で迎えた。「大阪でヒットする演歌は全国でヒットするという話があり、関西で重点的にキャンペーンをしました。私は東京出身ですが、『水森かおりは大阪で生まれた』という感覚があるんです」

 かず翼作詞、弦哲也作曲の「大阪恋しずく」は、<傷ついて 傷ついて たどり着けたのね>と、決して平らではなかった道のりをいとおしむかのような、前向きで明るい曲調だ。コンサートや番組などで笑って歌う姿を見せられる分にはいいが、CDや音楽配信など「声」だけで笑いを表現して明るく響かせるのは、実は難しいという。「録音では、自分が思っている以上にトーンを上げました。ひとりニコニコして、はたから見たら変な感じなんです」と笑う。

 デビューした95年といえば、音楽プロデューサーの小室哲哉による「小室サウンド」が一世を風靡ふうびし、「演歌は本当に厳しい時代に突入した時期でした」。1日何十件とカラオケ教室をキャンペーンで回り、戦略の一環で、CDのジャケット写真などでは演歌につきものの着物ではなく、洋服を着た。

 「ご当地ソングの女王」と言われるほどに各地の歌を歌うようになるきっかけは、2002年の「東尋坊」だった。「(売り上げは)低空飛行が続き、まさに崖っぷちの歌でした」。後がないと必死に歌ううちに、客が立ち止まってくれるなど、手応えを感じるようになった。

 翌年出した「鳥取砂丘」で人気は決定的なものになり、NHK紅白歌合戦にも出場。さらに翌年は「釧路湿原」と、歌手としての躍進とご当地ものが続くタイミングが重なり、「次はどこですか」と言われるまでになった。

 これまでに45都道府県にまつわる164曲を歌い、あとは福岡と徳島を残すのみ。2県を避けてきたわけではないのだが、「今となっては、福岡と徳島に行くと気まずい思いがします」。

 いつの日か全都道府県制覇をと願いながら、「日本の美しい風景、そして人それぞれのふるさとの景色があります。みなさんの心にふるさとを感じさせられるような歌を歌っていけたら」と語った。

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